会計研究科
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監査論は、実務経験のない人には難しい科目と言われることがあります。監査は企業の取引と会計処理の理解に基づいて実施されますが、監査論を学んでいる段階では、必ずしも企業活動や会計に関する理解が十分でないからかもしれません。監査基礎では、これまで監査論をあまり学んでいない人を対象に、会計監査の役割、制度や基礎理論を説明します。企業の業務や取引をイメージしながら、監査の全体像(監査モデル・監査計画・リスク評価・リスクに対応する監査手続・意見の形成と監査報告書の発行まで)を学びます。上場企業に代表される現代の大規模な企業は、グローバルに活動し世界経済に影響を及ぼす大きな存在になっています。株式や社債の発行により、資本市場から多額の資金を調達し、膨大な取引データを複式簿記の形で記録・集計し、財務諸表を作ります。経営者は、説明責任を果たすために、利害関係者に対して財務諸表を開示しますが、近年の会計は、時価などの見積りの要素が増え複雑化しています。財務諸表が適正に作成されていることを保証するためには、独立性を備えた会計・監査の専門家による監査が不可欠です。監査の基本的な考え方と全体像を、監査基礎で学べば、監査A・B・C、各論、ワークショップでの理解が深まります。最初のステップを大切に、しっかりと知識を積み上げていきましょう!当会計研究科には、監査に関連する科目が数多く設置されています。監査の基本領域をカバーする基礎科目、監査に関する知識をより深く体系的に学ぶコア科目、そして知識を実務に応用する科目が含まれています。これらのうち監査の基本領域をカバーする科目には、監査基礎、監査A、監査Bがあり、監査Aでは主に企業会計審議会の定める監査基準の規定内容を理解することを目的としています。監査基準を学ぶことは、監査現場において実務を行うための理論的基礎として重要であり、さらに監査基準委員会報告書などの監査実務指針を理解するための前提としても必要となります。監査基準は簡潔に記述されていますが、それだけに一語一語をよく理解しながら読み進む必要があります。これを講義では、時間をかけながらやっていきたいと思います。また、監査基準は、1950年に制定されて以来、幾多の改訂を経てきており、その変遷・歴史を学び、より深い理解を得ることで、監査Aにおいて、以降の学習の展開につながる基礎をしっかり築き、監査論を学ぶための出発点にしたいと思います。なお、監査Bでは、監査Aで学んだ監査基準を前提に、監査の実務指針を中心に学んで、実務的な問題点も加えて講義をしていきます。監査Aと監査Bをセットで学ぶことで、それ以降のコア科目や実務・応用科目につながる基礎知識を身に着けることができると思います。教授金子 裕子教授篠原 真プロフェッションと倫理/監査基礎/監査各論/会計と監査実践ワークショップ/プロフェッションと倫理ワークショップ担当科目監査A/監査B/監査C/監査の実務と応用ワークショップ担当科目監査基礎[基礎科目群]監査基本理論を習得し会計監査の全体像を理解する監査A[基礎科目群]監査監査論を体系的に学ぶ出発点となる基礎を築く09

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