選考委員
秋山 耿太郎

朝日新聞社相談役

歴史の流れが大きく方向を変えようとしています。とはいえ、時流に流されながら、流れの方向を知ることはとても難しい。私たちはどこに向かっているのか。ジャーナリズムの真価が問われる場面です。石橋湛山と早稲田の「在野の精神」に根ざした、野心的な多くの作品を読ませていただくのを楽しみにしています。

新井 信

編集者、元文藝春秋取締役副社長

多様な発信者から膨大な情報が飛び交う時代であるからこそ、プロのジャーナリストの役割に期待が集まっている。石橋湛山が示したように社会の流れに逆らっても、自ら信じるところをブレずに報道することで信頼性を高めていってほしい。自らの眼と足とによる地道な取材に取り組んでいる人たちへ大きな声援をおくりたい。

鎌田 慧

ルポライター

ジャーナリストの必須条件に、反骨、気骨、独立不羈の精神がある。それは早稲田大学の建学の精神であり、伝統である。 なんら制約を受けない、大学の空間がつくりだす、このジャーナリズム大賞が果たす役割は大きい。個人の意志と尊厳によ って時代を切り拓こうとした、石橋湛山の小日本主義を拠り所として、気高く、格調高い、新たなジャーナリズムをこの混迷の時代につくりだす。そんな個人と地域のジャーナリストを顕彰し、この賞があればこそ満を持して仕事ができる、という勇気をだせる場にしたい。

後藤 謙次

ジャーナリスト、元共同通信編集局長

ジャーナリズムにとって「生命線」と言えるのが「権力の監視」だ。しかし2012年12月の第2次安倍晋三政権が発足してから政権とメディアとのパワーバランスが大きく崩れている。首相自身によるメディア戦略にメディアはどう立ち向かうべきか。気骨のあるジャーナリストを、早稲田大学石橋湛山賞を通じて発掘したい。

清水 功雄

早稲田大学理工学術院教授(応用化学)

民主主義社会では、自由な報道、解説、論評、批判等が社会の理解、合意形成に寄与しています。この過程で「気づく」、「見抜く」力をもったジャーナリストの役割は大きいと思います。石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞が、様々な領域で活躍するジャーナリストを激励し、早稲田におけるジャーナリズム人材輩出にも大いに寄与するものとしていきたいと思います。

谷藤 悦史

早稲田大学政治経済学術院教授 (政治学)

日本のさまざまな力が試されております。その一つが、ジャーナリズムの力です。時代に流されず、深い洞察力によって時代をとらえ解釈し未来を予測して、果敢に表現する。時代とともに歩み、時代を超える早稲田大学建学の精神と、早稲田が生み出した石橋湛山のいぶきを体現する作品やジャーナリズム活動を期待しています。またこの賞を契機に、日本のジャーナリズムに新しい運動が作り出されることを願っています。

坪内 祐三

評論家

もちろん石橋湛山は、政治家さらには優れた経済ジャーナリストとして記憶されている。しかし忘れてならないのは、彼が早稲田大学の哲学科の出身だったことだ。つまり湛山は政治家として、経済ジャーナリストとして、そのバックボーンに哲学を持っていた。ゆえにこの賞の選考ポイントは、作品に哲学があるかないかである。

原 剛

毎日新聞社客員編集委員、早稲田環境塾塾長、早稲田大学名誉教授

「事実性の原則」と 「没評論原則」に基づく客観報道は、ジャーナリズムが読者の信頼を得る原則である。しかし原子力の安全性が一例の形式的な客観報道は情報操作の危険にさらされ、事柄の本質を問わずに、 一過性の事件、事故報道に流されることが少なくない。政治・経済権力、国家による情報操作は日常化し、市民社会には公的なるものへの無関心がはびこっている。ジャーナリズムは今こそ形式的な客観報道を超える、正確で構造的に分析された情報を提供し、民主主義社会の自己決定力の向上に貢献しなくてはならない。報道と言論機能あわせ持つジャーナリズムの擁護報道、課題設定、キャンペーンをうながしたい。

土方 正夫

早稲田大学社会科学総合学術院教授(情報システム科学)

マス・ミディアム・パーソナルメディアが錯綜する現代情報社会における平成 21年度の流通情報量は7.61×1021ビット(一日あたりDVD約2.9億枚相当)、消費情報量は2.87×1017ビット(一日あたりDVD約1.1万枚相当)と試算されている。我々一人一人は情報の海原から水をすくい取り、断片化した記憶を紡ぎ、我々の居る場所への想いを馳せ、大海に水を返す。その日々の営みの中で、ジャーナリズムの果たす役割と責任の大きさは以前にも増して大きい。多様な表現様式を駆使し、今をどれだけ象徴的に語れるのか、情報の海原に生まれ落ちた若者達に何を伝えてゆけるのか、進むべき未来の姿は見え隠れしてくるのだろうか。断片化した人々の記憶を紡ぐ仕事は容易ではない。隠された多くの宝に期待し、賞として記録に留めてゆきたい。

広河 隆一

フォトジャーナリスト

困難な時代であればこそ、孤立しながらも大切な役割を果たす反骨のジャーナリストたちが必要とされる。国にもてはやされる仕事を選べば、どれほど楽になるだろうか。アイデンティティを、国家にではなく、メディアの会社にでもなく、人間であることを基盤とする真のジャーナリストが非常に少ないのが大きな問題だ。そうした人々の仕事が主流となる時代の到来まで、早稲田ジャーナリズム大賞の役割は重い。 (第2回本賞受賞者)

アンドリュー・ホルバート

城西国際大学招聘教授 グローバルカレッジ副所長、元日本外国特派員協会会長

哲学者ハンナ・アーレントの言葉を借りるなら、ある社会の価値観が知りたければ、そのもっとも弱い一員への待遇を見ればよい。記者の質を判断するのにアーレントの法則が応用できると思う。記者の仕事は情報を他社より早く編集部に届けることで終わるものではない。スクープを得たら、社からボーナスが貰えるかもしれないが、記者の質が給料袋の厚さだけで計られるような社会にはおそらく誰も住みたくない。メディアに与えられている大きな力を、記者が誰のために使ったか。本賞の受賞者を選定するのに、その基準で判断したい。

松永 美穂

早稲田大学文学学術院教授(ドイツ文学)

昨年末の「特定秘密保護法」成立をきっかけに、国家による情報の掌握がますます進み、国民の「知る権利」が著しく侵害されそうな危機感が募っている。政府とメディアの結びつきについて、公共に資するジャーナリズムとは何かということについても、議論が高まっている。この賞の選考を通して、志の高いジャーナリズム活動をされている方々に光を当てるお手伝いができればとても嬉しい。

八巻 和彦

早稲田大学商学学術院教授(哲学)

変転めまぐるしい現象のただ中に在って冷静に事の本質をえぐり出し、皮相的情報の洪水に抗して果敢に伝えるべき事を伝えようとする、そういう重心の低いジャーナリズムが、今、最も必要とされている。このような活動を体現するジャーナリストを顕彰する賞としたい。

山根 基世

アナウンサー

今、この国は一体どこに行こうとしているのか! 憤りを感じている人は多いはずだ。こんな時代にこそ、独自の新しい視点で、論理的に鋭く深く問題を掘り下げ、しかも人の心に届く易しい言葉で語ってくれるジャーナリストが是非必要だ。この賞は、志あるジャーナリストの勇気を引きだし、その背中を力強く押すものでありたい。

過去に選考委員を務められた方々

  • 内橋 克人(評論家、第1回~第8回)
  • 江川 紹子(ジャーナリスト、第1回~第3回)
  • 岡村 黎明(メディア・アナリスト、第1回~第10回)
  • 奥島 孝康(早稲田大学総長、早稲田大学法学学術院教授、第1回~第3回)
  • 河合 隼雄(心理学者、文化庁長官、第1回)
  • 黒岩 祐治(元フジテレビジョンキャスター、第11回)
  • 小池 唯夫(元パシフィック野球連盟会長、元毎日新聞社社長、元日本新聞協会会長、第1回~第10回)
  • 小山 慶太(早稲田大学社会科学総合学術院教授、第1回~第10回)
  • 佐野 眞一(ジャーナリスト、第1回~第12回)
  • 下重 暁子(作家、第5回~第13回)
  • 竹内 謙(日本インターネット新聞社代表取締役社長、第1回~第13回)
  • 田沼 武能(写真家、日本写真家協会会長、第1回~第10回)
  • 永井 多恵子(世田谷文化生活情報センター館長、元NHK解説主幹、第1回~第4回)
  • 箱島 信一(朝日新聞社社友、元日本新聞協会会長、第11回~第13回)
  • 長谷川 眞理子(早稲田大学政治経済学術院教授、第1回~第5回)
  • 花田 達朗(早稲田大学教育・総合科学学術院教授、第6回~第13回)
  • 林 利隆(早稲田大学教育・総合科学学術院教授、第1回~第5回)
  • 原 寿雄(ジャーナリスト、元共同通信社長、第1回~策3回)
  • ゲプハルト・ヒールシャー(ジャーナリスト、元日本外国特派員協会会長、第1回~第9回)
  • 深川 由起子(早稲田大学政治経済学術院教授、第8回~第13回)
  • 山崎 正和(劇作家、東亜大学学長、第1回~第4回)
  • 吉永 春子(ドキュメンタリープロデューサー、現代センター代表、元TBS報道総局専門職局長、第1回~第8回)

※五十音順、職名は委員在任時

以上