情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

MNCの視点

MNC科目における仮想デスクトップ環境を用いた授業の取り組みについて

2013年7月より12月までの間、メディアネットワークセンターでは、仮想デスクトップ環境を用いた授業を行いました。通常授業で受講生が使用している物理的なデスクトップ環境の替わりに、仮想的なデスクトップ環境を構築し、それらを情報教育科目の実習で使用することにより、実施環境の有効性を検証しました。なお、本取り組みはIBM社のSUR Awards(*)により寄贈を受けた、サーバ、OS、関連ソフトを用いて行いました。

(1) 仮想デスクトップ環境の利点について

仮想デスクトップとは、デスクトップ環境を仮想化してサーバ上に集約したものです。利用者はクライアント機からネットワークを通じてサーバ上の仮想マシンに接続し、デスクトップ画面を呼び出して操作します。従来のような物理的なコンピュータにOSやソフトが入っている方式に比べ、仮想デスクトップ環境では、サーバでOSやソフトウェアを集中管理するため、ソフトウェアの追加や更新、修正などのメンテナンスが容易です。

また、仮想デスクトップ環境では物理的なコンピュータの実体とデスクトップ環境が切り離されているため、サーバにネットワーク接続できる端末さえあれば、いつでも、どこからでも、様々な種類の端末からデスクトップを利用できるメリットもあります。今回の取り組みでは、上記のような特性を活かして、受講生が使用する環境の準備をより効率的に行うことや、時間や場所にとらわれずに環境を利用して学習出来ることなどを、実習で試しました。

(2) 授業での利用について

メディアネットワークセンターで開講している、「データベース II」、「情報科学の基礎」の実習で、仮想デスクトップ環境を利用し、以下の有効性を検証しました。

  1. データベース II
    授業はOracleを操作しながら、データベース管理・Oracleのアーキテクチャを理解し、データベース管理者としての知識を身につけることを目標とする内容です。データベースを操作する演習の際に、受講生が使用するOSやデータベースの環境を事前に準備することになります。従来の物理的なデスクトップ環境で実施する場合と比較して、受講生が使用する環境を管理者が集中管理できるため、データベースを設定してイメージを配付することが容易になり、授業運営の負荷が減少することを期待しました。また、次週の講義でも、引続き環境を利用する場合や環境を初期に戻す場合など、講義の進め方に合わせて柔軟に受講生の環境を講師が制御することにより運営の柔軟性が向上することも効果として期待しました。
  2. 情報科学の基礎
    授業はWebサービスを、演習を通して使用したり、新しく作ることでその仕組みを理解して、情報処理の理解を深める内容です。Javaのプログラム開発をする演習では、受講生毎にプログラム開発のための環境の準備が必要でしたが、講師が作成したイメージデータをコピー配付することにより、環境準備のための負荷が軽減されることを期待しました。
(3) 取り組み結果と今後の課題

今回、実証実験を行った授業では、受講生毎に個別に実習環境を用意する必要がありました。環境の準備では、仮想デスクトップ環境のイメージをコピーすることにより、従来は物理的なデスクトップに個々に行っていた設定作業がより簡単に出来るなど、授業運営において効果があることを確認することが出来ました。

また、従来のようにコンピュータールームの物理的なデスクトップ環境を利用した場合は、授業後にシャットダウンするとデスクトップの状態が初期の状態にクリアされる設定にせざるをえないので、「データベースⅡ」の授業のように、次週も継続して同じ環境を利用する場合は、今回のような仮想デスクトップ環境を利用することが効果的なことが確認できました。

今回は仮想デスクトップを授業内で使用する試みが初めてだったこともあり、受講生が使用するクライント端末を、仮想デスクトップ環境で利用するための設定や仮想デスクトップ環境の準備に多くの時間を要しました。それらの準備作業をより短時間で行うことは今後の課題として挙げられます。また、授業で使用する環境を受講生が自宅など大学の外で利用出来るようにし、いつでもどこからでも利用することが出来るようにしていくことも今後の課題として挙げられます。

さらに、今後はコンピュータルームにおいて仮想デスクトップ環境を利用者に提供することで、高額で個人では購入が難しいソフトを個人所有PCにて学内外から利用できる環境を展開していき、これまでコンピュータルームでしか利用できなかったサービスを様々な環境で提供できるよう整備していくことも検討しています。

(*)The IBM Shared University Research (SUR) Awards
http://www.research.ibm.com/university/sur/
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