社会の入口・活用対象としての「エネルギー」や「資源」が、その出口・結果としての「環境」問題を引き起こしている。本研究科では、上記の関係を踏まえ、エネルギーや資源ならびに環境分野の教育研究を展開する。
大学新卒者のみならず、社会でのさまざまな分野、例えば行政や企業等で経験を積んだ方々や市民としてこの分野に興味をもつ人々を受け入れ、それぞれの視点を大切にし、意見を戦わせ、大学の自律性・中立性を活かして協働して問題を解明・解決する姿勢で教育研究を展開する。
教育研究にあたっての基本コンセプトは、このほか、下記の5つである。
環境・エネルギー問題に高い見識を持ち、分析・解析(analysis)や設計・統合(synthesis)の手法を駆使し、学問領域統合型アプローチによる、「現場・現物・現実」に基礎を置いた、実践的・戦略的な行動・活動のできる人材の育成を目指す。また、当該分野に対して強い興味関心を持ち、勉学意欲の高い学生を求める。
以上をもって、環境やエネルギー・資源問題の解決に向けて、当該分野で国や地域・世界を先導する方針や政策を立案できる人材や国・地方自治体等で先進的な行政を展開する人材、企業等で当該分野を統括する人材、環境・エネルギー等の研究を先導する人材、市民として当該分野の先導的活動を展開する人材、さらには国際的機関等で世界の当該分野を牽引する人材等の輩出を目指す。
早稲田大学の総合性・独創性を生かし、体系的な教育課程と、全学的な教育環境と学生生活環境のもとに、多様な学問・文化・言語・価値観の交流を育み、地球社会に主体的に貢献できる人材を育成する。深刻化する環境・エネルギー問題の解決に向け、工学あるいは社会・人文科学的な解析・設計手法の駆使や学問領域統合型アプローチによる実践的・戦略的な活動のできる能力を養うとともに、当該分野に高い見識を持ち、かつまた市民感覚を理解し、国際的視点で対処できる人材の育成を目指している。この目標の実現のため、環境・エネルギー分野に関連する理工学、社会人文科学の専門家が結集し、多様かつ高度な専門教育・研究指導を提供する。修士課程においては、教員の研究指導により、研究成果を修士論文として取りまとめる。修士論文審査を行い、環境・エネルギー分野において、工学の基礎知識と応用力を有すると認めた場合に、修士(工学)を授与する。環境・エネルギー分野において、社会・人文科学の基礎知識と応用力を有すると認めた場合に、修士(学術)を授与する。博士後期課程においては、研究指導のもと独創的な研究を行い、数編の査読付き論文や国内外の学会での発表を行い、研究成果を博士論文として取りまとめる。博士論文の審査において、環境・エネルギー分野において、工学の幅広い知識を備え、応用する技術と能力を有すると認められる場合に、博士(工学)を授与する。環境・エネルギー分野において、社会・人文科学の幅広い知識を備え、応用する技術と能力を有すると認められる場合に、博士(学術)を授与する。
(学修成果の明示)
上記を踏まえ、環境・エネルギー学研究科では、修了時に身に着けておくべき能力を以下のように定める。
工学および社会・人文科学(学術)の基礎知識と応用力を習得する教員個別の研究指導や演習に加え、専門分野の異なる教員共同での科目を多数設置している。このなかでは、修士課程1年次には研究論文作成の手法を体験的に学習するプログラムや自らの研究テーマを多面的・多角的に発展させる授業、さらにはグループでの地域密着型の演習など、学問領域統合型のPBL(Project Based Learning)による実践的プログラム等を設置している。講義科目は、環境・エネルギー研究科の教員によるコア科目、他研究科との合併科目授業を含む推奨科目を配置しており、多岐にわたる環境・エネルギー分野の専門的な知識を体系的に習得できる構成としている。工学もしくは社会・人文科学(学術)の専門分野に応じて、履修科目を選択することができる(学修成果1)。また、研究倫理概論を必修としている。修士課程2年次には、修士論文における研究内容の高度化を目指し、複数の教員の共同指導による演習科目(学修成果2)を設置し、修士論文の取りまとめを行う(学修成果4)。加えて修士課程および博士後期課程に、国内外での研修・調査の実施や国際的な環境法制・環境ビジネス等の科目の履修によって、国際環境リーダーの資格取得が可能なコースも設けている(学修成果3)。博士後期課程の学生は、科目履修を必須としないが必要に応じて修士課程の設置科目を履修することができる。研究指導に基づき、国内外の学会・学術誌への論文発表を積極的に行い、その成果を博士論文として取りまとめる(学修成果5)。
早稲田大学では、『学問の独立』の教育理念のもとで、一定の高い基礎学力を持ち、かつ知的好奇心が旺盛で、本学の理念である進取の精神に富む、勉学意欲の高い学生を、わが国をはじめ世界から多数迎え入れる。
環境・エネルギー研究科では、学門領域統合型アプローチでの研究教育と国際的視点の涵養を目指しており、理系ならびに文系、社会人、留学生等、さまざまな経歴の人材を受け入れている。
修士課程においては、早稲田大学内の学生を対象とした推薦入試、専門科目・面接により選考を行う一般入試、口頭試問およびプレゼンテーションにより選考を行うAO入試、協定校との外国人特別選考を実施する。一般入試においては、専門科目の知識習得度および研究計画によって選抜を行う。AO入試においては、学士課程における卒業論文等の成果(分野は問わない)や当研究科における研究への意欲、研究計画能力等を総合的に評価する。留学生にあたっては、日本語における円滑なコミュニケーションができることを条件としている。博士後期課程においては、修士課程と同様の入試制度を踏襲し、博士号習得に必要な能力を備え、多岐にわたる環境・エネルギー分野における高い専門性、経験、理論、意欲を有することが求められる。とりわけ、学会・論文等の研究業績を評価の対象としている。