WIAPS アジア太平洋研究センター

国際関係公開講座

カリキュラム

2008年度講座は全て終了いたしました。
なお、2009年度「国際関係公開講座」は開講いたしません。
今後の開講予定については、決まり次第、こちらのページでご案内いたします。

2008年度のテーマ(ご参考)
今、米国のサブプライムローンに誘発された世界経済不況が危惧されています。日本は、国内的には政治的不協調やバブル経済崩壊後続いていた経済低迷から完全に抜け出せないまま、米国経済不況に覆われ、原油と穀物の高騰も重ねてスタグフレーション状態に突入しています。一方、東アジア経済統合の進展のなか、中国ASEANFTA、韓国ASEANFTA、インドASEANFTAが順調に進められ、日本ASEANFTAがやや緩慢な形で展開されており、日韓FTAや日比FTAも暗礁に乗りかかっています。
日本は、アジア太平洋地域における経済協力や連携の強化のなかで、京都議定書の国際的承認や地球温暖化の対策、国際テロ対策、6カ国協議の促進による地域や国際安定と平和に日本の役割や貢献が期待されています。国内外で“岐路に立たされている日本”はどう立ち向かうか、長いトンネルのなかで明るい光が見えていない現在、真剣に考えなければならない課題ではないでしょうか。
今年度の国際関係公開講座では、アジア太平洋研究科に所属する各分野の研究者が、これらの問題を考察し、具体的な方策を探ります。また、受講生との活発な論議も行いたいと考えています。
クラス名 岐路に立っている日本の選択(後期)
※2008年度 後期の申込受付は終了しました
クラス責任者 林 華生 教授
期間 2008年10月23日〜12月11日の毎週木曜日(全8回)
定員 30名
講義時間 18:30〜20:30
受講料 28,000円(学生14,000円) ※消費税込み
会場 早稲田大学 西早稲田ビル(19号館)
受講対象 広く、社会人一般(学生を含む)の方を対象とします。受講者の資格は問いません。

後期カリキュラム 2008年10月23日〜12月11日(木)全8回

講義日 講師名 講義内容
1 10月23日 川村 亨夫 米国の覇権低下と今後の日米関係
2 10月30日 篠原 初枝 アジアと欧米のはざまで−日本のアイデンティティ
3 11月6日 植木(川勝) 千可子 安全保障
4 11月13日 ロバーツ・グレンダ 少子高齢化と日本社会−少子高齢化は災難かそれともチャンスか
5 11月20日 後藤 乾一 現代日本の「歴史問題」と沖縄
6 11月27日 鴨川 明子 日本の教育選択、アジア諸国の教育選択
7 12月4日 勝間 靖 国際保健への日本の貢献−アフリカ開発会議とG8サミット
8 12月11日 黒田 一雄 国際教育協力における日本の政策オプション
(1)米国の覇権低下と今後の日米関係(川村 亨夫)
米国が直面している覇権低下の現実を政治、経済、外交の各分野から分析し、それらを踏まえて望まれる世界とアジアのための日米同盟の再構築について考察していきたい。地球規模での米国の覇権強化は限界を超え、一方で、拡大EU、ロシア、中国などが次期メガパワーとして存在感を増してきている。米ドルの下落に象徴されるように、米国式金融資本主義の覇権低下が次第に日本経済にも大きな影響を及ぼし始めている。こうしたなか、安全保障も含め日米同盟を外交の主軸とする日本にとっても、重要な判断の時期にさしかかっている。
(2)アジアと欧米のはざまで−日本のアイデンティティ(篠原 初枝)
19世紀の後半以来、日本は脱亜入欧し欧米諸国と肩を並べて大国への道を歩んできた。第二次世界大戦と日本の敗戦、その帰結であるところのアメリカの対日占領と冷戦でのアメリカ陣営としての一員という歴史的文脈は、さらに日本を「第2の脱亜」へ向かわせるものとなった。そのような日本の国際社会での位置づけは、「大国としての日本」をもたらすものであった。しかし、冷戦の終結と新たなるアジアの台頭は、日本に「アジアの一員」としての立場や視点を再考させるものとなった。現在でも、先進国首脳会議において日本は唯一の「アジア」からのメンバーとなっている。果たして、日本はアジアの一員なのであろうか、それとも欧米大国と足並みをそろえたいのか。あるいは、その両方を折衷した意識をもち外交を展開していく方がよいのか。この講義ではそのような問題意識から「はざま」としての日本を考える。
(3)安全保障(植木 千可子)
第二次世界大戦が終わって63年、冷戦終結から19年、そして9.11のテロ攻撃から7年が経った。この間、日本は安全保障について本格的な議論をしないままに過ごして来た。日本はこのまま、専守防衛に徹するのか。あるいは、国際社会の安定のために軍事行動も含めてもっと積極的な役割を果たして行くのか。今後、どのような安全保障政策を選択するかは、日本がどのような国を目指し、どのような世界の構築を目指すか、という国家としての生き様を見つめ直すことでもある。この授業では、日本を取り巻く国際情勢を概説した上で、日本の安全保障政策について考えて行く。具体的な事例としては、日米関係、中国の台頭、北朝鮮に見られるような核兵器の拡散問題、国際テロリズムの脅威などについて取り上げる。日本の安全保障戦略にどのような選択肢があるのか、を考え、その一長一短についても議論する。
(4)少子高齢化と日本社会−少子高齢化は災難かそれともチャンスか(ロバーツ・グレンダ)
今日、出生率の急落と平均寿命の伸びによる社会変化はよく知られ、議論されている。経済学者は、少子高齢化対策の一環として長年日本の社会システムを支えてきた国民年金制度の大幅な改善を示唆し、政府高官らは、どのように増加する高齢者層、特に公的な介護サービスを必要とする人々を支えていくのか日々議論を続けている。そして、介護サービス市場でひしめく企業は、どこから市場のニーズにあった人材を探すか頭を悩ませている。しかしながら、この少子高齢化問題は、日本だけではなく、多くの経済先進国が直面している問題である。この問題を社会的災難と捉えるかチャンスと捉えるかは社会全体がいかに柔軟的にそしてクリエイティブに変化していくか否かに懸かっている。今回の特別講義では、日本社会が現在直面している雇用問題や社会保障問題の解決策の一つとして議論されている外国人労働者の受け入れや、子供を育てやすい職場環境の改善を中心に話したい。
(5)現代日本の「歴史問題」と沖縄(後藤 乾一)
昨春の「沖縄戦」に関する歴史教科書検定問題は、近現代史をめぐる「歴史問題」が中国・韓国等近隣アジア諸国との外交問題であるのみならず、今なお未解決の国内問題であることを明確に示した。本講は近現代史における沖縄の有する意味を考えつつ、過去1年余「沖縄戦」をめぐって展開された論争を振り返り、現代日本の歴史認識の位相を検討するものである。参考文献:大田昌秀『死者たちは、いまだ眠れず』(新泉社、06年)、岡本恵徳『「沖縄」に生きる思想』(未来社、07年)、豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』(岩波新書、07年、特に第6章)
(6)日本の教育選択、アジア諸国の教育選択(鴨川 明子)
アジア各国の友人から、「日本の経済発展は、教育に支えられてきた」と言われた経験を持つ方は少なくないでしょう。ところが、近年、日本における教育問題は山積しています。たとえば、PISAなどの国際的学力テストで日本の順位は低下しており、児童・生徒の学力低下が叫ばれています。また、ニートやフリーターになる若者の増加も深刻です。
一方、今、まさに、教育や人材育成に力を入れているアジア諸国の内、たとえば中国、韓国、マレーシアなどから、日本に来る留学生の数は増加しています。これらの国々の中には、留学生の送り出し国から受け入れ国への変貌を遂げようとする国もあります。
このクラスでは、日本とアジア諸国の教育動向を取り上げ、それぞれに共通(相違)する課題について議論します。日本の教育の現状と、アジア各国の教育の現状とを比較することによって、いったい何が見えてくるのでしょうか。
(7)国際保健への日本の貢献−アフリカ開発会議とG8サミット(勝間 靖)
2008年は、『国連ミレニアム宣言』(2000年)から、「ミレニアム開発目標」達成年限の2015年までの中間年である。さらに、5月にアフリカ開発会議、7月にG8サミットが日本で開かれるため、「ミレニアム開発目標」の議論が盛り上がるだろう。最近、国際保健をめぐる動きが活性化している。前回の2000年の九州・沖縄G8サミットでは「沖縄感染症対策イニシアティブ」が提唱されたことを思い起こすと、日本としても、「沖縄から洞爺湖へ」という流れのなかで、改めて国際保健を強調する好機であろう。本講義では、子どもの健康と教育の視点から、サブサハラ・アフリカにおいて何を優先すべきかについて、マラリアとHIV/エイズを中心に議論する。とくに、マラリア予防のための蚊帳の普及と、HIV感染予防のための健康教育を取り上げたい。そして、両者に共通して必要とされる戦略として、パートナーシップを重視すべきことを論じる。
(8)国際教育協力における日本の政策オプション(黒田 一雄)
東京アフリカ開発会議、G8サミット、新生JICAの誕生という、国際協力分野における様々な動向が、どのように教育分野の国際協力に影響を与えているかを概説し、今後の日本のとりうるべき政策オプションを探る。特に基礎教育分野と高等教育分野の国際協力では、政策の論点も、実施官庁・機関も異なるため、これらをどのように統合的に把握して、新たな政策を考えていくかについて、考察する。

※上記カリキュラム・講師は、都合により変更となる場合がございます。何卒ご了承願います。

(ご参考) 2008年度 前期カリキュラムへ

【講師紹介】(五十音順)

各教員のプロフィール詳細については、教員紹介ページをご参照ください。

<植木(川勝) 千可子>
アジア太平洋研究科教授。Ph.D.(マサチューセッツ工科大学)。専門は、国際関係論、安全保障論。共著『アクセス安全保障論』、論文"The rise of 'china threat' arguments"マサチューセッツ工科大学提出博士論文("lucian pye award for best dissertation in political science"受賞論文)、"repairing the strategic safety-net: interdependence and security in east asia"(日本国際政治学会発表論文)他。
<勝間 靖>
アジア太平洋研究科教授。前ユニセフ職員。Ph.D.(ウィスコンシン大学)。専門は、平和と人間の安全保障、国際人権論、社会開発論。日本国際連合学会事務局長・理事、日本平和学会編集委員長・理事。編著書『グローバル化と社会的「弱者」』、『続入門社会開発』。共著書『国際教育開発の再検討』(近刊)、『テキスト社会開発』、『国連と地球市民社会の地平』、『紛争と人間の安全保障』、『生活と開発』、『国際教育開発論』、『援助とエンパワーメント』、『私たちの平和をつくる』他。
<川村 亨夫>
アジア太平洋研究科教授。元国連ニューヨーク本部事務総長室法務官。専門は、国際法、日米関係論、国際機構論、APEC地域の国際協力と法。著書『国連発−ニッポン改造論』、『国連ロイヤーの国際感覚』、『日本人の知らない国連』、『国連 世界 そして日本』他。
<黒田 一雄>
アジア太平洋研究科教授。Ph.D.(コーネル大学)。専門は、国際教育開発、国際教育協力、比較教育学。共編著に『国際教育開発論−理論と実践』、共著に『開発と教育』、『日本の教育経験』、『アフリカの教育と開発』、『国際協力を学ぶ人のために』他。
<後藤 乾一>
アジア太平洋研究科教授。法学博士。専門は、アジア近現代史、日本・アジア関係(史)論。主著『近代日本と東南アジア』、『<東>ティモール国際関係史―1900〜1945―』、"Tensions of Empire:Japan and Southeast Asia in the colonial and post colonial world." 他。
<篠原 初枝>
アジア太平洋研究科教授。Ph.D.(シカゴ大学)。専門は、国際関係史。著作『戦争の法から平和の法へ-戦間期のアメリカ国際法学者』東京大学出版会 2003年、「文化としての連盟と国連-20世紀における国際神話」『国際政治』129号(2002年)、「アメリカ正戦論」所収『グローバリゼーションと帝国』(ミネルヴァ書房、2006年)
<園田 茂人>
アジア太平洋研究科教授。専門は、比較社会学、中国社会論、アジア文化変容論。著書・論文『アジアからの視線』(共編)、『日中交流の四半世紀』(共編)、『証言・日中合弁』(編)、『中国人の心理と行動』、『日本企業アジアへ』、『現代中国の階層変動』(編)、『グローバリゼーションと東アジア』(共編)他。
<ロバーツ・グレンダ S.>
アジア太平洋研究科教授。Ph.D.(コーネル大学)。専門は、社会・文化人類学。著書・論文"Staying on the LIne: Blue-Coller Women in Contemporary Japan"、"Japan and Global Migration: foreign workers and the advent of multicultural society"

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