学院生からのメッセージ
百科事典とプレゼンテーション
「君たちの発表を聞いていて、百科事典を見るような楽しみがあった」
昨年の5月の校外学習で、学院に入って最初の総合学習のプレゼンテーション(発表)を評して、ある先生が発した言葉である。一見、ほめ言葉に聞こえるこの言葉だが、その真意は別のところにある。「百科事典を見るような」・・・。この短い比喩が僕たちの未熟さを正確に言い当てていた。それは、「僕たちの発表からは知識しか伝わらなかった」ということを意味していたのである。
プレゼンテーションとはいったい何を伝えるものなのか。プレゼンテーションが一番伝えるべきもの・・・それは自分たちの十人十色の意見や考察、主張だ。知識や資料はその裏づけのための道具なのである。『知識』の収得を目的とする百科事典とプレゼンテーションの違いはここにある。僕たちのプレゼンテーション(のつもりで行っていた発表)にはこの概念がまったく含まれていなかったのだ。あの、先生の言葉はこのことを僕たちに気づかせるためのメッセージだったに違いない。
皆さんの中には中学時代から『総合的な学習』の授業でグループでの調査発表を行ってきた人も多いのではないかと思う。しかし先に述べたような点を踏まえて発表に臨んでいた人はそのうちのごく一部ではないだろうか。まずは5月の校外学習に、学院生活最初のプレゼンテーションの機会がある。この機会に新しい仲間と語り合い、プレゼンテーションとはどんなものかを肌で感じ、自分にとっての課題を見つけ出して欲しいと思う。
2F 近藤拓哉
学院での総合学習
学院は総合学習という授業を、非常に大切なものとして捉え、積極的に進めている。年に1度の宿泊行事である校外活動も、毎週行われる“総合的な学習”の延長なのである。
現在、教育についてゆとり教育だ、学力向上だ、等の議論がなされている。しかし、実際の教育の現場である学校は、文部科学省等の方針に右往左往している。国が何を求めているのかを、教師が理解できていないような気がするのである。学習指導要領から総合学習という名の授業は取り入れるが、中身としては他の授業の補講であったり、行事や受験などの準備に当てられているのが現状だ。しかし、この学院では、「現代社会の求める人材」「時代をリードして主体的に切り拓く力を持った人材」の育成を目指した授業を行っている。
具体的に学院の目指す力というものとしては、学校案内で山西廣司学院長も提唱している通り、「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」である。これらの力を、プレゼンテーション・ディベート・パネルディスカッション・個人論文などの過程を経て育成している。ここで言う力は、私たちがこれから大学や社会に出て求められるものである。しかし、大学や社会ではその力をどう育むかは教えてはもらえない。学院の総合学習は、大学や社会のニーズの本質を見極め、それらの求めている必要ある人材を育成しているのである。就職率低下など、就職が困難となっている今の社会において、生き抜いて行く力を学院では得られるのだ。
また、学院の総合学習では上記のような非常に計画的で難しく、全く新しい授業を「生徒主体」で行っているのがポイントである。その方法は、授業で求められること、学院の考えに基づいた授業を行うために、総合学習担当教員と各クラスで立候補により決める「コーディネーター」の生徒が話し合い、授業のやり方を決めるのである。この話し合いは、一方的に教員が「こういう授業で行なう。」というのではなく、生徒の側からも「このようにした方がより良いのではないか。」などの意見が多数出て、生徒の意見が深まっていき、生徒意見主体の素晴らしい授業像が完成する。そして授業はコーディネーターが進め、教員は信頼の下で授業進行を彼らに任せている。
このように、総合学習を生徒主体で行うことの意義は非常に大きい。それは、ただ単に教員から与えられた課題をこなすという従来のやり方では、生徒は受身の態勢で能動的にならず、学院の求める生徒の主体性に欠け、新しい社会のニーズに対応できないからである。
今まで述べてきたように、学院での総合学習は非常に高度な授業を行っている。この取り組みはまだ始まったばかりだが、確実に成果が出てきている。まだ全国でも学院でしか行われていないような、他では味わえない総合学習を私たちと一緒に作り上げていこう。
2Fコーディネーター 島根 洋平
Waseda University Senior HighSchool