情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

Course [email protected]事例紹介

複数のフルオンデマンド授業をアクセス権限設定で効率的に管理

高木 悟
オープン教育センター 客員准教授
新庄 玲子
メディアネットワークセンター 助教

全新入生対象の基盤教育をフルオンデマンドで実施
高木先生と新庄先生

オープン教育センターでは、2008年度より「WASEDA式アカデミックリテラシー」(通称:1万人シリーズ)という全学オープン科目を提供している。あらゆる学問分野の基礎的能力を身に付ける基盤教育を目的としたもので、「英語コミュニケーション能力」「文章作成力」「数学的思考力」の3つの分野の授業が展開されている。

このうち、高木准教授が担当するのが「1万人の数学」だ。この授業は、教場での授業を一切行わないフルオンデマンド形式で行われている。「WASEDA式アカデミックリテラシー」は、全学年の学生が履修可能となっているが、そもそもは全新入生が履修することを前提として設けられたものだ。新入生全員となると1万人近くなり、これだけの人数を対象とした授業を教場で実施することは、現実的にむずかしい。そんな事情もあり、この授業では開始当初より、すべてをCourse [email protected]上で実施するフルオンデマンド形式が採用されている。

この授業は、春・秋学期とも各半分の期間で設定されており、授業回数は全部で8回となる。Course [email protected]に慣れたり、数学の概要を理解したりするための導入編として1回分を作成し、実際には全9回分のコンテンツで構成されている。履修学生は、20分程度の講義ビデオを3本視聴し、小テストに取り組むという授業を7回繰り返した後、最後の1回分を使ってCourse [email protected]上で試験を受ける。

Course [email protected]には数式エディタも用意されており、数式を使った問題も画面上に表示させることができる。オンデマンド用授業を収録する際、高木准教授は、なるべく目の前にいる雰囲気になるように意識して語りかけていると言う。「自分が学生の立場だったら、単にパワーポイントが流れて、その説明を棒読みしているだけのビデオは見る気にならない」と感じるからだ。

複数授業を一括登録し、権限設定で使い分ける

2008年度後期の開始時には1科目から始まったこの授業も、順次科目が追加され、2010年度には4科目が設定された。これらはすべて高木准教授一人で担当してきたが、複数の科目を扱うようになると、Course [email protected]上からそれぞれの授業フォルダにアクセスして個別に管理することを、煩雑に感じるようになったと言う。

そこで、この「1万人の数学」で扱う複数の科目をCourse [email protected]上ではひとつの授業として設定することにした。これにより、受講上の注意を載せたガイダンスや、Course [email protected]を初めて利用する学生のための練習用小テスト、および各科目に共通する資料など、どの科目を履修する学生にも見せたいコンテンツを一括管理することが可能になった。

一方で、学生の側で、自分が履修していない授業のコンテンツまで見えてしまうことは避ける必要がある。そこで、1科目のみ履修する場合、2科目履修する場合…というように、学生が履修している科目に応じてアクセスできるコンテンツを制限し、自分が履修していない科目のコンテンツは見られないようにした。

この仕組みにより、教員にとっては、共通するものは1度のアップロード作業ですみ、複数科目を履修している学生も、同じものを何度も見る必要がなくなるなど、重複のムダが避けられるようになった。

複数授業をまとめて権限設定で使い分けるこの方法は、対面授業でも活用できる。たとえば、複数学年の学生を合同で実施しているゼミや、語学など一人の教員が複数のクラスを担当しているケースでは、効率的な運営に役立つだろう。

質問はBBS、メールに加え、対面で受け付ける場も用意

複数科目共通の試みとしては、科目共通のBBSをひとつ用意し、質問があれば自由に投稿できるようにした。「雑談も可とし、初級・中級各レベルの学生が共通の場で情報交換できる場として設置しました」。BBS形式だと、質問と回答を他の学生も共有できることで、実際に投稿する学生以外にも参考になるだろう。

この授業に関する質問は、BBSやメール以外にも、対面で受け付ける体制も用意している。「画面に数式を入力する手間もあり、メールやBBSなどのオンラインでは質問しづらいケースもあると思うので、面と向かって口頭で質問できる機会を設けました」。

基本的には月曜から土曜まで毎日、担当のTAを指定の場所に待機させておくこととし、学生には気軽に質問に来てよいと呼びかけている。その結果、質問をしてきた学生の数は、メールやBBSを使うよりも、対面の場を利用したケースが多かった。

「アンケートの結果、実際には質問に来なかった学生の中にも、直接対面で質問できるシステムがあるおかげで安心して受講できたという声が、数多く寄せられました」。互いの顔が見えないフルオンデマンドの授業において、対面でフォローする機会を設けることが、学生の不安解消につながっているようだ。

自動採点機能は対面授業でも効果的

2011年度終了時点で、この授業の履修生は2,000人規模となっている。これだけの大人数の授業において、小テストや試験の際に記述式の回答を採点することは不可能だ。そこで、出題方法は、数字を穴埋めさせる形式で解答できるように統一されている。「解答が数字だけならCourse [email protected]上で自動採点できるので、人数が多い授業では大変効率的です」。

この自動採点のメリットについては、2012年度からの追加科目を担当することになっている新庄助教も、大いに魅力に感じていると言う。「今まで行っていた対面授業では、小テストを小まめに実施したいと思っても、人数が多いと採点の手間が大変で、実際はそう頻繁にはできませんでした」。今回、このフルオンデマンド授業の準備に参加してCourse [email protected]の自動採点機能を知り、一足先に対面授業での中間テストにCourse [email protected]を使ってみて、その便利さを実感したそうだ。

「特に数学の場合、授業を聞いているだけでなく、自分で問題を解かないと力がつきません。授業内には演習の時間を取れないし、学生に自主的にやらせるのもむずかしいのが悩みの種でした」。その点、空き時間にCourse [email protected]上で小テストを受けさせる形なら、授業時間にも食い込まず、その結果を成績に反映することで、学生も真面目に取り組む。「小テストを実施すれば、たまたま定期試験で実力を出せなかった学生に対しても、日々の積み重ねを評価することができます。Course [email protected]の自動採点機能を使えば教員の手間も軽減できるので、オンデマンド授業に限らず、対面授業にもどんどん取り入れていくといいのではないでしょうか」。

数学の場合、解答用の選択肢を用意しなくても数字で解答させることができるので、特に自動採点機能が教員の労力低減に威力を発揮すると言えそうだ。

また、Course [email protected]を使うと、授業ごとに設定された私書箱で質問を受け付けられる点も便利だと、新庄助教は指摘する。「現在行っている対面授業で、質問のある学生がインターネットで私のメールアドレスを検索して連絡してくるケースがあります。これだと、誰が、どの授業について質問をしているのかを把握できないため、対応しにくいのです。その点、Course [email protected]上から送ってもらえばその点が明確になるので、より的確な回答ができます」。

オンデマンドを活用した補習用コンテンツに期待

さらに、対面授業でのCourse [email protected]活用法として新庄助教が期待するのは、補習用の追加コンテンツの作成だ。授業内で説明しきれなかったことや訂正事項などを、Course [email protected]にアップしておけば、正規の授業時間を圧迫することなく補足できる。「数学は積み重ねの学問なので、過去に学んだ内容を忘れてしまっている場合には、それを補う必要があります。必要な部分にフォーカスして説明したコンテンツを作成しておき、理解不足だと感じる学生がオンデマンドで各自自由に見られるように用意しておけるといいですね」。

これまでも、補習用のプリントを用意して配付したりしていたが、その都度印刷して配付する手間がかかっていた。Course [email protected]上のコンテンツとして作成しておけば、一度作ったものはそのまま残しておける。

「今まではよく知らなかったけれど、Course [email protected]には対面授業にも便利に使える可能性がいろいろあるなと感じました」と語る新庄助教。今後、入学してきた新入生が、まずこの1万人シリーズを履修することでCourse [email protected]に慣れるようになると、その他の授業においても、よりさまざまな場面で活用しやすくなっていくことが期待される。

Course [email protected]デビューへの一言!
フルオンデマンドのこの授業を体験した学生たちからは、Course [email protected]を他の授業でも使ってほしいという声がたくさん聞かれました。いろいろな活用事例を見て、ぜひより多くの教員が導入してくれるといいですね。
権限設定編集画面
画面(権限設定編集画面):グループ管理画面で履修者を科目ごとのグループに分け、権限編集設定画面でどのコンテンツをどの科目の履修者グループに見せるのか設定を行う。
Copyright(C)Media Network Center, Waseda University. All rights reserved.