情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

Course N@vi事例紹介

解説付き小テストの実施で、復習効果が飛躍的にアップしました

横山将義
商学学術院教授

2007年度の秋学期よりCourse N@viを授業に取り入れている横山教授。「お知らせ機能」を利用した一斉メール配信や、授業の感想を書かせる「レビューシート」の利用が、学生との双方向コミュニケーションツールとして役立っているのに加え、「小テスト」機能を使った復習が、大きな学習効果を上げているという。

小テスト実施後、試験の成績がアップした
dr.yoshinaga

元々、パソコンにはあまり関心のなかった横山教授だが、以前、教務副部長を務めたときに、人間科学部通信教育課程(eスクール)のeラーニングに関する取り組みを見て、教育の情報化に興味を持ったという。

そこでCourse N@viが導入された2007年の秋に、最初に使ってみたのが「お知らせ機能」だった。急な教室変更やレポートの提出期限などの告知に使用したところ、学生全員に情報として行き渡らせたい情報を、欠席した学生も含めて確実に伝える手段として、非常に有効であったという。「急に39度の高熱が出てしまったときも、事務へ連絡するだけでなく、受講している学生たちにも朝一番で休講を知らせることができました。」

長期休暇中でも、ゼミ合宿の指示や、読んでおくべき本の通知などに役立っているという。今では、担当しているすべての授業で、Course N@viのお知らせ機能は欠かせないものになっているそうだ。

そして、翌年には講義科目において「小テスト」機能を利用し始めた。1問につき1~2分程度で解答できる問題を15~20問用意し、全部で30分弱の小テストを作成。これを授業2~3回につき1回程度の頻度で実施している。問題の内容は、複数の文章から正しいものを選択させる、正しい文章の数を書かせるものなど。終了後は、採点と同時にそれぞれの問題についての正解と解説をアップロードしておく。「この小テストを繰り返すことで、幅広い範囲をきめ細かく網羅して出題できます。学生は、小テスト終了後も何度でもその内容を確認できるので、非常に大きな復習効果がありました。」

これにより、例年と同レベルの問題であるにもかかわらず、教場で実施した試験の平均点が50点満点で3点程度上がるという成果をあげるに至った。

Course N@vi導入以前にも小テストは行なっていたが、その効果には大きな違いがあるという。「教場では解説のための時間を確保できないこともあり、やらせっぱなしで終わっていました。Course N@viなら、採点の結果と解説を学生自身が画面上で見られるので、どこが正しくて、どこがどう間違っているかをしっかり確認させることができます。」

Course N@viを使い出した頃は、小テスト自体は教場で行い、終了後にその解説を「お知らせ機能」を使って配信していた。「出題と解答もCourse N@viの小テスト機能を使うと、解説も同じ画面の中から参照できるのがいいですね。」

学生たちからも、「復習がよくできた」という満足の声が聞こえただけでなく、授業に対する参加意識も高まったようだという。「単に授業に出てきて話を聞くだけでなく、授業外でも継続的に学習をしなければならない環境を作ることで、授業を受ける姿勢が受け身ではなくなるという変化がありました。」

その結果、Course N@viに積極的に参加した学生ほど試験の成績もよく、単位の取得率も高かったという。学習意欲の高い学生ほどCourse N@viにも熱心に取り組むと推測できるため、よい成績に結びつくのもある意味当然ともいえる。「やる気のある学生にとって、Course N@viが非常に有効なツールであることは間違いありません。オンラインでの小テストを、ゲーム感覚で楽しんでいる学生もいるようですよ。」

2008年度にCourse N@viによる小テストを実施した「マクロ経済学」と「経済政策」は、それぞれ300人、100人という多人数が受講する科目だ。Course N@viを使うと採点が省力化できるのに加え、各問題の正答率が簡単にわかる。学生の理解度が把握できるだけでなく、教え方についての反省材料にもなるという。「受講生の数が多くても、今まで見えなかったひとりひとりの学力を把握できる点が魅力ですね。教員ひとり対300人の学生というのではなく、1対1の関係を300通り築けるのは、すばらしいことだと思います。」

レビューシートで学生の細かな要望に応える

横山教授がもう一つ効果を感じているのは、授業の感想や質問を書かせる「レビューシート」だ。加点対象とはするものの必須ではないため、300人の授業で提出する学生は50~60人程度だが、学生とのコミュニケーションに多いに役立っているという。

「特に小テストが終わった後は、問題の内容について難しかったとか良くわかったとか、さまざまなコメントがあります」。中には、小テストの設定曜日を変更してほしい、ホワイトボードの文字が光に反射して見えにくいので違う色で書いてほしいなどの要望もあるという。「今までは気づかなかったけれども、指摘があればすぐに修正できることも多いものです。ささいなことでも柔軟に対応できることで、学生の意欲も高まるし、私もやりがいを感じます。」

「学生と話をするのが大好き」という横山教授は、これらのコメントすべてに返信をつけているという。「最近の学生は引っ込み思案な面もあるようですが、Course N@viを通じてコメントのやりとりをしていると、対面したときにも話しかけやすくなるなど、関係がよくなることもありますね。こちらとしても、学生の反応がわかるのはうれしいものです。」

オンデマンド授業で感じた情報教育の可能性

Course N@viではないが、横山教授は以前、大学のWebサイトで一般向けに公開するためのビデオ講義を収録したことがある。それを見た鹿児島の高校生から「ぜひ早稲田の商学部に行きたい」というメールをもらって感動したという。「こんなに遠くで見ている人がいるとは驚きました。このような情報通信を使った手段を教育に取り込むと、今までとはずいぶん違う可能性が出てくるのだと実感しました。」

従来の教育は、同じ場所で同じ時間を過ごすことが必要だったが、今は情報通信という手段を使えば、時間や空間の壁を越えて一体化できる時代だ。「対面で行わなくてはいけないことと、そうでないことをうまく組み合わせていけばいいと思っています。」

今のところ、オンデマンド授業を通常の授業に取り入れていくことは考えていないという。「急な休講では準備している時間もないので、小テストを設定して対応していこうと思っています。」

実際に使ってみたら、あまり評判のよくなかった機能もある。ゼミのメンバーにディスカッション機能で議論させようとしたところ、学生からは「なんだかよそよそしくてやりにくい。議論は顔を見ながらやりたい」という反応があった。結局、ゼミの授業においては、お知らせ機能や資料を載せておくなどの使い方にとどまっているという。

レポートについては、画面で見るより紙で読んだ方が楽であり、簡単なコメントなども書き込みやすいという理由で、Course N@viからの提出機能は使っていない。「Course N@viの機能も、科目の性質によって、適応するものとしないものがあると思います。それぞれの教員がそれぞれのやり方で導入すればいいんじゃないでしょうか。」

発展的利用法としては、大学のみならず、附属校や系属校との高大連携にもCourse N@viを利用することを提案する。「高校生に対してレポートを提出させるなど、入学前教育として十分活用できると思います。」

わからないことは、ポータルオフィスで教えてくれる

横山教授の周辺では、Course N@viを導入している教員はあまり多くないという。「それでも、成績の評価をCourse N@viで提出するケースはよくみかけます。特に非常勤の先生は、これを使えばわざわざ大学まで出しに来なくていいので、非常に便利なんじゃないでしょうか。」

「小テストを作ったりコメントを返したりする作業は、確かに手間も時間もかかります。それでも、学生への教育効果が確実に上がるのであれば、まったく苦にはなりません。システム自体は、パソコンに詳しくなくても、使いにくいものではないと思います。」

わからないことがあるときは、ポータルオフィスに行って教えてもらっている。「ポータルオフィスは、学生たちもよく利用しているようですよ。」

以前はメールもあまり使わなかった横山教授がCourse N@viを積極的に利用している姿を見て、不思議がる人もいるという。しかし、実際にさまざまな効果を実感しているがゆえに、まわりの教員にも積極的に導入を勧めている。「教育効果を高める手段として、ぜひ有効に活用するといいと思います。」

新任の教員向けのセミナーにおいて、一番関心が高いのがCourse N@viだという。「今後、機能がますます充実してくれば、活用できるシーンも増えてくるでしょう。もっと導入する教員が増えて、Course N@viを使うのが当たり前の状況になれば、より一層使いやすくなるだろうと期待しています。」

Course N@viデビューへの一言!
「お知らせ機能」は、学生すべてに対して情報を偏りなく届けられるので、非常に便利です。簡単に利用できるのでぜひ使ってみてください。
coursen@vi
当日の休講など急ぎの要件は、「緊急宛先に通知」というオプションを選んでおくと、あらかじめ学生が登録した携帯電話のメールアドレス等に通知することもできる。
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