会計研究科
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不確実性を相手にする保険・年金ビジネスの専門家アクチュアリーは、ビジネス数理業務の専門職で、生命保険・損害保険会社で保険料や年金の掛け金を算定し、そのリスクを確率・統計理論に基づいて判定します。近年、公認会計士にとっても、(1)年金債務評価、(2)固定資産の減損評価、(3)金融商品の評価において、年金数理・保険数理及びそれらの基礎となる確率・統計手法による経済モデル分析能力が重要となっています。これらは、その金額や金額の不確実性も大きく、財務諸表全体の適正性に関する公認会計士の判断に大きな影響を与えます。また、これらは経営者の経営計画や他の重要な会計項目と密接な関係を持つため、公認会計士自らが数理能力を有する会計専門家として、最高経営者、経理担当役員、アクチュアリーと連携し、監査業務をリードする必要があります。一方、保険会社では、新しい保険商品が続々と開発・販売されており、その評価はますます複雑・難解になっています。この際、公認会計士は、アクチュアリーと共に保険商品の評価およびその妥当性の検証と修正要求をリードする必要があります。このように、アクチュアリー業務の基礎を習得した高度に数理的な公認会計士の活躍の場が、今後は飛躍的に拡大します。当研究科では、複数のアクチュアリー関連科目を用意し、高度に数理的な業務にも対応できる会計士を育てます。アクチュアリー税を考慮した実践的会計コンサルタント能力を取得現代ビジネスにおいては、税コストの適切なマネジメントが効率的な企業経営にとって不可欠なものとされています。租税法を学び、その基礎理論と実地での応用力を習得して、合理的な租税計画の立案力を養成することは、コンサルタントの一面も持つ会計のプロとして今日の企業経営の色々な側面に関与する専門家にとっては必須と言えるでしょう。その際、法人税の課税所得計算が法人税法22条4項により公正妥当な会計基準に準拠するという法構造を採っているため、法人に関する租税法の勉強は、会計に習熟した学生にとっては法学系の学生よりも、近づきやすく理解しやすいという利点があります。当研究科の租税法関連の講義は、そのような特性をふまえながら、租税法の立法趣旨を支える公平負担の原則や租税法律主義の要請の各税法への具体的適用のあり方を学び、その基礎の上に、主要税目(法人税、所得税、消費税、国際税務等)の基本構造を習得して、更には重要判例の分析により実践的な税法解釈力を備えることを目的としています。これにより、公認会計士試験や税理士試験への対応はもとより、その後の会計プロフェッショナルとしてのキャリアパスにおいて、税にも強い会計専門家としてライバルと差別化した優位性を発揮できる可能性が高まります。税 務統計・数理の科目も拡充しています会計の3重構造租税会計会社法会計企業会計法人税法の基本的仕組み・法人税法における別段の定め・確定決算主義・租税特別措置法による補足・一部費用についての損金処理要件・租税法律主義の原則・公正処理基準への準拠「+1」の4領域16

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