情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

巻末コラム

デジタルキャンパスコンソーシアム(DCC)海外視察調査実施報告

【香港バプティスト大学視察の様子】

デジタルキャンパスコンソーシアム(以下、DCC)では、会員企業23社の協力のもと、1999年より情報ネットワークを基盤とした新しい教育方法の実現を目指し、様々な活動を行ってきました。その活動の一環として、例年アジア各国教育機関、企業における先進的な取り組みについて視察調査を実施しています。

2013年度は香港を訪問しました。IT先進国であり、QSアジア大学ランキングでも上位に名を連ねている大学の多い香港では教育機関におけるICT活用が進んでおり、MOOCsに代表される「教育のオープン化」やICTを活用した「対話型、問題発見・解決型教育」について、先駆的かつ積極的な取り組みを視察しました。

はじめに訪れたのは過去にDCCサポート科目であるオープン教育センター設置科目「World Englishes and Miscommunications」への参加実績がある香港バプティスト大学と香港最古の大学である香港大学です。香港大学は、大学評価の世界的指標である The Times Higher Education による「世界大学ランキング 2013-2014」では43位(アジア圏の大学では第3位)であり、2013年度 QSアジア大学ランキングでは第2位というアジアトップクラスの大学です。

この両校で、グループワークやディスカッションなど自立的な学習をするための学習環境である「LEARNING COMMONS」を視察しました。

香港バプティスト大学のLEARNING COMMONSは、自習用スペースである「My Zone」とグループ学習用の「Our Zone」に分かれており、「My Zone」では個人が課題や資料作成に取り組んでおり、「Our Zone」では複数の学生がディスカッションしながらグループワークを実施している様子が見られました。どちらも多くの学生が利用しており活気がありました。

【香港バプティスト大学】【LEARNING COMMONS入口】
【LEARNING COMMONSの様子】【LEARNING COMMONS見取り図】

香港大学では、まず図書館の中にある学習スペースである「Study Zone」を見学しました。ここでも先の香港バプティスト大学のLEARNING COMMONS同様に個人学習用のスペースとグループ学習用のスペースが整備されていました。中でも特徴的だったのは、修士・博士課程の学生用に2週間単位で借りることができる個人学習スペースです。このスペースはパーティションで一人一人のスペースが区切られており、荷物を保管できるよう鍵付のキャビネットも完備されていました。このスペースは多くの学生が研究活動や論文作成に活用しているということでした。プリンタ課金やロッカーの鍵も学生証のICカードで行っておりICT活用が進んでいるという印象でした。

また、香港大学には図書館の学習スペースとは別にLEARNING COMMONSも完備されていました。こちらは新設された大規模な建物の中の2フロアをまるごと学習スペースとしており、かなり大規模なLEARNING COMMONSでした。中はまるでスターバックスコーヒーのお店のようにスタイリッシュでゆったりとした空間で、非常に多くの学生が個人学習をしたりグループ学習をしていました。

香港バプティスト大学、香港大学ともに大規模なLEARNING COMMONSにも関わらず、ほぼ満席の状態で学生が課題に取り組んでいる様子が見られ、非常に印象的でした。それだけ日々こなさなければならない課題量も多いということでしょう。

【香港大学】【図書館入口】
【Study Zoneの様子】【個人学習スペースの様子】
【LEARNING COMMONS外観】【LEARNING COMMONSの様子】

続いて、2013年度 QSアジア大学ランキングで第1位を獲得した香港科技大学と香港理工大学を訪れました。

香港科技大学では、eラーニングと講義を組み合わせたFlipped Classroom(反転授業)への取り組みを強化しているそうです。また、MITをはじめハーバード大やスタンフォード大も取り組みを始めているオープンなオンライン学習講座であるMOOC(Massive Open Online Course)に今夏から参加しており、3コースを開設し13万人ほどが登録しているとのことです。会議の中ではFlipped Classroom推進における課題点等について活発な意見交換が行われました。

※ Flipped Classroomとは
eラーニングで知識習得などの基礎的な内容を予習してから教室ではディスカッションやグループワークにより応用的な内容を学んだり、eラーニングでの疑問点を解消する、というようなeラーニングと教室での講義を組み合わせた授業形態のこと
【香港科技大学】【視察の様子】

香港理工大学では、欧米の有力大学がどんどんMOOCに参入している中で、アジアの大学がプレゼンスを高めていくにはアジアの大学でMOOCのコミュニティを作って団結していく必要がある、早稲田大学にもぜひ参加して欲しいという旨の話がありました。

香港理工大学でもLEARNING COMMONSは図書館の中にありました。設備としては先の香港バプティスト大学や香港大学のような規模、豪華さは無いものの、ほぼ満席状態の学習スペースでは学生が個人学習やグループワークを熱心に行っており、設備の豪華さ、キレイさが重要なのではなく学生の学習意欲が重要なのだということをひしひしと感じました。

【香港理工大学】【視察の様子】
【LEARNING COMMONSの様子1】 【LEARNING COMMONSの様子2】

今回の視察を通して、DCCの今後の活動に対する多くの示唆を得ることができました。また、国際的な経済都市でありアジア大学ランキング上位に多くの大学を擁する香港の力の源泉を感じた視察でした。

視察の中で最も印象に残っているのが香港科技大学のProf.T.C.Pong氏のお話にあった中国の諺です。

  • Tell me and I will forget.
     (言って教えてください、そうすれば忘れてしまうでしょう)
  • Show me and I will remember.
     (やってみせてください、そうすれば覚えるでしょう)
  • Involve me and I will understand.
     (巻き込んで参加させてください、そうすれば理解できるしょう)

つまり、これまでの教える側から学ぶ側への一方通行ではなく、学生を学習に巻き込んで参加させることが重要であるという趣旨の話だったのですが、まさにこれからの新しい学習のあり方を示す非常に簡潔な言葉であると思います。

(山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」とも通ずるものがあります)

今後もDCCは、ICTを活用した新たな教育スタイルの実現を目指し、活動を続けていきます。

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