第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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Course N@viの小テスト機能で学生の理解度を把握できる オンデマンド授業のときには、ほぼ毎回小テストも実施している。講義で説明したものの類題を計算し、Course N@viを使って選択肢や穴埋め問題で解答するというものだ。小テストへの解答を以て出席の代わりとし、オンデマンドの視聴履歴は管理していない。全部で250名ほどの履修生のうち、80%程度の学生はほぼ毎回解答しており、従来の形式での出席率と比べても低下はしていない。 すべて教場で授業をしていたときは、小テストは学期中に3回しか実施できなかったが、その回数を増やせることで学生の理解度がよく分かるようになったことは、大きな成果だと感じているという。「毎週フィードバックが得られるので教場での授業もやりやすくなりました。学生の側にしても、少しずつ課題に取り組むことでスムーズに勉強できるようです。自動採点されるのも便利なので、最近は他の授業でもCourse N@viの小テストをよく使うようになりました」。 ただし、小テストを学生が自力で解答したかどうか保証されない点は気になっているという。現状は解答の終わった学生はすぐに正解と解説を見られるようにしてある。できるだけ早く復習したほうが効果的と考えるためだ。「Course N@viには、複数の問題から学生ごとにランダムに出題する機能もあるので、同じ問題でも違うデータを用いることで解答が異なる問題をいくつか用意するなど、工夫してみたいと考えています」。実習には専用ソフトが必須使用環境が限られるのが悩み 全30回のうちPC実習を伴う半数部分の講義をオンデマンド化するという、今回の試みでの一番の問題点は、オンデマンド講義を見た後実際に実習に取り組むには計量経済分析の専用ソフトが必要となることだった。利用できるPCに制約が出てしまうため、「いつでも・どこでも」というオンデマンドのメリットが薄れてしまうのだ。 多少高額なソフトでもあり、履修生全員に購入させるのはむずかしい上、大学内でも政治経済学部が管理するPCルームなど限られた場所でしか利用できない。したがって、履修生全員が自分の使いたい時間に利用できるとは限らず、学生からは「使えるPCをもっと増やして欲しい」という要望が数多く寄せられた。 この問題については、さまざまな案を検討中だが、まだ決定的な解決策には至っていない。「学部に協力してもらって、従来は18時までだったPCルームの開室時間を19時までに延長してもらう措置はとりましたが、さらに長くしてもらえるよう調整中です」。 今回のオンデマンドを併用した取り組み全体については、「やるだけの価値はあった」というのが、近藤教授の感想だ。初年度は多少の手間や時間もかかったが、オンデマンドコンテンツは一度作ってしまえば繰り返し利用できる。学生も授業期間中はバックナンバーとして参照することができるため、後から質問があったときにここを参照しなさいと指導に使える点も便利だという。「全体的な学習効果はまだ測りきれていませんが、特に熱心な学生にとってはよく機能したかなという感触を得ています」。(*)Waseda-net Commons動画コンテンツの収録から公開までの作業をオンライン上で行えるシステム。Waseda-netポータルまたはCourse N@viのメニューから利用できる。オンデマンドコンテンツはCommonsを利用して自作。PPT・クロマキーを用いた説明のほか、実際のPC操作を実演・説明する。「計量経済学」のシラバス情報。週に1コマの教場授業に加えてオンデマンド授業を1コマ分実施することで、半期(春学期)の授業ながら30回・4単位分の授業回数を確保している。23コンテンツ管理画面コンテンツ制作画面

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