情報化推進レター

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教員コラム

トッププロ棋士のレベルに迫ってきたコンピュータ将棋

瀧澤武信
政治経済学術院 教授

最初のコンピュータ将棋は、1974年に筆者らが開発を開始した。

1986年には東京農工大学の小谷善行氏らとともに「将棋プログラムの会」(1987年に「コンピュータ将棋協会」(Computer Shogi Association、 CSA)に改名)を立ち上げ、1990年から「コンピュータ将棋選手権」(2001年に「世界コンピュータ将棋選手権」(World Computer Shogi Championship、 WCSC)に改名)を主催している。

2002年に「激指」(鶴岡慶雅氏ほか)、2006年に「Bonanza」(保木邦仁氏)がそれぞれ新たな手法を開発し、その後、保木氏がソース・コードの公開を行ったことから急速に発展した。人間との対局で、2007年の渡辺明竜王対「Bonanza」【渡辺竜王の勝】、2010年の清水市代女流王将対「あから2010」(激指、GPS将棋(田中哲朗氏、金子知適氏ほか)、Bonanza、YSS(山下宏氏)の合議ソフトウエア)【あから2010の勝】、2012年の米長邦雄永世棋聖対「ボンクラーズ」(伊藤英紀氏)【ボンクラーズの勝】という結果が示すように、プロ棋士のレベルに近づいてきている。

コンピュータ将棋略史

CSAでは、例会や研究発表会(ゲーム・プログラミングワークショップ等)を通して、選手権上位入賞者に積極的な情報公開を促し、それがコンピュータ将棋発展をもたらしたと自負している。また、WCSCは以下のポリシーに基づいて運営されている【(1)WCSCは、公平な運営のもとで、最強のソフトウエアを決めるためのものである。(2)WCSCでは、参加者のハードウエアの制限をしない。また、参加者の制限をしない。(3)WCSCの場では、開発者の交流をはかる】WCSCには海外ソフトウエアの参加もあり、表2のShotestはイギリスの、KCCは朝鮮民主主義人民共和国のソフトウエアである。

世界コンピューター将棋選手権
第21回大会
【写真1:第21回大会の様子:国際会議場入口
(コンピュータ将棋協会(CSA)提供)】

2012年には、あから2010を構成したソフトウエアや人間側の対策などを研究の発想を中心に解説した「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」(技術評論社)を出版した。

2013年には、A級棋士を含む現役プロ棋士5名と2012年の「第22回世界コンピュータ将棋選手権」で5位以内に入ったソフトウエアとの対局が3月から4月にかけて行われる(「第2回電王戦」主催:dwango、日本将棋連盟)。それに引き続いて「第23回世界コンピュータ将棋選手権」が5月に催されることになっている(CSA主催、早稲田大学ほか後援)。この選手権は「早稲田大学国際会議場」(写真1)で催され、5月5日には、予選を勝ち抜いた8チームによる総当たりの決勝が行われる。決勝は国際会議場1階の「井深大記念ホール」(写真2)にてプロ棋士による解説会があり、事前の登録なしに入場できる(入場は無料)。2012年に優勝したGPS将棋などのソフトウエアの活躍が期待される。一方、2012年には決勝に進出したものの6位だった「激指」、9位で決勝に進めなかった「Bonanza」などの巻き返しも見どころである。

いずれにしろ、数年でトッププロ棋士に迫るソフトウエアが出てくるものと予想される。本年の選手権でも、どのような新しい手法を搭載したものが出てくるか、目が離せない。

第21回大会
【写真2:第21回大会の様子:井深大記念ホール
(コンピュータ将棋協会(CSA)提供)】
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