【第2回 e-TeachingAward】補足資料2_小川先生
9/12

253新HSK単語数北大コーパス5,000語文教科書3,0001級15014194.00%13187.33%2級15014395.33%12482.67%3級30025886.00%22374.33%4級60045575.83%32954.83%5級1,30071755.15%37028.46%6級2,5001,07242.88%2028.08%高頻度語彙の採録率中国語コーパスを活用した中級語彙3,000語の選定が多数受験していた)、新HSKでは外国人のコミュニケーションツールとしての中国語力を測る方向へと大きく舵を切った結果の反映である。このため新HSKでは口語能力の習得に重点を置くCEF基準に基づいて級別設定されており、例えば、1、2級は漢字を知らなくても受験できるように試験問題にはピンインが併記されている。その意図が明瞭に現れているのが新HSKに残っている甲級語彙の配置である。下の図に見るとおり、1級から4級までに傾斜的に配置されているのが分かる【6】。旧HSK甲級語彙631語(甲級の63%)を4級までに学習させ、5級以降は中級レベルを目指すという意図が読み取れる。逆に興味深いのは丙丁級であった単語が1、2級に採録されているケースもある。これは6例と数が少ないので具体的に例を挙げてみよう。 电脑(パソコン:1級<=丙)、饭馆(高級レストラン、1級<=丙)、看(見る、1級<=丙)、进(入る、2級<=丙)、旅游(旅行する:2級<=丙)、生病(病気になる、2級<=丙) 動詞については、これほど平易な単語がなぜ丙丁に入っていたのか首をかしげざるを得ないが、名詞については時代の変化を反映するものと理解できる。これを3級までで丙丁に含まれていたものに対象を広げると、「菜单」(メニュー)、「打扫」(掃除する)、「地铁」(地下鉄)、「普通话」(標準語)、「照相机」(カメラ)、「周末」(週末)と、如上の傾向を明瞭に確認することができるだろう。週末という語彙も週休二日制が90年代半ばに定着してから使用頻度があがった背景がある。 このように時代に対応した手直しがあったことは伺われるが、張晋軍が今後の改善点として級別語彙の配置の改善や新たに語彙を取捨選択する必要性を認めている【7】ように、現代中国社会の言語実態を本当に反映しているかどうかは疑問が残る。その検証として、今回の研究プロジェクトで蓄積したデータを利用してみたい。3.2.コーパスデータ新旧HSK語彙の比較 右の図は北京大学コーパスデータで用例数上位5,000までの語彙と「語文新課標教材3,000基本詞語表」(以下、語文基礎語彙)との比較である。詳細は上述の通りで、いずれも現代中国社会の言語実態を忠実に反映していると考えられるが、コーパスデータは用例採集対象が多岐にわたることから規範性が希薄であるのに対して、後者は国語の教科書(小中学校6年間)で高頻出語彙3,000語を採録しているため規範性が高い語彙が多い。性質の異なる頻度順データとつきあわせることにより、新HSK語彙がどの程度まで言語実態を反映しているかを判断する材料になると思われる【8】。ただし、後者については3,000語に限られるため、5,000語の6級は検討対象には含めないものとする。 この表でも明瞭に読み取れる特徴は1~4級までの採録比率の高さである。4級までの1,200語につい

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です