アジア太平洋研究科
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03アジア太平洋地域は、第二次大戦後、半世紀以上に亘って高成長を遂げてきており、世界の成長センターとして、世界経済をけん引してきました。また、経済だけではなく、政治や社会の面においても世界に大きな影響を与える地位を占めるようになりました。高成長を長期間に亘って持続してきたことから、アジア太平洋地域の人々の所得も大きく上昇してきました。所得の上昇は、人々の生活を物質面で豊かにしたことは間違いないと思われますが、貧困問題、所得格差、ジェンダー格差、環境問題、領土問題、安全保障問題など人々の生活に深刻な影響を与える多くの問題が解決されていません。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(GSAPS)では、上述したような問題について強い関心を持つ学生に対して、問題解決能力を養成するための教育を提供しています。我々の直面する多くの問題は、様々な分野の要素が絡み合っています。したがって、問題の分析および解決にあたっては、一つの学問分野だけではなく、学際的なアプローチが必要になります。同時に、学生の皆さんには、経済、政治、社会などの学問分野の中で自分の得意とする、競争力のある専門分野を確立してもらいたいと思います。また、同じ問題でも、国や地域などによって、捉え方や解決方法などが異なる場合が多いことから、多様性を認識するだけではなく受容することは重要であると思います。GSAPSでは、そのような目的を実現するにあたって、以下に記すような特徴を持つプログラムを実施しています。第一に、日本語と英語によるバイリンガルな学習環境を実現しています。ほとんどすべての講義科目は日本語と英語の両方で提供されています。日本語のみ、または英語のみで学位取得は可能ですが、日本語と英語の双方を用いて学習することが奨励されています。第二に、世界50カ国以上から優秀な人材が集まり、修士課程に300人弱、博士後期課程に150人弱の大学院生が在籍しており、国際色豊かな知的コミュニティを形成しています。そのうち日本人は約20%、留学生は約80%となっており、日本にいながら多文化体験ができます。第三に、充実した講義科目を用意しています。アジア太平洋地域の国々や領域における歴史や現状などを把握するための「地域研究」、国家間の国際関係や、NGOや民間企業などの非国家的行為主体の間の国境を越えた関係を分析する「国際関係」、アジア太平洋地域および地球規模の課題を解決するための「国際協力・政策研究」という三つの領域において多様な講義科目および演習を履修することができます。また、研究を実践へと繋げるための実践的な講座を設けており、国際協力・外交・ジャーナリズムなどの実務経験者が講義します。皆さんが、GSAPSでの学習・研究を通じて分析能力を養い、アジア太平洋地域および地球規模での課題の解決に向けて貢献できる高度人材となることを期待しています。世界で重要性を増すアジア太平洋地域研究科長・教授~更なる発展に不可欠な高度人材の育成~早稲田大学大学院アジア太平洋研究科浦田秀次郎

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