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船木 由喜彦
  • アンケート機能を活用して授業を効率化。学生参加の実験回数増大にも寄与
三尾 忠男
吉田 賢史

Course N@vi活用部門、その他

アンケート機能を活用して授業を効率化。
学生参加の実験回数増大にも寄与

船木 由喜彦
政治経済学術院 教授

15年以上前から自身のWebページを持ち、研究や講義の情報発信を積極的に行ってきた船木教授。その一部をCourse N@viで公開することから始め、最近では出席管理やアンケート、オンデマンド授業など複数の機能を積極的に導入しているという。その具体的な活用法と、Course N@viならではのメリットについて伺った。

「ゲーム理論」の実験にアンケート機能を活用

船木先生

船木教授が専門とする「ゲーム理論」は、人間が自己の利益を最大化するための合理的・戦略的な意思決定プロセスを分析する学問だ。人間はどういうときに理論通り行動し、どんなときにそうではない行動をとるのか。それを分析するためのひとつの手法として、実際に人に意思決定をさせる実験を行うという経済学実験がある。船木教授はゲーム理論の講義において、経済学実験をCourse N@viのアンケート機能を用いて行っている。

この講義では、あらかじめゲーム理論に基づく人間の行動分析を解説した後、さまざまな状況を設定し、自分ならどういう選択をするかという問いを学生たちに投げかける。その回答を集計して公開し、理論と比較した解説を加える。

その質問への回答方法として、以前は授業中に用紙に記入させるという手法をとっていた。しかし、この授業は履修者が300人程度と規模が大きいため、用紙の配布や回収にはTAなどの人手が必要となる。さらに、回収した回答を集計する作業にも大変な手間がかかる。

そこで、2012年度の授業から、これをCourse N@viのアンケート機能を使って実施してみたところ、その手間と時間を大幅に削減することができた。学生は、授業終了後にCourse N@viにログインし、画面上で回答を選択する。その集計結果を次回の授業で公表するという流れだ。「用紙の配布や回収が不要な上、集計も自動で行われます。一度問題を作成しておけば、次回以降はそれに修正を加えるだけで簡単に利用できるので、大変楽になりました」。

学生たちがこのような実験に自らも参加し、自分ならどうするかを実際に考えて答えを選ぶという過程を経ることは、学んだ理論への理解度が深まり、そこから社会構造や環境問題などを考えるときのヒントにもつながっていく。

「紙でのアンケートは、学生の関心を引くために初回だけ苦労を承知でやっていましたが、手間がかかるので何度も実施することはできませんでした。Course N@viのおかげで、今では頻繁に行っています。以前はやりたくてもできなかったことが、手軽にできるようになったのはうれしいですね。多くのデータが蓄積することで、より興味深い結果も見えてくるのではと期待しています」。

出席管理機能ならアンケート参加点も自動加点

船木教授は、Course N@viの出席管理機能も利用している。Course N@viから印刷した出席カードには、「出席コード」として1枚ずつ異なる番号が印字されている。これを授業の途中で配布し、出席コードと、授業中に伝えるキーワードとを、学生自身にCourse N@viの画面から入力させることで出席記録が残るという仕組みだ。この授業では、アンケートの回答者は出席点を3倍としているが、それもCourse N@viが自動で計算してくれる。

さらに、このCourse N@viのアンケート機能は、授業に対する質問や要望を受け付けるツールとしても活用されている。寄せられた声には基本的に講義中に回答をフィードバックし、すぐに改善できる要望には対応するようにしているという。「たまに授業内での間違いを指摘してくる学生もいます。学生との双方向コミュニケーションのよい環境ができていると思います」。

レポートについては、紙での提出とCourse N@viとを併用しているという。「数字で答える部分ついては、集計が楽なのでCourse N@viの小テスト機能を使って提出させています。ただ、図を入れて説明する必要がある場合などは入力が大変なので、数値以外の部分は従来通り紙で提出させています」。

このように、Course N@viのさまざまな機能を、自分の使いやすいように組み合わせて活用している点に注目したい。

オンデマンド授業なら必要部分を繰り返し見られる

船木教授は、オンデマンド授業にもCourse N@viを利用している。「国際学会への参加で休講しなければならないときなど、300人規模の補講を別の日に設定するとなると、日時や教室の調整が大変でした。オンデマンドだとそういう心配がいらないので助かっています」。今期の場合、実際にオンデマンド授業を行ったのは、15回のうち全部で3回だ。1回は補講として利用し、後の2回はレポートの解説をオンデマンドで収録して視聴させた。「学生が視聴したかどうかはCourse N@vi上で確認できますが、それだけでは真剣に見たかどうかは分かりません。そこで、オンデマンドでの解説を参考に自分のレポートを自己採点させるという工夫をしてみました。その結果とこちらで採点したものとを比較し、あまり差がなければ、きちんと解説を見ていたと判断できます」。

教場での授業とオンデマンド授業を比べて、出席率に大きな違いは見られないという。オンデマンド授業に対する学生側の感想としては、特にレポートの解説については、分かりにくい箇所を何度でも繰り返し見られる点が好評だという。

教務主任として積極的に導入を試みた

船木教授がCourse N@viを初めて使い始めたときは、まず自身のWebページで公開していた資料をCourse N@vi上に掲載することから始めたという。「15年以上前から外部のサイトに講義資料を掲載し、履修者にダウンロードをさせていました。しかし授業の履修者の得点分布などの情報が大学外からも見ることができることを心配していました。その点、Course N@vi内に置いておけば、確実に履修者のみを対象にできますし、安心です」。しかし、資料掲示以外の機能については、ほとんど使わないままになっていたという。

そんな船木教授がCourse N@viをより多方面で活用するようになったきっかけは、2012年度よりCourse N@viの「標準パッケージ」が政治経済学術院に導入されたことだった。使い始めの手間を省くため、よく使う機能があらかじめプリセットされているこの標準パッケージは、早稲田大学全体としては、2011年度から導入された社会科学総合学術院に続き2例目となる。

2012年3月まで教務主任教務副担当であった船木教授は、この標準パッケージの導入を機に、政治経済学部全体でのCourse N@viの利用を広めていくという立場にあった。その準備に携わる中で、自身の授業にもCourse N@viの機能をさらに活用することを考えるようになった。「アンケート機能も、便利そうだとは思いながら、最初の設定が面倒で敬遠していました。しかし、実際にやってみたら、一度作ればあとは格段に省力化できることを実感しています」。

剽窃対策としてレポート類似度を判定

標準パッケージ導入を前に教員向け説明会を行ったところ、特に注目を集めたのが、レポートの類似度を判定できる機能だった。Course N@vi上でレポートを提出させた場合、オプションで指定することによって、他のレポート、あるいはWebサイト上の文書との類似度がパーセンテージで表示されるというものだ。

剽窃か否かの最終的な判断は教員が行うべきであることは言うまでもないが、この機能の判定結果を目安として利用することに関心を持つ教員は多いようだ。ただし、現状は日本語と英語のみの対応となっており、中国語など他言語のWebページの情報は対象外となってしまう。「今後、留学生が増加することも考えると、多言語への対応が望まれるところです」。

もう一点、多くの教員に歓迎されているのが、成績評価をCourse N@viから登録・提出できることだ。これにより、紙の採点簿を提出するのに比べて、締め切りを2週間程度遅らせることが可能になる。「これまでは前期の場合、夏季一斉休暇前に提出する必要がありましたが、Course N@viを利用することにより、休暇後の提出でも間に合うことになります。私自身も大変重宝していますし、他の多くの教員にとっても魅力的なようです」。

いずれの機能も、実際に使っているところを見てもらうと、便利そうだと興味を持ち、使ってみようと考える教員は多いという。こうした実例入りのデモンストレーションなどは、要望に応じて事務局側でも随時対応している。少しでも関心があれば、積極的に声をかけてみてはどうだろうか。

アンケート集計画面
画面(アンケート集計結果の画面)
アンケート機能では、一度設定しておけば、このように回答結果が自動集計される
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