enpaku 早稲田大学演劇博物館

企画展

現代演劇シリーズ 維新派という現象

会期
PART1: 2008年3月1日(土)~2008年8月3日(日)
PART2: 2008年6月2日(月)~2008年8月3日(日)
会場:演劇博物館3階「現代」コーナー(Part1)/企画展示室Ⅱほか(Part2 )
入場無料

演劇博物館では継続的に開催している「現代演劇シリーズ」の一環として、大阪を拠点として活動する劇団「維新派」の展示を開催致します。「維新派」は、1970年の結成以来、常に〈演劇〉という枠では語りきれない活動を続けてきた集団です。野外に自らの手で建築する劇場、映画のセットのようなリアルなものから抽象的な空間まで作り込む圧倒的な美術、ヂャンヂャン★オペラと名付けた関西弁のイントネーションを生かした変拍子のリズムを駆使した台詞、オリジナルの音楽という全ての要素をディレクションし、演劇の総合芸術性を体現する舞台は国内外から高い評価を受けています。今回の展示では、既存の資料を陳列するのではなく、維新派を構成する様々な断片を通して、観る人それぞれの「維新派」をイメージしてもらいたいとの意図から、「維新派」を体感できる数々の資料が新たに作成される予定です。皆様どうぞご期待下さい。

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維新派という現象
松本雄吉(まつもと・ゆうきち)(劇団維新派主宰)

若い知人から〈維新派という現象が好きだ〉との手紙を貰った。なるほど、〈維新派〉ではなく〈維新派という現象〉か。いちおう維新派主宰である私としては、その表現に正直癪に障るところもあるが、なるほどとも思った。静止ではなく動態の、常に変化し多層的な進行形、維新派の野外の劇場はなるほど現象と呼ぶにふさわしいイメージである。   
 宝塚の禿山から梅田の歩道橋へ、路地を経巡り、維新派の劇場は淀川の河原へ、天王寺の野外音楽堂の土の中から役者たちは次々と現れ、南港フェリーターミナルの空き地の土に潜り、雪の降る大阪駅に丸太を立て、生玉神社に障子を立て、瀬田の唐橋に障子を立て、日本海を渡り札幌の公園に障子を立て、維新派の野外の劇場は東京汐留の風景を盗み舞台へ引き寄せ、南港の駐車場に穴を掘り水を溜め蒸気を噴き上げ、奈良の室生に虫を殺し、山を騒がせ、熊野の中洲の霧を吸い、瀬戸内海犬島の廃墟の煙突に光を当て、ドイツに星を運び、アイルランドにエイリアンを運び、メキシコとブラジルにオオサカを運ぶ。
 維新派の野外の劇場は舞台を取り巻く外形の饒舌さ、風景との境界の曖昧さもあり、空間の多層性に時間の魔術が加わりまさに現象的である。その現象の中から変拍子を多用したヂャンヂャン★オペラというスタイルが生まれた。ヂャンヂャン★オペラは多層の音楽であると同時に多層の身体表現でもある。維新派の劇場はさまざまな風景を旅し、風景は役者たちの身体に染み込み、また新しいヂャンヂャン★オペラの多層空間を作る。   
 今年、維新派はびわ湖の湖畔に杭を打ち、飯場を設け飯を炊き、色とりどりの洗濯物を干し、風と闘い、雨と戯れ、水の上に舞台を組む。

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