情報化推進レター

早稲田大学の学生・教職員の皆様に情報化推進計画のお知らせを配信させていただきます 。

教員コラム

早稲田におけるオープンソース活動

深澤 良彰
理工学術院教授 教授

深澤先生
【ケニアからのお客様、Dr.Bazirakuと】

ソフトウェアがどのように動作するのかを記述したソースコードを、インターネットなどを通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、再配布が行なえるようにすることをオープンソース化と呼びます。そして、そのようなソフトウェアはオープンソースソフトウェア(略して、OSS)と呼ばれています。今、世界では、高度なソフトウェア技術者、ソフトウェアアーキテクトが大幅に不足しています。これを解決する有力な手段として、OSSが注目を浴びています。みなさんも、Linuxとか、PostgreSQLとかというOSSの名前は聞いたことがあるかもしれません。

早稲田大学オープンソースソフトウェア(OSS)研究所は、2004年4月『日本発のOSS』への貢献を目指して設立された日本初の研究所です。

これまで、早稲田大学はオープンソースとして種々のソフトウェアを開発・提供してきています。これによって培われたノウハウもありますし、ソフトウェアに関する研究者、教員も多く在籍しています。これらの力をこの研究所に結集できればと考えています。

OSS研究所は、この3年間にいろいろな成果をあげてきています。以下、そのいくつかについて紹介します。

(1)日本発のOSSの研究・開発

各種ソフトウェアを開発し、OSSとして提供しています。その中で、特筆すべきは、汎用的な機能をもつ学習管理システムJapricoです。このJapricoでは、利便性を高めるために、大学等の機関ごとに固有な制度、慣習に容易に対応できるようにしています。また、多言語にも対応しています。さらに、利用やカスタマイズを容易にするために、すべての文書を公開しています。Japricoは、すでに100以上の企業・教育機関等からダウンロードされ、早稲田大学内だけでなく、日本サッカー協会、産業技術総合研究所等で、実際に使用されています。また、Japricoを支援していくためのコミュニティJaprico Clubも設立され、Japricoをすでに導入して運用していたり、あるいはJapricoに興味を持って、これから使ってみたいと考えたりしている人たちによって積極的に利用されています。

(2)世界各国、特にアジア・アフリカ諸国のOSS関係者との情報交換、人材育成

特に、アジア地域のOSS人材育成に力を入れてきています。たとえば、毎年、(財)国際情報化協力センター(CICC)より東南アジアからの研修生を受け入れたり、ケニアにおける「アフリカ人造り拠点」プロジェクトの一環としてOSS普及の主導的人材の育成をしたりしています。OSSは無料(もしくは非常に安価)であり、アジア・アフリカ等の国民所得が低い国向きだと思っています。そして、そのための人材を育成してきています。これが、今の早稲田のキャッチフレーズ『アジア太平洋における知の共創』の促進の一助になることを願っています。

【CICC講義風景】【小中学生のための科学実験教室[ユニラブ]】

これ以外にも、講演会を開いたり、理工学術院で開催されている「ユニラブ」に参加し、小学生にスクイークと呼ばれるOSSを使ってもらったり、さまざまな活動をしています。

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