MNC Communications

Issue 3 / November 17, 2000


分科会2「情報環境を活用した語学教育の実践と課題」

日本語教育「マルチメディアを利用した新しい日本語教育の試み」

日本語研究教育センター助教授   宮崎 里司
発表用スライド(GIF/animation

司会
 本日はこちらの第2分科会で、「情報環境を活用した語学教育の実践と課題」ということで、外国語教育としての日本語教育を初めの1時間、中国語関係のお話をそのあとの1時間ほど、最後に英語で20分を予定しております。それではまず初めに、早稲田大学日本語教育研究センターの宮崎先生からお願いいたします。

宮崎
 早稲田大学日本語教育研究センターの宮崎と申します。今日は、われわれの中で特にマルチメディアを使った日本語教育の実践報告を、私、それに本多先生、スワン先生の3人で、1時間ほどさせていただきます。大きなタイトルは「マルチメディアを利用した新しい日本語教育の試み」です。まだコースの中で実際に行っている教員は少ないのですが、今年度はトライアルというかたちで始めています。
 私の発表は、テレビ会議システムというビデオ・コンファレンシング・システム、これは、TeleMeetと呼ばれていますが、そのシステムを利用した、インターアクションのための日本語教育についてご説明いたします。このあとに、本多先生からは言語ゲームと情報共有ということで「マルチメディアを利用した新しい日本語教育」、スワン先生からは漢字学習について、初級学習者にいかに興味を維持させつつ漢字を学ばせるかというトピックでお話ししていただきます。
 まず、テレビ会議システムです。イメージとして、どんなものをやっているかをおわかりいただいてから話を進めたいと思いますので、デモテープをご覧いただきたいと思います。

(注)再生にはRealPlayer G2 が必要です。
(Real Player G2をインストールはしたけれども再生の仕方がわからないという場合は、Internet Explorerといっしょにお使いください)

 こちらに22号館というビルがあり、文学部がある、戸山キャンパスに36号館があります。そこの間でコンピュータを通じてネットミーティングをさせています。文学部のほうは早稲田のボランティアの学生が中心で、22号館のほうは外国人留学生います。あるタスクを与えて、お互いにインターアクションさせるということです。
 スクリーンだけではなく相手、特に日本人の言う言葉がわからないときはスクリーンの中にホワイトボードという文字が書けるソフトがあり、それを通じてたとえば自己紹介の際に名前を書いたり、難しい言葉などは、ボランティアの早大生に書いてもらったりということをしています。
 次に一般的な使途目的は、映像と音声によるネットミーティングです。外国語としての日本語学習、それから第二言語としての使途目的は、われわれが使うときは自律学習です。いわゆる教室での学習とは違い、インターアクション能力をつけさせるということです。
また学習ストラテジーを習得させる、コミュニケーション能力を向上させる、ネットワークを使って、教室外でも日本人とインターアクションができるようにというねらいがあります。昨年、早稲田・オレゴン夏期日本語プログラムで初めて導入したわけですが、詳しくは私のホームページをご覧いただければと思います。
 コースデザインは、中にはインターネットジャパニーズとテレミートジャパニーズというのがあります。たとえばこれがマルチメディアジャパニーズの私のホームページです。このようにホームページをつくらせたり、インターネットを使った作業をさせています。評価方法は、初めての試みでしたのでどのように評価するかということを少し考えて、ジャーナルレポート、日本人とどのようにネットワークを構築したかということを学習日記のように書かせて、それで報告させるかたちを取りました。
 2000年1月から始まったトランスナショナルプログラムは、3ヶ月オレゴンで勉強し、半年間を早稲田に来て、日本語を勉強するという年間プログラムです。その中でもテレミートを導入しています。評価方法は、ジャーナルレポートというよりタスクシートのようなものをつくり、それを学生に書かせて提出させています。インフォメーションギャップタスクを与えて、早稲田の学生にサークルとクラブの違いだとか、クラブの特徴がどのようなもので、どのように参加しているかとかなどの情報を処理させます。それからキャンパスジャパニーズと呼ばれるような言葉があります。これはクラスの中ではなかなか教えられません。たとえば「新歓コンパ」とか「追コン」とか「合宿」とか、日本人の学生が普段よく使っている言葉を習得しないと、そういった学生とのインターアクション場面で問題が起きるので、直接学生から学ばせるという方法を採用しています。
 日本語学習者の反応です。これからまた少しずつ改良を加えていかなければなりませんが、いままで日本語学習者からどのような反応があったかということです。まず、なぜ直接会ってインタラクションしないのかということです。それは当たり前のことですが、実は会って話す機会がなかなかない場合もありますし、キャンパスが離れている場合もあります。ただTeleMeetが最終的な目的ではなく、学習者が日本人とキャンパス内で会えればいちばんいいわけですが、TeleMeetをそのきっかけをつくる道具として使ってくださいと説明しています。
 また技術的には音声のズレがあり、関係者の方に伺うと携帯電話より若干遅いということです。そのような状態なので、上級レベルにはいいのですが、初級や中級の学生には若干使いづらくて、音声がかぶることがあります。ややテクニックのいるところです。テレミートトークという言葉があれば、そのようなことを日本人のほうも身に付けなければならない。映像のずれも若干あります。これはCU-SeeMeと比べれば技術的にも優れていますので、今後こういったものが改良されていけばもう応用の範囲も広がるのではないかと思います。ホワイトボードの操作についても、学生がまだ慣れていませんので十分できないということがあります。これも少しずつ慣れさせていく必要があると考えています。
 日本人ボランティアがどのような反応を示しているかというと、音声のずれがやはり最も気になるところのようです。文節単位で話をしなければいけないので、若干ぎこちなく
なる時があります。またテレミートトークのコントロールが少し難しいということです。これは慣れてくると、情報の提供が少しずつできるようになっているようです。ホワイトボードの操作も、慣れるまで待つしかありません。
 最後に、今後の課題です。外国語学習にどのように効果があるかを縦断研究、実証研究していかなければならないと考えています。近い将来何かのリサーチができればと考えております。それからやはり技術的な問題を解決しなければならないので、性能の向上が望まれます。また、どのようなタスクをさせるか。タスクをさせなければただ単に世間話に終わってしまい、時間がもったいない。逆に、日本人のほうが一方的に話してしまうこともあります。外国人の学習者も話せるようにするためには、タスクのトレーニングをしなければならないでしょう。
 日本人ボランティアのアレンジも、その時間に必ず来てもらわなければ相手がいないわけですから、どのように効果的にアレンジすべきかを考えています。あとはタスクの中でも、実際に会ってどのように話すかというタスクも考えなければいけませんし、インタラクティブタスクもこれからの課題です。
 最後に、評価方法です。いままでジャーナルレポート、タスクの完成などをさせましたが、もう少し他のタスクもあるのではないかと考えています。これを導入してからまだ半年くらいしか経っていないので、どのようなことができるか模索中です。今日、お出でになった方の中から、何かアイディアとかご意見をお聞かせいただければと思います。私の発表は、これで終わります。ご質問は3人全員が終わってからまとめて伺いたいと思います。




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