
2007年10月21日、本学は創立125周年を迎えました。早稲田大学は、次なる125年に向けて、今後10年以内に世界で存在感を顕示できる、グローバルユニバーシティ「WASEDA」の確立を目指します。
いまや環境問題、資源問題、人口問題、貧困問題といった人類共通の課題は、一国の枠を超え、国際的な相互依存という枠組みの中で解決することが要請されています。これらの問題を考える上で、いかなる既成概念にも制限されない普遍性を持つ学問、すなわち「国境を超えた真理」が必要です。真理を追究し、その活用を通じて問題解決の方向性を提示し、広く社会に貢献することが本学の責務であるといえます。
私はかねてより「アジア太平洋地域における知の共創」を提唱してきましたが、世界レベルの大学間競争の中にあっても、知の国際連携と地球社会における人的ネットワーク形成の必要性が広く認識されるに至りました。本学は、多文化が共存・融合する知の基盤を構築し、多様な学問・文化・言語・精神が交流するグローバルキャンパスを実現します。
多文化融合に対応した教育システムの高度化を進め、「日本から世界を考える」ことができる人材、「世界から日本を見る」ことができる人材、すなわち地球市民の育成に努めます。日本人学生が在学中に一度は留学を経験する機会を提供するとともに、入学者を世界中から募り、全学で合計8,000人の外国人学生が学ぶことができる体制を構築します。アジアの大学のみならず欧米の大学へとダブルディグリー制度の拡充を図り、知の国際連携を推進する一方、多言語教育の確立、外国人教員の増員、日本人学生と外国人学生の混住型学生寮の整備を進め、グローバルカレッジとしての「WASEDA」の教育を展開します。
また、基盤教育プログラムを確立し、学部1・2年生へのアカデミックライティング等のリテラシー教育、語学・教養教育、大学と産業界との連携に基づく社会連携教育を通じて学生の潜在力を引き出すことを目指します。加えて、学生の体と心の健康を維持し、運動・食・医療・心のケアの総合的なアプローチを図り、早稲田健康キャンパスを実現します。
今日、時代の要請に応じた新たな学術分野が萌芽しつつあります。たとえば、地球環境問題に対して、革新的な科学技術の研究はもちろんのこと、自然科学的なアプローチに基づく検証、政治・経済・法律等の社会科学的なアプローチ、哲学や価値観等の人文科学的なアプローチも必要とされています。いわゆる文理融合型と呼ばれる未来社会を切り開く学術分野の開拓です。このような分野は、総合性、学理と実学の融合を教育研究の基本に据えてきた本学の強みといえるかもしれません。また本学の研究は、医学と理工学・生命科学を融合させる健康医療技術分野や世界各地域に関する地域研究へも裾野を広げつつあります。本学は、国内外の大学・研究機関・企業との連携を図りながら、21世紀社会が求める先端研究に果敢に挑戦し、地球規模の問題の解決に取り組んでいます。
そして、分野を限定せず自立した環境で研究を行うことのできる、高等研究所を中心に新学術分野の創出に不可欠な若手研究者の養成を行っています。これら若手研究者の活躍を通じて、世界トップレベルの研究を発信します。
本学は学問と社会の対話を促進し、学問と社会の架け橋としての役割を担いたいと考えています。社会が求める事柄を正しく把握し、体系的な学問との対話を繰り返すことで、大学から社会のニーズに的確に応えるための基準を提示します。本学は、先端研究を教育に還元することや社会への応用をより一層進めることで、日本および世界の社会変革・制度設計・技術革新等に寄与します。
また、専門職大学院の充実を図り、理論と実践の融合を通じて実学の確立に取り組み、社会の要請に応えるとともに、ボランティア活動等を通じて教育的社会貢献を実現します。さらに、スポーツを活用した国際交流や地域交流を促進し、「WASEDA」にふさわしい大学スポーツの充実を図ります。 地球上の至るところを学びの場とする本学は、世界各国、各地域において活躍する卒業生と連携し、国際貢献や地域貢献を展開します。
日本の「早稲田」から世界の「WASEDA」へ。早稲田大学は、世界レベルの教育・研究機関になることを目指すとともに、深い学識と豊かな人間性を兼ね備えたグローバルリーダーを育成して参ります。