情報化推進レター

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教員コラム

インターネット選挙運動解禁について

小倉 義明
政治経済学術院 准教授

Dr.Ogura

2013年5月26日にインターネット選挙運動を解禁する改正公職選挙法が施行されました。自分の思想・信条を手軽に公にできるインターネットツールが普及し、実際に利用している学生の皆さんも少なくないでしょう。政治経済について真剣に考え、議論することは社会人として大事な責務ではありますが、公的な発言には必ず責任が伴います。とくに、このような責任に無頓着な若い学生の中には、インターネットという公の場で、議論に熱中するあまりに暴言を吐いたり、軽い気持ちで放言したりしたことで、思いもよらぬ法的責任を問われる人が出てくることもありえます。今回、インターネット選挙運動が解禁されたことで、候補者のみならず、一般有権者である私たちにも表現の機会が増えるとともに、責任を負うリスクがまたひとつ増えたと言えます。以下、総務省からの公報資料をもとに、インターネットを利用した選挙運動に関する注意点をかいつまんで紹介します。網羅的には記述できませんので、より詳細な情報を得たい方はぜひ総務省「インターネット選挙活動の解禁に関する情報」ウェブサイト等を参照してください。

まず、候補者や政党だけではなく、一般有権者もウェブサイト等(ホームページ、ブログ、ツイッターやフェイスブック等のSNS、動画共有サービス、動画中継サイト等)を利用した選挙運動を行えるようになりました。選挙運動とは、判例等により「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得、又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。ネットを通じて一般の有権者が比較的自由にかつ低コストで選挙運動に参加できるようになったことは画期的な変革であり、とかく政治に無関心になりがちな若者たちを政治に向かわせるよいきっかけになることでしょう。まさに技術革新の賜物です。

ただし、いくつかの制約があります。まず、一般有権者による電子メールによる選挙運動は引き続き禁止されます。候補者や政党についても、選挙運動メールの送信先はあらかじめメール受信を承諾した相手などに限られます。なお、未成年者はそもそも有権者ではありませんので、電子メールに限らず、選挙運動全般が法律で禁じられています。したがって、20歳の誕生日を過ぎた学生の皆さんがYouTube、Facebook、Lineなどを通して特定の候補者を応援することは可能ですが、知り合いなどに電子メールで特定の候補者への投票を促すことは法律で禁じられています。選挙運動に関わるウェブコンテンツや電子メールを紙に印刷して配布することも禁止されています。なお、このようなウェブコンテンツを作成・更新できるのは、選挙公示日から選挙前日までの選挙運動期間のみであることにも注意する必要があります。

特定の候補者に有利あるいは不利になることを目的として、他人になりすまして通信する行為、虚偽の事実を公表する行為、事実をゆがめて公表する行為、あるいは悪質な誹謗・中傷行為、ウェブサイトを改ざんする行為に対しては刑罰が科せられ、選挙権・被選挙権が停止されます。なお、選挙運動に限らず、他人のIDやパスワードを悪用するなどにより、本来アクセスする権限のないコンピューターを利用することについても刑罰が科せられます(不正アクセス行為の禁止等に関する法律第3条、第11条)。

こう書きますと、中にはわかりにくいものもあり、ずいぶんと窮屈な印象を持たれるかもしれませんが、基本的には選挙運動の公正性を保つことを目的としたものです。インターネット上においても節度と責任のある発言で社会に貢献できるよう心がけたいものです。

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