情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

Course N@vi事例紹介

「Xpert」をゼミの発表に活用し、プレゼン能力の向上に大きな効果

木村 好美
文学学術院 准教授

2010年度よりCourse N@viから「Xpert」という動画コンテンツ作成ツールがダウンロードできるようになった。木村准教授は、ゼミにおける自己紹介やグループ発表を行う際に、このツールを使って動画を作成させている。学生たちは、自らが発表する姿を録画することで、自分の発表の様子を客観的に見ることができ、プレゼンテーションのスキルアップに大きな効果を上げているという。

  • 2012年5月で「Xpert」のダウンロードは終了しました。今後は「Commons」をご利用いただけます。詳細は以下をご覧ください。
参照
教員向け利用マニュアル > Course N@vi 利用マニュアル > 13.授業アンケートおよびCommonsについて > 13-03.Commonsについて
自己紹介コンテンツで、学生間の交流をスムーズに

DrKimura

木村准教授の担当するゼミは、3年生と4年生との合同で行っていることもあり、30人弱もの学生が所属している。ゼミにしては大人数のため、学生同士が互いの顔と名前を覚えるのには時間がかかってしまう。そこで、2011年度から学期始めの宿題として、各自の自己紹介用コンテンツを作らせてみることにした。そこで利用したのが、「Xpert」だ。

「Xpert」では、Webカメラやマイクを使って自分が話す様子を撮影し、PowerPointなどで作成した資料と組み合わせて動画コンテンツを制作できる。当該ソフトをインストールするのみで、学内外からの利用が可能だ。木村准教授のゼミでは、学内の演習室にある5台のPCにインストールしておいた他、各自が自宅のPCからも使えるよう、インストールや使用法などについて、担当の職員からレクチャーしてもらった。学生個人のPCに入っているOSのバージョンなどによっては、インストールがうまくいかないなど多少つまずいた学生もいたようだが、担当者にサポートしてもらった結果、最終的にはどの学生も問題なく使うことができたという。

「自己紹介は、自分が興味のあるものを紹介するなど、自由な内容で作らせました。5分間程度の短いもので可としましたが、中には凝った長編を作ってくる学生もいました。学生の個性が垣間見えて、なかなか良かったと思います」

ゼミのグループ発表用に動画コンテンツを共同作成

制作期間は、3年生は1週間、4年生には就活中であることも考慮して2週間とした。自分が作成したコンテンツをアップロードした後、コメントをつける練習も兼ねて、他の学生のコンテンツについて、1人分ずつそれを見た感想を書き込ませることとした。「成績の対象としなかったこともあり、コメントを付けない学生もいましたが、学生同士の会話を聞いている限りでは、他人の自己紹介もほぼすべて見ていたようです。これを見たおかげで他の学生の顔と名前を覚えられたと、学生たちには好評でした」

この自己紹介は、Course N@vi上にコンテンツとしてアップロードされていることで、いつでも好きなときに見ることができる状態になっている。「就活でなかなか学校に来られなかった4年生からは、自宅から3年生の自己紹介を見られたので、どんな学生が加わったのか把握できてよかったという声もありました」

前期終了後には、5~6人のグループで行う発表を、共同コンテンツ作成という形で実施した。「全員が、学期始めの自己紹介で1度経験しているので、制作やアップロードの操作そのものには、どの学生もある程度の自信を持って取り組めたようです。最近の学生は携帯電話やスマートフォンなどを使いこなす一方で、PCに対しては苦手意識を持っていることも多いのですが、自己紹介という気楽に作れるコンテンツから始めさせたのが功を奏したようです」

コンテンツに組み込む資料はPowerPointを使って作成する。卒業後、企業などに就職すればPowerPointを使用する場面は多くなるが、大学在学中にはその使用機会があまりない。「人から見ていかに分かりやすい資料を作るか、この時点でPowerPointの扱いに慣れておくことは、学生にとって大きなプラスになるでしょう。今回の試みは、その意味でもいい練習になっていると思います」

自分が話す様子を客観的にチェックできる

さらに、Xpert導入で得た一番の収穫は、自分が発表する姿を客観的に見ることができた点にあると、木村准教授は感じている。「自分が話す姿が他人からはどう見えるのか、通常自分では分かりません。その点、Xpertを使って録画してみると、自分でも気がつかなかった口癖や表情、話す速度が適切かどうかなどということを、客観的にチェックできます。そうした自分の癖を知り、少し意識するだけでも、話す能力は各段に違ってきます。Xpertというのは、人前で話すスキルをトレーニングするのにも絶好のツールだなと思いました」

話し方のトレーニングという意味では、自分の姿を見るだけでなく、他人が発表している姿を見ることも大いに参考になる。「今回のゼミ発表では、各自他人の分も見ておくように言っておいたのですが、実際はあまり見ていなかったようです。次回からは、確実に見てもらうために、他の学生の発表へのコメントを必須とするのも一案かもしれません」

2011年度の後期には再び発表用コンテンツを作成させるが、これについては、個別で自宅から視聴させるのではなく、翌2012年度の半ばに教室で見せることも検討しているという。「話し方というのは、一度パターンが身についてしまうと、なかなか修正しにくくなります。学生の早い時期に、こうしたツールを活用して自分の話し方をチェックしてトレーニングできる機会は貴重です。ぜひ、さまざまな授業で取り入れてみることをお勧めします」

就職活動を見据えた面接の練習にも使える

さらに、カメラに向かって話すという状況に慣れることも、緊張した場面で人の目を意識しながら話す練習になる。今回が初めての試みだったため、4年生はすでに就職活動を終えた学生が多かったが、「もっと早く使っていれば、面接の練習にも役立ったと思う」という声が多く聞かれたという。

Xpertは自宅のPCでも使えるため、授業用に限らず、自分が話しているところを自由に撮影してみることもできる。「授業や人に見せることを前提としなくても、自分自身で面接の自主練習としても使えば、きっと効果があるでしょう。外部の業者で面接のトレーニングをしてくれる講座などもありますが、そういうものに高いお金を払わなくても、Xpertは早稲田の学生なら誰でも利用できるので、ぜひ活用してほしいですね」

グループワークの打ち合わせにCourse N@viの掲示板も活用

グループの共同コンテンツ作りの過程では、Course N@viの掲示板も活用している。「班ごとにディスカッションする場を作ってほしいという学生からの要望を受けて、各グループ用の掲示板を設定しました。誰かが作りかけのPowerPointのファイルを添付すると、他のメンバーがチェックをしたり、続きを引き受けたりと、工夫して便利に使っていたようです。グループワークを行うときに、Course N@viの掲示板はとても有効だと思います」教員側でも、Course N@viにログインすればこのやりとりを見ることができる。適宜チェックし、進捗具合を確認できたのもよかったという。

最近の若者は、プライベートでもPCで動画を視聴する機会は多い。多くのノートPCにはWebカメラが搭載されていることもあり、自分の動画を撮影する側に回るのも、それほど敷居は高くない。「学生はコンテンツを作ること自体には親和性が高いようです。何度も撮り直したりして手間はかかっても、ワイワイやりながら熱心にやっています。昨年度は対面で発表した4年生に聞いても、Xpertを使ったコンテンツ作成の方がよいと感じた学生が多かったようです」気軽に取り組める分、作ることだけが目標となることなく、発表の内容や上手な伝え方といった部分での教育効果も期待できる。

木村准教授は、今回の試みを通じて、学生が自宅から操作できるという点にも大きな可能性を感じたという。「昨今懸念されているような、新型インフルエンザや災害など、大学に来られない非常事態を想定した場合、Course N@viのみでなくXpertのようなツールを積極的に活用することは、非常に重要になってくると思います。新しいツールは慣れるまでが多少面倒ですが、学生も教員も、普段からできるだけ使えるようにしておくと安心なのではないでしょうか」

Course N@viデビューへの一言!
動画コンテンツ作成ツールと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、出来上がったものを見るだけなら、PCが苦手でも問題ありません。プレゼンの練習には格好のツールなので、ぜひ多くの場面で活用して欲しいと思います。
xpert
ゼミ発表では、用意したPowerPointの資料と、それを説明している自分の姿をWebカメラで撮影した映像とを組み合わせて、15分ほどのコンテンツを作らせている
Copyright(C)Media Network Center, Waseda University. All rights reserved.