英語力アップへの近道は「留学」と考えている学生も多いかもしれませんが、経済的事情などで留学できない人や、留学はしないと決めた人もいるはず。それでも「英語はできて当たり前」といわれる今、受験英語だけでは通用しないことを痛感していませんか? 今回は、留学をせずに英語力を伸ばしたい早大生必見の特集です。
学内で英語力を伸ばした校友・学生インタビュー
「留学しなくても、早稲田なら英語で話すチャンスがたくさんある」
基幹理工学部 2014年3月卒業
大学院先進理工学研究科修士課程 2016年3月修了
オリンパス株式会社勤務
井口 彩香(いぐち・あやか)
私は学部1年の秋学期から修士修了までの5年半、「General Tutorial English」をはじめ、グローバルエデュケーションセンター(GEC)設置の英語科目をほぼ全て履修しました。高校時代にニュージーランドで1カ月間ホームステイをしたことはありますが、海外へ行っても基礎が身に付いていなければ意味がないと思ったこと、また、早稲田には留学生がたくさんいるので、自分から話す機会を作れば海外で勉強するのと変わらないと思ったことなどを理由に、留学という選択はしませんでした。
GECの授業を受講し続けたおかげで英会話に対する自信が付き、修士2年には国際コミュニティセンター(ICC)で学生スタッフを経験して、留学生の友達の輪がどんどん広がって行きました。卒業した今でも週末にICCで出会った留学生やその友人と遊んでいるので、自然と英語力が伸びています。また、現在の仕事でも海外支店とのやり取りに英語を使用することもあり、とても役立っています。
英語力アップへの道は、留学するかどうかではなく、自分の努力次第だと思います。スピーキングスキルを伸ばしたい方には、一度ICCへ足を運んでみることをお薦めします。ICCには日本人と話したい留学生がたくさんいます。せっかく学内に英語を話すチャンスがあるので、在学中にぜひ利用してもらいたいです。
「自信が付いたのはサークルと授業のおかげ」
政治経済学部 3年
公認サークル「Paddy Fielders’ Tea Party(実用英語)」
幹事長:本莊 和真(ほんじょう・かずま)
私の所属する「Paddy Fielders’ Tea Party(実用英語)」は、週2回・各2時間、ひたすら英語で会話をするサークルです。その日に集まった参加者をシャッフルして、まずは1対1で、次に4人のグループに分かれて、そして最後にそれぞれ興味のあるトピックでグループ分けして話します。メンバーの英会話レベルはさまざまで、入会時は全く話せない人もいますが、半年くらいたつとだんだん話せるようになります。
私自身はもともと英語が得意な方でしたが、友人に誘われて入ったこのサークルで会話力が付き、英語に対する関心もさらに大きくなりました。サークル以外では、英語で経済学を学ぶ授業を1学期に1~2単位受講してリスニングを強化したり、米国の大リーグ野球サイトを見て、結果や解説を英語で読んだりしています。
私は今秋から留学を予定していますが、留学前にこれだけ自信が付いたのは、サークル活動や英語で学べる学部の授業のおかげです。英語が苦手な人も、まずは自分の興味のある分野から勉強を始めると、努力次第でどんどん上達できると思います。
英語力を伸ばせる学内機関
~気軽に英会話を楽しみたい学生へ~
国際コミュニティセンター(ICC) 「ICC イングリッシュ・チャット・クラブ」
- 初対面同士でも各テーブルで会話が弾む
- 1人が絵を描き、英語で答えを当てるミニゲーム
1カ月3回限定の“クラブ”で英会話を楽しむ、初心者向けのプログラム。1テーブル4~5人(うち留学生サポーター1~2人)と少人数に分かれて会話を行うので、大勢の前で苦手な英語を話すのは恥ずかしいと思っている人でも大丈夫。申し込み者が毎回抽選になるほどの人気プログラムです。
詳細はこちら
(6月の募集は終了しました。次回は10・11月に開催予定です)
【参加者の声】
政治経済学部 2年
山中 怜奈(やまなか・れいな)
英語が苦手なので初めはとても緊張しましたが、最初に行うミニゲームが思った以上に楽しく、その後のフリートークも含めて3回とも楽しく参加できました。ICCのイベントは今回が初めてでしたが、今後「イングリッシュ・ランチ」など別のイベントにも参加してみたいと思います。
◆その他のICC主催イベント・プログラムはこちら
(イングリッシュ・ランチ、ランゲージ&カルチャー・エクスチェンジ、日英SKYPEパートナー・プログラムなど)
~本格的に英会話を学びたい学生へ~
グローバルエデュケーションセンター(GEC) 英語科目「Tutorial English」

2組に分かれて実践的な英会話を練習
「General Tutorial English」(全学オープン科目 ※7学部・1学科は必修)をはじめ、英会話力を伸ばすための授業をレベルに合わせて多数設置。履修前の英語能力判定テスト(WeTEC)により振り分けられたグループは、最大4人(Discussion Tutorial Englishのみ6人)までの少人数制で、チューター(講師)による学生一人一人への「Review Sheet(英語学習のアドバイス)」も期間中に2度発行されるなど、きめ細やかな対応が特長です。
詳細はこちら
※必修以外の学部・科目は実験実習料が別途必要になります。
【参加者の声】
政治経済学部 1年
賀藤 瑞貴(がとう・みずき)
「General Tutorial English(中級)」履修中
オープンキャンパスでこの授業のことを聞いていたので、実は入学前から楽しみにしていました。毎回シチュエーションが細かく設定された、日常生活に役立つ英会話を90分間みっちりと勉強できるので、必修科目ではない人にも勧めたいです。ネイティブスピーカーが使うフレーズや相づちも学べます。
英語の習得は「練習」あるのみ
『日本人のための英語学習法』著者 松井 力也(まつい・りきや)

【プロフィール】 1967年三重県生まれ。1990年早稲田大学第一文学部卒業後、英語教員に。自身初の著書『「英文法」を疑う』(1999年、講談社現代新書)に加筆・修正を加えた『日本人のための英語学習法』(講談社学術文庫)を2015年3月に刊行。現在、三重県立津西高校教諭。
英語力アップのポイントは、英語力アップのポイントやコツといったようなことについて、あまり考え過ぎないようにすることだと思います。
英語を使いこなすのは一種のスキル=技術ですから、それは例えるなら、スポーツや楽器の習得に似ています。そう考えれば、自然と正しい取り組みができるようになるのではないでしょうか。
例えば野球がうまくなりたいと思ったらどうするでしょう。練習しますよね? それ以外に方法がない。才能やセンスといったものもあるでしょうけれども、いくら才能に恵まれていても練習しなければ野球は上達しません。効率のよい練習法というのもあるに違いありませんが、体を動かさずに練習法の研究ばかりしているよりも、とにかくまずはがむしゃらに投げたり打ったり走ったりしてみることが大切です。語学も同じで、あれこれ考えるよりも、まずはとにかく体を動かしてみてはどうでしょう。
「○○するだけであっという間にホームランバッターになれます!」なんて言われても誰も信用しないと思いますが、それが英語になるとなぜか通用してしまうようなところがあって、「○○するだけで……」式の惹句(じゃっく)で誘う教材は後を絶ちません。もちろん練習法に善し悪しもあるでしょうけれども、効果的な練習法というのは、自分なりに練習を続ける中で各自が自分に合ったやり方を発見していくものだと思います。
厳しい入試を突破してきた早大生の皆さんなら、おそらく英語の読み書きにはある程度の自負があるでしょうから、リスニングやスピーキングに課題を感じている人が多いのではないかと思いますが、対策はやはり同じです。野球で守備が苦手だと感じたら守備練習を増やすのと同じで、リスニング力を鍛えたければリスニングの練習量を増やす。それ以外に方法はありません。
留学すれば、常に生きた英語を実践できるわけですから、「練習」がしやすい環境にあるのは確かです。でも、アメリカにいようが日本にいようが、結局、練習しなければ上達しないのは同じです。留学しても観光気分で過ごしていては全く上達しませんし、逆に、今はさまざまなデバイスのおかげで国内にいても工夫次第でいつでもどこでも「練習」が可能です。YouTubeで自分の興味のある分野の英語の動画を見たり、通学中の電車の中で周囲から聞こえてくる会話を一つ一つ頭の中で英訳してみたり、それがうまくできなかったらすぐにスマホで検索してみたり…。
必要なのは、練習量を増やす工夫をすることだけです。長期間にわたって毎日続けられる練習法を見つけて、とにかく1分でも多く「練習」する。それ以外の近道はないと心得ることが英語習得のスタートだと思います。
- 関連リンク
・早稲田大学の生涯学習支援機関「エクステンションセンター」
・「日本一」の早稲田大学の留学事情(早稲田ウィークリー)
【次回特集予告】7月4日(月)公開「早大生のエクストリーム夏休み」