日本語教育研究科
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      大塚 武司2018年9月博士後期課程入学 1995年横浜国立大学教育学部卒業。2005年早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程を修了し、出版社で日本語教材の編集などに携わった後、コーチングの会社において、プロコーチとして活動。現在は独立行政法人国際交流基金ベトナム日本文化交流センターに日本語専門家として勤務する。博士課程在学生小西 円2011年8月博士後期課程修了2000年大阪市立大学文学部卒業。2002年大阪外国語大学大学院言語社会研究科修士課程を修了後、非常勤で日本語教師を務める。2006年早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程入学、2011年修了。国立国語研究所PDフェローなどを経て、2017年より東京学芸大学留学センター准教授。博士課程修了生19ベトナムで日本語教育の質の向上に携わりながら、職務と直結した研究に邁進中 ベトナム・ハノイにある国際交流基金ベトナム日本文化交流センターの日本語専門家として、ベトナムにおける日本語の普及や、日本語教育の質の向上に取り組んでいます。ベトナムでは近年、日本語学習者が急増する一方で、日本語教師の量と質が追い付いていないことが課題となっています。私は過去にプロのコーチとして活動した経験から、日本語教師育成にコーチングを導入することが課題解決の一助になるのではと考えるようになりました。この考えを裏付けたいと博士課程への進学を決意し、「コーチングを用いたベトナム人日本語教師の自律的成長力の獲得」をテーマに研究に取り組んでいます。 ハノイで仕事をしながら研究を進めているため、時間のやりくりに苦労する面もありますが、職務と直結した研究を行える利点を実感しています。ベトナムの日本語教育関係者には日研修了生が複数おり、それぞれ重要なポストで業務にあたっています。世界に広がる日研生のネットワークは、精神的にも実務面でも心強いものだと感じます。 修士、博士課程で学ぶ上で大切になるのは、いち研究者として、自律的に自分の研究を進めていく意志です。その意志を持つ人にとって日研は、思い切り研究に打ち込めるこの上ない環境だと思います。私も自律的な姿勢を大切に研究を続け、この先、博士課程で得た成果を還元しながら、できるだけ長くベトナムで日本語教育に携わりたいと考えています。自分の研究の位置付けや意味を考え抜いた経験が、今も自身を支える土台に 学部、修士と日本語学を専攻し、修了後は非常勤の日本語教師としてキャリアを積んできました。十数年前、コーパスを使ったデータに基づく新たな研究方法が出てきたことを知り、自分の一番の関心の分野である日本語文法についての研究を、日本語教育の観点から深めてみたいと考え、日研博士課程への入学を決めました。 博士論文では、初級の学習項目である類義表現を、どうすれば学習者によりわかりやすく記述できるか、という問いに対して、コーパスを用いたデータで応えるべく研究に取り組みました。関心のあるテーマを思う存分探究できる楽しさを味わう一方で、自分の研究を「日本語教育学」全体の中でどのように位置付け、どう意味を見いだすかに難しさを感じました。その作業を求められることが、修士までとの大きな違いだと思います。学生としてだけでなく、小さな研究者として、自らを客観視しながらとことん考え、突き詰めた経験は、一つのコアとなって今も自分の中にあり続けています。 在学中は学内奨学金に支えられ、出産に際して休学制度も利用しました。個々の学生の事情に柔軟に対応する仕組みが整っていることも日研の良さだと感じます。さまざまなライフイベントが起きる人生の中で、博士課程で時間をかけて研究に取り組むという道は、簡単に選べるものではないでしょう。しかし、決めたからにはその決意に自信を持って、「今はやるんだ」と腹をくくり、学生の時間を満喫してほしいと思います。

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