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公的研究費に係る不正請求問題に関する報告

2006年12月19日

 2006年6月16日、学校法人早稲田大学(以下「本学という」)総長および本学理工学術院長宛てに、本学理工学術院A教授による公的研究費の着服等に関する告発文書が届けられました。この告発をうけて6月21日、本学は内部調査を開始することを決定し、本学理事会は6月26日に本件調査委員会を発足させました。

1.調査委員会の結論

 告発者が指摘した公的研究費の着服および還流に関して、調査委員会は、当該教授が公的研究費を着服した事実および公的研究費の還流を職員等に指示した事実を裏付ける客観的証拠を見出すことができませんでした。
 しかしながら、当該教授の一連の行為の中には、少なくとも公的研究費に関する架空請求の事実を認識しつつ、本学が是正措置をおこなっているにもかかわらず、その発覚を防ぐために隠蔽工作を行った行為が含まれています。かかる行為は、公的研究費(科学技術振興調整費新興分野人材育成事業、文部科学省大学知的財産本部整備事業)の両事業において不正な使用に主体的に関与したと判断されるものであり、重大な責任があるとせざるを得ません。

2.関係者の処分

 今次事案は、本学の名誉を傷つけただけではなく、本学の信用を著しく失墜させ、国民の皆様の信頼を損ないました。調査委員会の報告を踏まえて、本学は臨時理事会において当該教授に対して次の処分を決定しました。

理工学術院長に対して、当該教授に対する厳正な懲戒処分の手続きに入るよう勧告する。
当該教授の本学における公的研究費に関わる全てのプログラムの代表者・分担者から外すとともに、今後10年間は公的研究費の本学教授としての申請およびそれに参画することを認めない。
 また、関係者の処分を下記のとおり行いました。
 文部科学省科学技術振興調整費新興分野人材育成事業、文部科学省大学知的財産本部整備事業において両事業を受託した本学の全体的な責任を持つ総長は、当該事業に対する管理責任に鑑み減俸処分、なお両事業の管理責任に鑑み研究推進担当常任理事、研究推進部事務部長を厳重注意とし、科学技術振興調整費新興分野人材育成事業「ナノ・IT・バイオ知財経営戦略講座」にかかわって、産学官研究推進センター長は、管理責任に鑑み減俸処分としました。

3.国庫等への返還

 本学は、不正額について関係者等による調査を受け、確定された不正について国庫に全額返還します。
 さらに「ナノ・IT・バイオ知財経営戦略講座」参加費の剰余金は実費内容をすみやかに精査した上で、参加者に返納することとします。


4.今次事案の原因と対策

 今次案件が起こった原因としては、次の(1)〜(3)が考えられます。
 (1)研究室からの発注時に関わる問題
 (2)納品チェックの管理問題
 (3)研究費に携わる者のコンプライアンスの欠如

 (1)〜(3)を解決するため、本学は既に2006年6月27日付で学外有識者も加えた「研究費不正防止対策委員会」を理事会の下に設置し、総長自らが陣頭指揮にあたり、不正の再発防止に努めているところです。本学は、これまで同対策委員会の緊急措置として策定した、第一次行動計画の行動項目を着実に実行し、その達成状況を公表しました。現在は、さらに一層の研究費の不正再発防止体制の整備に取り組むべく、文部科学省の「研究費の不正な使用に関する対策チーム検討結果」の内容等を踏まえて策定した第二次行動計画を着実に実行しているところです。

 (1)(2)については発注・物品確認を明確にするシステムを構築します。
発注情報の一元管理、発注書の統一化を促進するために研究者は、ITを活用した発注システムにより物品等の発注を行うこととしました。
研究上必要な物品の納品の確認を確実に行うため、発注した商品・数・量・品質を、引渡し時に、検収センターで検品(発注書・納品書・物品との照合)することとしました。
検収センターを、学内3箇所(本部、大久保、所沢キャンパス)に開設しました。
納品の確認に必ず研究室外の第三者を介在させるため、検収センターに専任職員7名を新たに配置しました。

 (3)については教職員の遵守事項の徹底を図ります。
   学内諸規定や各競争的資金に関連する諸規定に関するマニュアルの策定、講習会の開催、相談窓口の設置等を定めた「早稲田大学コンプライアンス・プログラム」を策定しました。
 「早稲田大学コンプライアンス・プログラム」の概要は以下のとおりです。
1. 研究倫理規定の作成(2006年10月まで)
2. 研究費に関する「相談窓口」の設置(2007年3月まで)
3. 公的研究費ハンドブック(第一版)の作成(2007年3月まで)
4. 研究者からの研究費に関する「誓約書」の提出(2007年4月から)
5. 大学院に研究倫理の教育プログラムを導入(2008年4月から)

 上記問題は、第二次行動計画で対応します。今後も、再発防止策の実施結果等を踏まえ、さらに不正再発防止策を充実させる等の取り組みを続け、社会の信頼を回復できるよう努力してまいりたいと存じます。

以 上