本プロジェクトの狙い
本プロジェクト全体像

早稲田大学は、北京大学との共同大学院設置構想を打ち上げたり、大学院レベルでは北京大学(本専攻)や復旦大学(政治学研究科ジャーナリズムコース)と学生の共同育成プログラムを作成・実施したりと、東アジアの諸大学との共同作業を着実に積み上げてきた。これも、「アジア太平洋における知の共創」を掲げた本学の、大学院教育レベルにおける具体的な実践として位置付けることができる。


しかし、本専攻が関わってきた21世紀COEプログラム「現代アジア学の創生」や、魅力ある「大学院教育イニシアティブ」採択事業「海外連携型プロジェクトの有機的展開」、グローバルCOEプログラム「アジア地域合のための世界的人材育成拠点」を運営していく過程で、いくつかの問題に逢着することになった。特に、活性化する留学生教育とは裏腹に生じている、日本人学生の参加・動機づけの困難さ、特に実務指向が強い学生が参加しやすい海外連携型プログラムの少なさが問題になっており、これらの点については、部分的に、魅力ある「大学院教育イニシアティブ」の最終報告書で指摘しているものの、我が国における大学院教育の国際化を考える際に抜本的な対策が必要とされている。


他方で、海外の諸大学との結びつきを体系的にし、事後評価結果で指摘されている「海外連携地域・機関の拡充・強化」を、より組織的に展開していく必要がある。魅力ある「大学院教育イニシアティブ」では、各教員の個別プロジェクトを軸に海外連携型プロジェクトを展開させていたが、今後、継続的・体系的に連携を深めていく必要があり、そのためには複数の海外の大学院と共同で運営するセミナーやプロジェクトの継続・発展が求められる。また、グローバルCOEプログラムが博士後期課程学生やポスドクを中心にしたプログラムであることから、修士課程のカリキュラムとも結びついた教育プログラムを開発する段階にある。加えて、今まで以上に国際的に活躍できる日本人の修士課程修了生が求められていることからも、海外連携型教育も、中身の濃い、より充実したものにする必要がある。


そこで本教育プログラムでは、プロジェクト運営委員会を立ち上げ、同委員会を中心にした海外連携型プロジェクトを体系的に管理する。具体的には、夏学期と冬学期を有効に利用した、東アジアの諸大学との共同セミナーや共同発表会を実施するとともに、実務指向の強い日本人学生が参加しやすい――しかし教育効果の高い――科目群を整備し、特に修士課程学生の研究の動機づけを行う。本プログラムの目玉は、従来の交流実績を踏まえ、東アジアの諸大学とセミナーやプロジェクトを共同運営する点にあり、その意味で、東アジアにおける高度人材の共同養成に深く踏み込んだ教育プログラムとなっている


より具体的にいえば、(1)複数の教員から構成されたプロジェクト運営委員会による、ソウル国立大学・北京大学との共同セミナーの開催(夏学期を利用して、学生は各大学を巡回して講義・演習に参加する)、(2)実務指向型・研究指向型のプロジェクトの中で毎年3件程度を選抜した上、東アジアの各大学(高麗大学、復旦大学、国立台湾大学、デ・ラ・サール大学、チュラロンコーン大学、国立シンガポール大学など)との共同プロジェクトの運営、(3)これらの諸大学との修士論文/共同プロジェクトの共同発表会の開催(冬季)、といった試みを通じて、従来バラバラになりがちだった海外連携型の教育・研究をいっそう体系化・定型化したい。


また、(4)グローバルCOEプログラムのRAと修士学生との共同作業の機会を増やすことで、グローバルCOEプログラムの「ゼロ年次教育」を実施し、(5)共同プロジェクトを念頭に置いた「ライティング&リサーチ・スキル講座」を充実するとともに、(6)修士学生用の「(国際公務員・メディアなどの)実践講座」の運営を上記の諸大学と協力すること、(7)世界銀行・国連本部へのフィールドトリップにより、留学生のリーダー教育だけでなく、「外に強い」日本人学生の育成を行いたい


こうした作業を通じて、日本の大学院教育が弱いとされる「独立した研究者・専門家の体系的養成」と、欧米の大学院教育に欠けている「凝集性の高いプロジェクトによるグループワークに強い研究者・専門家の育成」を結びつけることで、東アジアにおける高度人材養成の共同化を推進してゆくことを目的としている


本教育プログラムによる成果や具体的なプロジェクトの進捗状況は、ホームページを使って積極的に対外発信されてゆくことになるが、これこそ「アジア太平洋を中心とする地域の歴史、政治、経済、産業、経営、社会、文化および国際間の諸問題を、グローバルかつ地域的な観点から学際的に研究」し、「躍動するアジア太平洋地域を理解し、この地域の未来を担う専門家、研究者を育てていくこと」をミッションとする本専攻による、新しい教育モデルの提示・提案にほかならない。


■履修プロセス概念図 履修プロセス概念図



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