GSJAL日研の特色
理論と実践の統合
大学院日本語教育研究科(GSJAL日研)は,併設する日本語教育研究センター(CJL日本語センター)で行われる日本語教育プログラムと連動した教育現場密着型の日本語教育者養成プログラムを展開しています。
日本語センターにおける日本語授業は8段階の各レベルに配置され,コミュニケーション能力の向上を重視したコア科目の他,日本語の4技能(聴解・読解・発話・作文)・漢字・発音・文法を取り扱う技能科目,コミュニケーション・日本社会・日本文化などをテーマに日本語の学習を通じて日本語と日本理解を深めるテーマ科目を,学生の日本語習熟度に合わせてレベル別に設置し,学生それぞれのキャリアプランや日本語習熟度に合わせて選べる豊富な科目群を提供しています。
早稲田大学に在籍する留学生は94カ国/地域3,972人(2010年5月現在)。高い倍率の入学試験に合格して学部・研究科で学習する学生や交換留学生として78カ国557校の協定校(2009年3月現在)から推薦されてくる学生,日本語の専門家を目指して別科日本語専修課程に入学してくる学生などで構成されています。日本語センターの日本語クラスには世界各国・地域から選抜された優秀な留学生たちが集まり,彼らの高いモチベーションに裏付けられて活気にあふれていますが,その活気を担当教師の高度な教育技術が後押しし,教育効果の高い授業が展開されています。
日研の講義や演習は,単に日本語の構造や体系を分析するだけではなく,人間一人一人がどのようにそれを身につけることができるのか,それにはどのような環境づくりが必要で,さらにそこで担当教師はどのような支援ができるのかといった視点から提供されていますが,それは,大学院のすぐ下に,このように活気にあふれた授業を留学生とともに作り上げていく教育実践の環境があるからこそ生まれてくるものなのです。
日研における《理論と実践の統合》は,このような《生きた日本語》の教育実践の現場が支えています。
幅広いニーズに応える入試制度
GSJAL日研は,幅広いニーズに応えるために特色ある入試制度を準備しています。
授業実施期間を完全セメスター制による2学期制として,それぞれの学期の開始に合わせた年2回の入試(4月入学・9月入学)を実施しており,これにより,留学生のみならず,世界のあらゆる国や地域で日本語教育に携わる日本人にも,それぞれの節目に合わせた入学機会を提供します。
選考はAO方式による総合選抜方式により行われ,書類選考・筆記(論述)試験・面接試験を通じて日本語教育者としての素養を問う課題が課されます。
入学者の出身学部は,文学・教育学が中心ですが,社会科学や理工学系学部の出身者も多数在籍しています。また,日研に対する世界各国からの関心の高さは,留学生が在籍者の4割を超えるという数字にも表れています。
こうして日研では,国内外からの有為な人材を受け入れて次代を担う日本語教育者を養成していくことを目指しています。(関連ページ:受験生の方 > 入試情報)
日本語教育理論の追求
これからの日本語教師には,言語学から教育学までの基礎的な知識とともに,時代のニーズに応える教師となるために,言語習得・言語政策・言語教育などの幅広い知識が必要です。これらの知識をより良い教育に結び付けていくには,基礎領域としての言語研究の成果を応用として言語教育の分野に取り入れるという発想では対応できません。これからの日本語教育には,学習者の立場に立ちつつその能力を伸ばすためにはどのような組織化と支援が必要かという考え方が不可欠になってきます。
このような視点の転換に伴い,現在,日本語教育の研究領域は,教授法・言語教育・言語習得・言語文化・言語政策など多岐にわたり,それぞれの方向性の中で《生きた日本語》の習得を支援するための教育理論と言語研究が展開されています。
日研の14の研究室ではそれぞれの研究領域の最新の研究成果を,学会・研究会・論文を通じて積極的に発表するとともに,カリキュラムにも取り込みつつ,大学院ならではの日本語教育者養成プログラムを提供しています。
研究活動と連動した日研カリキュラムの魅力
- 演習,理論研究,実践研究を中心に構成される総合的カリキュラム
- 学会・研究会活動,学術雑誌等への積極的な論文投稿を通じて最新の研究成を発信
- オープン演習,夏合宿などの,研究室間の壁を取り払った融合教育
- 日研生には海外学会での発表に補助金を支給
- 学位審査委員会による厳正な審査に基づく積極的な博士学位授与
- 紀要『早稲田日本語教育学』は査読に基づき掲載論文を厳選
- 紀要掲載論文は学術機関リポジトリを通じて学外に公開
設置科目
- 日本語教育学演習
- 日本語教育学を研究するためのテーマの設定を中心に,専門家としての能力を身につけるための問題発見とその解決のための体系的な研究方法を身につけることを目的とします。
- 日本語教育実践研究
- 日本語教育研究センター設置の日本語講座等での参与観察・教壇実習を通じて,シラバス立案,教材作成,教授方法,評価方法などを実習することによって実践と密着した研究を行うことを目的とします。
- 日本語教育学理論研究
- 日本語教育のために必要な基礎的理論と日本語教育学の研究方法を学ぶことを目的とします。
実践的カリキュラム
日研生に提供される実践の機会は多様でバラエティーに富んでいます。
日本語教育実践研究
修士課程の必修科目である「日本語教育実践研究」は,併設される日本語センターにおける日本語講座のうち,日研の専任教員が担当する授業を参与観察することのできる実習科目です。第三者として教室に参加することで,教員,受講者双方の立場から多角的に教室活動を把握することができ,またそこで採り入れられている教育技術を習得できる貴重な機会も提供します。
「日本語教育実践研究」には,担当教員のアドバイスのもとで,授業全体のデザイン・教室の目標設定・学習活動の決定とシラバス作成・授業実施までを受講生同士が話し合って決定する,より実践的な科目もあります。他の実践研究とは異なり,授業の設計から実施までの作業をすべて主体的に行うこれらの科目は,授業前後に行われる担当教員からのアドバイスによって,将来,日本語教育者の道を進もうとする日研生に明確なサポートを与えるものになっています。
実践研究受講者が自ら設計・実施した科目群
(2007年度春学期)
- 会話能力をアップさせる Improving Your Conversation Skills
- ディスカベーション Discussion & Debate Class
- 自分を表現するための「演劇コミュニケーション」
- 「聞き手に伝わりやすいプレゼンテーション」早稲田Tour Guide
- 大学・町のあなたの好きな場所を紹介しませんか?
社会連携活動
近年,社会経済のグローバル化が国を越えた交流を活発化し,世界のあらゆる場所で日本語教育が必要とされています。日研は,こうして世代・地域・環境を越えて拡がる日本語教育の要請に対して,国内では,新宿区や墨田区と連携して多文化共生地域における日本語教育活動に協力し,海外には,早稲田大学の海外拠点や協定校を中心にそこでの日本語教育を支える人材を送り出しています。そしてこうした活動への参加が,日本語教育の今日的課題にも柔軟に対応できる能力を養成する場ともなっています。
活躍の舞台
日研の学生は,課程在学中も修了後も,日本語教育の現場で活躍するさまざまなチャンスがあります。現在多くの日研生が,世界各国・地域における日本語学習者の日本語習得のニーズに応え,それぞれの教育機関で活躍しています。在学中は,「派遣制度」によって北米・欧州・東アジアの日本語教育現場で働くことができ,将来日本語教師として活躍するための力を在学中から海外で養うことができます。課程修了後は海外や日本国内の日本語教育機関で教師として就職することはもちろん,修士課程での研究をより深め,博士の学位を取得すべく博士後期課程へ進学する日研生も少なくありません。(詳細は「修了後の進路」の項をご参照ください)
「理論と実践」というバランスのとれたカリキュラムによって培われた日本語教育の理念と技術を身につけた日研生は,これからも幅広いニーズに合わせ,国内外の各地域において活躍していくことでしょう。


