教育学研究科
12/24

 博士後期課程は、専門的学術研究者、教育専門職の指導者、さらには高度な専門職業人たるべき人材が共に学ぶ場として、他大学の教育学研究科にはあまり例をみない複合的な目的で構想されています。したがって研究指導の目標は、理論と実践のいずれかに埋没することなく、複合的な視野で教育にかかわる研究を深めることにあります。この目標を実現するため、本課程では、学生が自己の研究領域の深化に加えて、幅広い視点や実践的能力をたくわえることをねらいとして、他の研究指導に併設されている「研究演習」科目で1年間の指導を受ける「複合履修制」を設けていることが大きな特徴です。 本課程において取得できる学位は、その研究領域の内容に従って、博士(教育学)に加えて、専門性の高い諸学の領域に対して博士(学術)、数学の専門的分野に対して博士(理学)となっています。これらの学位は研究者のみを対象とするものではなく、教育の実践的指導者、あるいは専門的職業に携わる社会人をも対象としており、教育を通して社会一般に必要とされる高度な人材の育成に貢献するものとなっています。この点も本課程の特徴の一つです。カリキュラム・特徴 〈博士後期課程・科目等履修生〉博士後期課程10 教育学・社会教育学・教育心理学・初等教育学の4つの学問領域からなり、いずれの領域でも、理論研究や実践的研究を深めるための多彩な研究指導を開設し、さらにそれに対応する研究演習を配当しています。両者を合わせて履修することにより、理論的研究と実践の統合をめざした学際的研究の道を開くと共に、専門的研究の深化・拡充を可能にしています。 また、本専攻に進学した現職教員等にとっては、自己の実践的な知見を一段と高度に理論化する能力の開発が期待でき、高度な専門職業人にとっては、自己の実際的・体験的な知見を広く教育の観点から再構成し、その理論化を進める能力の開発が期待できます。教育基礎学専攻A 私は教育哲学の研究室に所属しています。主に18世紀フランスにおける人間と他の動物たちの境界をめぐる議論から、教育を分析しようと試みています。 研究室の主な活動は、フランス語の原典講読と各自の研究発表です。現代では、教育が抱える問題に対して即時かつ直接の寄与をする研究が求められることが多いようです。一方で、教育哲学は、実践をつぶさに観察し、観察から得た結果を思索することで根源的な問題を明らかにします。過去の偉大な哲学者たちの思想は、観察するための視座を提供し、思索するための道標になります。教育哲学の研究室では厳しい指導の下、研究者として必要な能力を養い、適切な思考順序を身につけることができます。辻 和希教育基礎学専攻2017年入学 本専攻は、国語科・英語科・社会科・数学科のそれぞれについて高度な教科教育の理論的・実践的研究を深めるための研究指導を開設していることに加え、それらの教科を支える諸学の専門的研究を深めるために、国語科内容学・英語科内容学・社会科内容学・数学科内容学として、それぞれ多彩な学問領域の研究指導を開設しています。さらに、前述の複合履修制度によって、教科ないしは諸学の専門性を深めつつ、より幅の広い研究者に育つ道を開いています。教科教育学専攻B 田渕句美子教授の指導を受け、平安後期から鎌倉前期にかけての和歌を研究しています。 教育学研究科が持つ魅力は、様々な専門分野を持つ学生が参加している点だと思っています。田渕句美子教授のゼミには、平安時代や院政期、女房歌人やジェンダーの視点から研究する学生がいます。また、他大学、アメリカ・中国など海外からの学生を受け入れている点も特色です。議論は学生主体で行われており、様々な視点で意見が交わされます。自分と異なる視点を持つ学生と意見を積極的に交わすことで、より広い視点で研究を進めることができています。教育学研究科には様々な目標を持つ学生が在籍しており、それぞれが大きな刺激を受ける学びを得られる場所だと感じています。米田 有里教科教育学(国語)専攻2011 年入学在学生の声在学生の声

元のページ 

page 12

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です