日本語教育研究科
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邊 希眞2020年4月修士課程入学韓国外国語大学で日本言語文化を専攻し、社会の変遷とともに変わる日本語や日本語教育への関心を深める。卒業後の2020年4月、当研究科修士課程に入学。自身 の留学生としての体験や課題意識から、「外国人留学生は学術的場面でどのようにコミュニティに参加しているのか―日本の大学院の学術的コミュニティでの韓国人大学院留学生の学習―」をテーマに研究に取り組んでいる。修士課程在学生福井 朋之2019年4月修士課程入学2011年日本大学芸術学部を卒業後、日本語学校の教師養成科で学び、非常勤の 日本語教師として勤務。その後、勤務校の提携先である香港の日本語学校に専任講師として赴任し、続いてミャンマーの大学で日本語学科設立に携わり学科長に就任。帰国後は日本語学校で専任講師を務める。2019年4月に当研究科に入学。修士課程在学生14国籍も経歴も多様な学生たちが互いの背景や経験を尊重し合い議論を深められる環境が魅力 韓国の大学で日本言語文化を専攻し、中でも各時代における日本語と社会の関係を考察する「社会言語学」に関心を 持ちました。時代や社会の移り変わりとともに変化していく 日本語や日本語教育について、日本に留学してさらに深く学びたいと考え、日研への進学を希望しました。 1学期目の「日本語教育学基礎演習」では学生3~4人が グループになり、毎週異なる先生から指導を受けながら、互いの研究計画について検討を重ねました。研究に対する多様な観点を先生方が提示してくださったことに加え、各学生が関心のあるテーマが多様であるため、自身の視野を広げながら「私が本当に取り組みたい研究は何だろう」と突き詰めて考えることができました。また、今学期に履修している実践研究科目では、これまで私が言語教育に対して抱いていた「教師が生徒に一方向的に教える」、「正しい日本語の表現が存在する」、「完璧な文章を話す・書くことが最も大事である」といった 先入観が根本から覆される経験を積むことができました。 入学前は外国人の私が日本語母語話者と一緒に学んで いけるのか不安もありましたが、実際に授業を受けてみると、留学生も日本人学生も垣根なく共に学び合う雰囲気があり、不安なく研究を進めることができています。国籍や年齢、経歴も多様な学生たちが、互いの背景や経験を尊重し合いながら議論を深められる環境も、日研の魅力だと実感しています。日本語教師として感じてきた問題意識を起点に研究を進め成果を現場に還元したい 日本語教師として教壇に立つ中で、授業の進め方や自身の役割について、課題や疑問を感じることが少なからずありま した。そうした場面で経験や勘に頼るのではなく、理論的に 解決策を導き出せるようになりたいと考え、大学院で学ぶことを決めました。中でも日研を選んだのは、日本語教育を主専攻として、言語教育政策から教材・教具も含め幅広く学ぶことができる点で私の希望に最も合致していたからです。 授業を通して、今まで自分自身が狭い視野と凝り固まった考えで日本語教育に従事していたことに気付かされ、「授業とは」「教師とは」といった自らの教育観を問い続けています。 修士論文では、教育現場で感じてきた問題意識をもとに、初級段階での学習負担をシラバスの観点から軽減する試みに関する研究に取り組んでいます。長年積み重ねられてきた先行研究やその成果をきちんと踏まえ、その上にわずかでも自身の研究を積み上げることを目指しています。 修了後は日本語教育の専門家として、教科書開発などにも携わりたいと考えています。日研だからこそ得られる理論・実践の両側面からの幅広い学びと気付きは、これから日本語 教育に携わろうと考える人にとって確かな土台となるでしょう。 また私がそうであるように、すでに日本語教育に従事している人にとっても、新たな知見や経験を得て、キャリアの可能性を広げる大きな転換点になると思います。

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