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教員コラム
インストラクショナルデザインとはどんな考え方か
人間科学学術院 准教授 
向後 千春
  インストラクショナルデザインとは、直訳すれば「教えることのデザイン」です。建物のデザインや自動車のデザインならばイメージしやすいですが、教えることのデザインとは何でしょうか。

 教員や指導者やコーチがすることが、教えることなのであって、それをデザインするというのはどういうことか、と思う人も多いでしょう。しかし、建物や自動車のデザインによって、住み心地や乗り心地が大きく変わるのと同じように、教え方のデザインによって、授業や研修やトレーニングが、辛く重苦しいものになったり、あるいは、逆に、楽しく充実したものになったりするのです。インストラクショナルデザインは、学習をより効果的・効率的にするためにどのような教え方をすればよいのかについての科学的なアプローチです。

 インストラクショナルデザインの特徴は次のようにまとめられるでしょう。

1. 入口を決める。
 ニーズ分析によって、なりたい自分と現在の自分のギャップを明確にする。それを埋めることを目標とする。ニーズのないところに学習は成立しない。すでに知っていることを習うことは時間の無駄であるし、知りたいと思っていない(つまり、ニーズを感じていない)ことを教えられても、学ばないだろう。潜在的ニーズがあっても、もし学習者自身がそのニーズを意識していないならば、まずそれを意識させることを最初の学習目標とするべきである。

2. 出口を評価する。
 なりたい自分になったかどうかを評価し、もしそうであれば、目標を達成したとする。もしそうでなかったとしたら、それは学習者の責任ではなく、教える側の責任であるとして、教え方の改善をする。教える人が、いかに良い意図を持って教えたとしても、学習者が成果を獲得しなければ、その教え方は良くないとみなす。学習者が成果を得たことをもって、その教え方が良いものであると評価される。

3. 良い教え方はデザイン次第である。
 教える人の人柄や人格には依存しない。その意味では、良い教え方がデザインされていれば、それは誰が実施しても一定の効果をあげることができる。逆に、教える人と学習者の組み合わせによって効果が変わるならば、それは適切にデザインされているとは言えない。

4. 教え方をシステマティックに改善する。
 もし、期待した学習が成立しなかったとしたら、それは何が原因かをプロセスとして追求する。具体的な教え方や教材が良くなかったのか、全体のデザインが良くなかったのか、そもそも当該のコースが学習者のニーズにマッチしていなかったのか、などについて検討し、順次改善していく。

 以上の特徴を見て、「なるほど、そのとおり」と思った項目もあれば、「へえ、そうなんだ」と意外に思った項目もあるのではないでしょうか。教員が教壇に立てば、そこに「教えること・学ぶこと」が成立すると考えるのはあまりにもナイーブです。逆に、教室以外のところで私たちは多くのことを深く学んでいます。そうしたことを含めて、教えることをどのようにデザインすればいいのかということを追求する立場がインストラクショナルデザインの考え方です。

[2007年10月29日]


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