日本語教育研究科
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凝り固まった私の日本語教育観がほぐされるような新鮮な体験宮内 健太郎 (2018年4月入学) 「日本語教育実践研究(5)」では、日本語教育研究センターの初級授業(「「わたしのにほんご」プロジェクト」)で留学生を対象にした授業実践を行い、その授業の振り返りを通して「「状況」から出発する教育実践とは何か」を徹底的に考えます。私は教師経験が10年弱あるのですが、この実践では教師経験はいい意味で役に立たなかったと思っています。既存のシラバスにはないアプローチなので、全てが新鮮でした。例えば私が担当した「仲良くなる日本語」の授業では、「あのお店、おいしいよねー」と言われた時の返事のしかたを取りあげました。従来の日本語教育では、「ええ、そうですね」などの表現を教えますが、状況にあった日本語という観点から「うんうん、あのお店、やばいよね」や「分かる分かるー」などの表現を紹介しました。教師10年目にして「私の凝り固まった日本語教師観」がほぐされるような体験が味わえるのは本当に貴重な機会だったと思います。将来教壇に立って教えたい方や教室活動を実際に味わってみたい方には是非ともお薦めしたいと思います。ゼロから未来型地域日本語教室を創り、固定教師観を打破する謝 霄然 (2018年4月入学) 「日本語教育実践研究(1)」は、「にほんご・わせだの森」という地域の日本語教室の「コース・デザイン」をゼロから作るところから始まります。参加対象を決め、宣伝方法を考えて、チラシも実習生たちで作ります。留学生である私にとっては、今まで経験したことのない体験でした。まず、実践研究(1)の授業での池上教授のこの言葉に驚きました。「この教室には先生がいません」。最初は五里霧中でやっていましたが、だんだんわかるようになりました。 悪天候にも関わらず、多くの参加者はほぼ欠席せずに参加し、教室の受付を手伝ってくれる人も現れました。「先生がいない」ことによって、参加者は教室を「自分のもの」にしました。この教室で得られることはただの日本語能力の上達ではなく、まさに多文化社会で求められている人と人との「絆」ではないかと思います。日研での学びとドイツでの日本語教育実践が「つながる」嬉しさ吉浦 芽里 (2017年4月入学) ミュンヘン大学では、教壇に立つほか、発表や議論などを扱う、これまで体験したことのない授業にもアシスタントとして参加し、新しい発見と学びにあふれた日々を過ごしています。日研入学前からの大きな目標であった、海外で日本語を教える経験を積むこと、そのはじめの一歩を、「日本語教育実践(17)」で踏み出せたことは、とても幸運だと感じています。現地にいながら日研の先生方および他国に派遣されている履修生と活動報告を共有し、フィードバックを受けることができるのです。 渡航前に履修した「実践(16)」では、海外の日本語教育現場の多様性を知り、視野が大きく広がると同時に、目の前の学習者に向き合うことの大切さを改めて学びました。ドイツに来て、より深く理解できた部分も多くあります。つながっていく学びと実践が、自分を成長させてくれています。「日本語教育実践研究」科目とは?学内外の多様な現場における教育実践 修士課程では「日本語教育実践研究」科目を9単位(3単位×3科目)以上履修することが義務づけられています。「日本語教育実践研究」科目は、毎学期、当研究科の全専任教員が開講しており、その現場は学内の日本語教育研究センターの日本語授業をはじめ、地域に開かれた日本語教室、都内教育委員会と連携した子どもたちへの日本語支援、Webなどを利用した遠隔授業など多様です。また、当研究科では、海外の協定大学において約1学期間、日本語教育のさまざまな実践経験を積める派遣プログラムも準備されています。[海外実践協定大学(2019年度):タマサート大学、コンケン大学(タイ)、日越大学(ベトナム)、ミュンヘン大学(ドイツ)、ベオグラード大学(セルビア)、カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学(ハンガリー)]11修士課程

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