ASMeW、新規の高感度光学式分子センサーを開発
オングストロームレベルの分子膜のスペクトル検出が可能に
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早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構(ASMeW)の柳澤雅広・生命医療工学研究所 元客員教授らのグループは、表面プラズモン(注1)を制御して、極めて強いラマン散乱光を発生させる分子センサーの開発に成功しました。本センサーの原理は、図1に示すような同心円状の凹凸を有する銀膜構造に光を照射すると銀膜表面に発生した表面プラズモンが中心に集中し、そこに生じた強い電界によってセンサー上に被覆した分子のラマン散乱光が増強されます(図2)。本センサーは、非常に感度が高いため、従来測定が困難であったオングストロームレベルの薄膜や微量な吸着分子の検出と構造分析が可能となります。そこで私たちのグループでは本センサーを、様々な応用分野に適用することを試みました。
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例えば、工具や自動車部品、またはハードディスク用保護膜として最近注目されているダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜(注2)の結晶構造解析を行ったところ、数ナノメートルの厚さでは成膜時の反応ガスによる有機分子が検出され、さらに0.4ナノメートルの極めて薄い膜になると厚膜とは全く異なる構造が観察されました。これらの解析により、界面近傍の結晶構造や分子構造あるいは結晶成長過程を知ることができ、膜の耐摩耗性や密着性などの改良が期待されます。
そのほか、バイオセンサーとしてDNAや抗原・抗体などの生体分子の検出や、環境センサーとして吸着有機ガスの検出にも成功しております。今後は、実用化に向けて低価格化のための開発を進めてゆく予定です。
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【用語】
| (注1) | 表面プラズモン:光を金属にあてると金属中の自由電子が振動し、波として金属表面を伝わってゆくものを表面プラズモンという。光と同様に収束させたり曲げたりできるので将来の光コンピュータ回路への期待があるほか、金属表面に接触する物質の屈折率変化に敏感なためバイオセンサーとして実用化されている。また金や銀のナノ粒子に生成する表面プラズモンによる特定波長の光の吸収により、ステンドグラスのような様々な着色を行うことが古くから実用化されているが、物理現象として知られるようになったのは比較的最近である。 |
| (注2) | DLC膜:炭素の非晶質膜であるが、微小部分の結晶構造がダイアモンドと同じ電子軌道を含んでいるため、硬く高い耐摩耗性を特長とする。 |
本研究の成果は、文科省・科振費戦略的研究拠点育成プログラム「先端科学と健康医療の融合研究拠点の形成」、科研費(A08215900)、およびナノテクノロジーネットワークプロジェクトの助成により実施された。
また開発に参加した主たるメンバーは、下記の通り。
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島本直伸 | ナノテクノロジー研究所 准教授 |
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会田敏之 | 生命医療工学研究所 |
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齋藤美紀子 | ナノテクノロジー研究所 准教授 |
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加藤邦男 | ナノテクノロジー研究所 |
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中西卓也 | 生命医療工学研究所 准教授 |
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逢坂哲彌 | 理工学術院 教授 |
以 上