第2回 e-teaching Award Good Practice集 2013
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リッカーを使って入力させている。これにより、問題別に正答率が明確に分かる。現状は個人認証機能がなく誰が回答したかは分からないこともあり、クリッカーへの参加は強制しておらず、その参加度や正答率は成績に反映していない。あくまで正答率を統計化して共有するために利用している。クリッカー入力に参加しない学生にとっても、その場で集計結果を見ることは参考になる。「間違いやすい問題をあえて用意してある場合など、実際に多くの学生が間違えたという結果を明示できるので、単にこの問題は間違えやすいから気をつけてと口頭で言うだけよりも説得力が増すという効果があります」。 従来は大人数を対象とした授業では、うなずく、首をかしげるなどのしぐさから推測するしかなかった学生の理解度を、クリッカーを使うと明確に把握することができる。「正答率が高い問題は軽く流して、誤答の多かった問題の解説に時間を割くなど、学生の理解度に合わせた授業展開ができるようになりました」。 学生からは「おもしろい」とプラスの評価を得ているようだ。自分の答え合わせをするだけではなく、他人がどのぐらいできているかがわかってよかったという声もあった。「大人数の授業ではあるけれども、学生が一人ひとり参加している感覚が持て、こちらも理解度が分かるという点では、対話型、双方向型の授業に近づけているのかなと思います」。 ただ、予習ビデオもクリッカーも、学期を通して次第に利用率が落ちてくる傾向が見られた。「最初は目新しさから参加してみたものの、次第に飽きてくるのかもしれません。それでも、続ける意欲のある学生には効果の出る授業を提供できたと感じています」。利用率低下を減らすための改善策は今後の課題だというが、どこで飽きてきたかが可視化されるため、それを分析することがヒントにつながる可能性はある。Course N@viの小テスト機能で膨大な手間が軽減された この授業では30回のうち15回で小テストを実施している。しかし、300人以上と履修生が多いため、用紙の配布や回収、採点などに膨大な手間がかかってしまっていた。そこで、15回のうち2~3回は、Course N@viの小テスト機能を利用したところ、かなり負担が軽減されたという。 ただし、現状は自宅やコンピュータルームなど、教員が学生の取り組みの様子を見ることができない状況で受験することになるため、確実に自力で取り組んでいるという保証がない。「小テストは成績にも反映させるものなので、今のところすべてをCourse N@viで実施することは躊躇しています」。ICTをうまく組み合わせ授業改善と効率化を両立 この試みでは、予習用ビデオコンテンツを用いた「反転授業」や、Course N@viによるオンデマンドテスト、クリッカーという複数の仕組みを組み合わせることで、時間や手間を効率化し、その分で、より双方向性を重視した効果的な授業が行えるという方向性が示された。「せっかく便利なものがあるのだから、ぜひそれを積極的に使って、授業改善に役立てていけたらいいと思っています」。 今回の取り組みに手応えを感じている大鹿准教授だが、以前は自分の授業にはオンデマンドは向いていないと考えていたという。「ビジネス系の科目なので旬な話題にも触れたいし、そもそも私は教室内を歩きまわって授業をするスタイルなので、学生の反応が見えづらいオンデマンドの導入には否定的でした」。 しかし、定型化した部分を10分間だけオンデマンド化することで、自分のスタイルを変えることなく、授業の充実につなげることができた。「オンデマンドというと90分フルにというイメージにとらわれがちですが、実際にやってみると、組み合わせ方次第でいろいろなことができるような気がしています」。教員が示した設問に対して、学生はスマートフォンの画面から回答する。回答は数字による選択式のほか、自由記述による回答もできる。教員側には回答結果が表示され、この結果画面を教室全体に示すことで、クラス全体の傾向を明示化することも可能。各回10分程度の予習ビデオを作成し、Course N@viに設定。「反転授業」を狙う。11【クリッカー出題の流れ】【学生回答画面】【結果表示画面】

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