教育学研究科
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 博士後期課程は、専門的学術研究者、教育専門職の指導者、さらには高度な専門職業人たるべき人材が共に学ぶ場として、他大学の教育学研究科にはあまり例をみない複合的な目的で構想されています。したがって研究指導の目標は、理論と実践のいずれかに埋没することなく、複合的な視野で教育にかかわる研究を深めることにあります。この目標を実現するため、本課程では、学生が自己の研究領域の深化に加えて、幅広い視点や実践的能力をたくわえることをねらいとして、他の研究指導に併設されている「研究演習」科目で1年間の指導を受ける「複合履修制」を設けていることが大きな特徴です。 本課程において取得できる学位は、その研究領域の内容に従って、博士(教育学)に加えて、専門性の高い諸学の領域に対して博士(学術)、数学の専門的分野に対して博士(理学)となっています。これらの学位は研究者のみを対象とするものではなく、教育の実践的指導者、あるいは専門的職業に携わる社会人をも対象としており、教育を通して社会一般に必要とされる高度な人材の育成に貢献するものとなっています。この点も本課程の特徴の一つです。カリキュラム・特徴 〈博士後期課程・科目等履修生〉博士後期課程10 教育学・社会教育学・教育心理学・初等教育学の4つの学問領域からなり、いずれの領域でも、理論研究や実践的研究を深めるための多彩な研究指導を開設し、さらにそれに対応する研究演習を配当しています。両者を合わせて履修することにより、理論的研究と実践の統合をめざした学際的研究の道を開くと共に、専門的研究の深化・拡充を可能にしています。 また、本専攻に進学した現職教員等にとっては、自己の実践的な知見を一段と高度に理論化する能力の開発が期待でき、高度な専門職業人にとっては、自己の実際的・体験的な知見を広く教育の観点から再構成し、その理論化を進める能力の開発が期待できます。教育基礎学専攻A 私は佐藤隆之教授のもとで、プロジェクト学習について研究しています。特に、小学校における協同活動を通した道徳性の育成に注目しており、現在はネル・ノディングズによるケアリング論からヒントを得るべく、日々研究を進めています。 教育基礎学専攻には多様な経歴の方が在籍しています。佐藤ゼミにおいても「経験主義」・「新教育」をキーワードに、様々な研究テーマのメンバーが集まっているため、それぞれの研究進捗発表やディスカッションを通して、新たな学びを得ること、刺激を受けることが多くあります。このような環境下で自身の関心事を追求できることが、博士後期課程のおもしろさだと感じます。後藤 里英教育基礎学専攻2020年入学 本専攻は、国語科・英語科・社会科・数学科のそれぞれについて高度な教科教育の理論的・実践的研究を深めるための研究指導を開設していることに加え、それらの教科を支える諸学の専門的研究を深めるために、国語科内容学・英語科内容学・社会科内容学・数学科内容学として、それぞれ多彩な学問領域の研究指導を開設しています。さらに、前述の複合履修制度によって、教科ないしは諸学の専門性を深めつつ、より幅の広い研究者に育つ道を開いています。教科教育学専攻B 私は金井景子先生のもとで、日本近現代文学における都市空間について学んでいます。特に東京の都市・郊外に関心があり、「武蔵野」という言語空間の形成・受容史について研究しています。 昨年度はコロナという災禍によって、自身の想像した院生生活とは大きく異なりましたが、先生方や諸先輩方のご尽力により、オンラインでのゼミや、研究会・イベントなどの場が設けられ、充実したものとなりました。 外部から進学したこともあって、不安も多かったのですが、皆さんの「熱意」に背中を押されました。困難なときにこそ真価が問われる。非常事態だからこそ、新たな風を取り入れつつ、真摯に学問に取り組む。本専攻において、研究の姿勢と学問のあり方を学ぶ日々です。伊東 弘樹教科教育学(国語)専攻2020年入学在学生の声在学生の声

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