情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

巻末コラム

早稲田大学におけるeポートフォリオシステム導入の検討
   -2011年度Maharaオープンフォーラム参加報告-

10月1日・2日に北海道札幌市において開催された「第2回Maharaオープンフォーラム」に、メディアネットワークセンター・遠隔教育センターの専任職員数名で参加しました。

Maharaとは、オープンソースのeポートフォリオシステムのことです。本フォーラムへの参加を通じて、先行導入大学の事例を調査し、早稲田大学におけるeポートフォリオシステム導入や効果的な活用方法に関する知見を得ることができました。

eポートフォリオシステムとは

ポートフォリオとは、大学教育の現場では「教育記録」を意味する言葉として使われています。eポートフォリオシステムとは、そういった教育記録の蓄積や管理を行うことができるシステムです。このシステムを導入している大学では、授業で作成したレポートや論文(学習した成果)などの成果を自由にeポートフォリオシステム上に蓄積したり、成果だけでなくその取り組みのプロセスや学んだ点、気付いた点なども合わせて記録したりすることで活用されています。学期毎に自分が履修した授業の記録を残し、学期末には自分自身の成長を振り返って来学期の目標を立てる、といった利用をします。

最終的には、大学における学習の成果がすべてeポートフォリオシステムに記録され、「大学で何を学んだか」「そのときに、どのようなことを考えたか」など、学びと成長の軌跡となり、例えば、就職活動時などに、自分自身を振り返るためのツールとなることが期待されています。

eポートフォリオシステムの導入事例

本フォーラムでは、Maharaを導入している各大学より実際の活用事例の報告がありました。多くの事例では、授業担当教員はLMS(Learning Management System)とeポートフォリオシステムであるMaharaを組み合わせて利用していました。具体的には、授業の進行や教材の提示はLMS側で教員の管理のもと行い、Maharaは学生が自由に利用できるワークプレイスとして、あるいは課題や授業成果の提出場所として利用するという使い分け方が一般的でした。

以下に3つの活用事例を紹介します。

特定のゼミ科目、大学院科目で利用する事例
  • ゼミナールや大学院の授業で、学生が取り組む研究に関する様々な活動を記録するために活用。
  • 学生は、自身の研究目的、研究のために行った調査、調べた文献、研究の中間成果などをポートフォリオに蓄積させ、都度振り返りを行い自己採点する。
  • 教員は、学生の研究進捗、自己採点を確認し、必要な指導や評価を行うことが可能。
  • 大学院生は論文や学会発表といった業績もポートフォリオに蓄積し、業績公開用に一般Webサイトとして公開するという使い方も可能。
1つの授業の中で、グループでの課題への取り組みと振り返りを行う事例
  • 授業を、グループによる課題への取り組みを中心に構成し、具体的には「テーマ検討、グループ討議、意見のまとめ、まとめの再利用・発表」というグループ活動を繰り返し行う形式で実施する。
  • 学生たちはこれらグループ活動の経過や成果を都度ポートフォリオに記録し、課題の完成に向け取り組みを進めていく。
  • 教員は課題の成果物であるレポートだけでなく、レポートを作成するまでのプロセスや手順そのものや、調査量、グループ活動での一人一人の学生の取り組み方を評価できるようになった。
活動成果やレポートを他者と共有し、ピアレビューをし合う活用
  • 毎回、授業の振り返りノート提出を必須としている授業で、振り返りノートを履修者間全員で共有できるよう、提出をeポートフォリオシステムで受け付けるようにする。
  • 学生は毎回の振り返りノートを中心に、提出した課題、また自分自身が最終的にまとめるレポートを、eポートフォリオシステムに蓄積した。
  • eポートフォリオシステムに蓄積されたノートや課題、レポートは履修者間で共有して見られるようにし、相互レビューを実施して全体で振り返りを行うようにした。
本学の取り組み状況について

早稲田大学においても、ごく一部の授業でLMSのCourse [email protected]からeポートフォリオ機能を提供しています。例えば、オープン教育センター設置科目「学術的文章の作成」では、受講生が授業で学んだ文章技能を、その後のレポート課題や論文執筆などでどのように生かすことができたか振り返るため、eポートフォリオ機能をトライアル導入しています。

eポートフォリオシステム導入に向けた課題

本フォーラムで紹介されたポートフォリオ導入事例は、ほとんどが特定授業における活用です。特定の授業内容をより深めるためにeポートフォリオを活用することはもちろん有効ですが、最終的には、特定の授業だけではなく、大学におけるすべての学習や活動が蓄積され、振り返りの対象となることが理想です。

そのようなより幅広い活用のためには、単にシステムを導入すれば良いというわけではなく、大学の制度的な面、各授業の設計、物理的な学習環境など、活用に当たっての体制や環境など、検討すべき課題が数多くあることが分かりました。

このように、本格的な導入に向けてはまだまだ課題も多く、環境の整備も必要ですが、まずは特定の授業などで、ポートフォリオを活用した授業成果の蓄積や振り返りを行うことが可能になるよう、引き続きシステム導入に向けた準備を進めていきます。

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