大学院入学案内
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ニーズが高まっている会計のエキスパートを養成 私は会計研究科で講義科目の他、テーマ研究の授業とワークショップを担当しています。テーマ研究の授業では「調べる能力」と「書く能力」を中心に、実務で活きる力を養います。「調べる能力」とは、早稲田大学の充実したデータベースを活用し、英文ジャーナルも含めた膨大な文献や企業の財務状況データなどの中から必要な情報を調べる力です。そして、論文の執筆を通して、会計の現場で求められる「書く能力」を磨いていきます。専門的な論文を一本書くことで、文章力は飛躍的に伸びます。大学院で論文を書く経験は、ビジネスの現場に出てからも大いに役立つものです。 少人数かつ双方向形式で行うワークショップでは、Financial Accounting Workshopという科目を担当しており、英語で財務会計を学びます。英文のアニュアルレポートを読み、そして英語で表現する能力を鍛え、実践的な英語力を鍛えるワークショップです。会計の英語はビジネス英語の中でも最も格式が高く、難易度の高い英語と言われていますが、このフォーマルな英語を学ぶことで、ビジネスで使われる英語にはすべて対応できると言っても過言ではありません。 会計は一定期間集中的に学んで基礎を固めることが非常に重要です。基礎がしっかり身についていれば、実務でどんな場面に遭遇しても揺るがずに対応することができます。会計研究科には公認会計士の資格取得を目指す学生も多く在籍していますが、受験のための勉強だけでなく、その先を見据えた勉強にもシームレスに取り組めます。 ITの目覚ましい発展もあり、会計をめぐる環境が大きく変わってきています。例えば、以前はサンプリングで抽出したデータを調べることによって全体の正しさを証明していた監査方法が、ITを活用して全件調査を行い、AIで異常を発見した項目を重点的に調べるようになりました。会計のコアとなる理論はいつの時代も変わりませんが、応用する局面ではさまざまなITツールなどを組み合わせて対処することが今では求められています。幅広い現代的な知識と視点が会計にも必要です。そのように会計が進化し、複雑化していることもあり、経営の意思決定のための会計情報や戦略的な財務諸表を作成できるエキスパートのニーズは非常に高まっています。もちろん求められる知識は幅広いですが、2年間で最先端の高度な会計スキルを習得できるのが早稲田大学大学院の会計研究科です。2019年度からは保険数理の専門家を養成する「アクチュアリー専門コース」を新設しましたが、会計研究科は会計学のトップスクールとして、会計の未来像を予測しながら進化を続けています。講師陣に実務家も揃え、会計のトップ人材を輩出する 早稲田大学の専門職大学院では、理論と実践の両方を、高いレベルで学ぶことができます。理論と実践の両面を学ぶことで、ビジネスを多面的かつ立体的に捉えられるようになります。 会計研究科では、多くの企業で導入されているERPシステムを使用して実践さながらの環境で学べます。講師陣に第一線で活躍する会計士やコンサルタントの実務家の方もお招きしており、企業との提携講座も多数開講しています。会計を学ぶための最高の環境とコンテンツを揃えているという自負があります。こうした環境面とコンテンツ面での充実は、会計研究科のみならず、専門職大学院をはじめとした早稲田大学大学院全体に言える特長です。 そして、多様な学生が集まる場であることも大きな魅力と言えるでしょう。企業で実務経験を積んだ方、官公庁から派遣されてくる方、学部から進学してきた方など、経歴も年齢も異なる学生が集まり、お互いに多くの刺激を受けられる環境となっています。同じ志を持った学生同士で切磋琢磨し、講師陣とのネットワークを築くことができます。そうした一流の講師陣との人脈形成は、会計のプロフェッショナルとして生きていく上で大きな恩恵をもたらしてくれるはずです。会計研究科は設立されて13年経ちましたが、卒業生や講師陣のネットワークはどんどん拡大しています。みなさんにも、ぜひそのネットワークの一員になっていただきたいと思います。 学校とは、より高い次元に自分を導くために学ぶ場所です。高い志を持ち、自分を変えるために、ぜひ早稲田大学大学院に入学してください。最先端の高度な会計スキルと人的ネットワークが財産となる会計研究科 会計専攻 教授川村 義則Prole1989年早稲田大学商学部卒業、1994年同大学院商学研究科博士後期課程満期退学。1994年米国財務会計基準審議会(FASB)ポストグラジュエート・インターン。1996年龍谷大学専任講師、2000年早稲田大学商学部専任講師、准教授を経て、2008年より現職。2006年~2009年および2017年~現在まで公認会計士試験委員。2001年~2013年に金融庁企業会計審議会専門委員、2007年~2013年に財務会計基準機構基準諮問会議委員、2016年~現在まで国際会計教育基準審議会理事などを歴任。著書に『新版現代会計学』『演習上級簿記』など。研究最前線11

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