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イベントレポート

早稲田大学演劇博物館 イベントレポート

エンパク★こどもプログラム リーディング公演&トークセッション こどものためのフライングステージ

イベントレポート

 
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会場となった早稲田小劇場どらま館
 
演劇博物館が2019年度企画する「エンパク★こどもプログラム」の一つとして、10月23日、早稲田小劇場どらま館にて、ゲイをカミングアウトしている劇団フライングステージによるリーティング公演「こどものためのフライングステージ『アイタクテとナリタクテ』」を行いました。
児童演劇* にも様々な作品がありますが、本イベントではまだ日本ではその取り組みが始まったばかりである、〈性的マイノリティに関する児童演劇の作品〉を取り上げました。こどもの観客は性的マイノリティをテーマとする演劇作品にどのような反応を示すのか、また親や教師たちはこうした作品とどのように関わっていけばよいのかについて考えます。
*児童演劇:こどもの観客を対象にプロの俳優が上演する演劇
 
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『アイタクテとナリタクテ』の主人公は、夢見が丘小学校六年二組の高橋大河、大和田翔、西村悠生の三名です。物語は、六年二組が学芸会で脚色した「人魚姫」の劇を上演することを決めたところから始まります。その配役で、男性である翔が人魚姫を演じたいと立候補したことから、翔は級友たちから奇異の目で見られるようになります。しかし彼の友人である悠生と大河が彼のことを応援し、一時は母親と対立し人形姫を演じることを諦めたりもしますが、最終的には人魚姫を演じることを実現します。その翔の物語と並行して、翔のことが気になっている悠生や、父親と同姓のパートナーがいることをどう受け止めるか悩んでいる、大河の物語が展開します。
 
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公演後に行われたトークセッションでは、フライングステージ代表の関根信一氏、団員の石関準氏、客演の石坂純氏が登壇され、この作品が創られることになった経緯や日本の性的マイノリティの問題に関わる子どもたちの状況、学校で性的マイノリティーがどのように扱われているかなどについて語っていただきました。特に興味深かったお話の一つが、「児童演劇が重視するこどもの視点について」で、この作品におけるこどもの視点とは何かが探られました。関根氏によると、大人観客を対象とした作品の場合、大人の登場人物は自分が性的マイノリティであることをわりと明確に主張しますが、こどもの観客を対象とした作品の場合、思春期にある登場人物は、まだ自分が何者かが分からない状態にあることがポイントではないかということでした。
 
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左から 演劇博物館 飛田勘文助教、劇団フライングステージ 関根信一代表
 
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左から 石坂純氏、石関準氏
 
|関根氏「この主人公たちは六年生なので、中学に入ると男女がものすごく分かれなきゃいけなくなってくる。その手前ではっきりした「自分はみんなとは違う」という意識を持つってものすごく強い心だと思うんですね。そうじゃなくて、なんだか分からないってことを持ってていいんだよっていうことあえてしたいなあっていうのがこの中ではありますね。うちの劇団ではゲイの劇団って言っているんで、割とパーって言っちゃうんですけども。子どもに向けてっていうことを考えた時に、一番考えたのは、そこかもしれないです」
 
また、フライングステージは、劇団のホームページ上に過去に上演した戯曲を掲載していますが、性的マイノリティをテーマとする児童演劇の作品を創る意義について、関根氏は次のように説明してくださいました。
 
|関根氏「どこかにいるきっといる誰かのために作品を残す、こういう作品があったよっていうのを、もしかしたら、ネットの隅っこで、性的に悩んでいる時に、広辞苑を昔開いたときのように、ネットで検索して出てきたら、ちょっとやりがいがあるかなって思うんですよね。実際、見てもらうことも大事だけど、こう跡を残していくみたいなことの意味というか、まあ、面白いなっていう風に思いますね」
 
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トークセッションの模様
 
昨今、性的マイノリティに対する意識が高まりつつあるなか、真正面から性的マイノリティを取り上げる児童演劇の作品の重要性はますます高まっているように感じられます。しかし、その作品数は皆無といってもよい状況です。そうした中、この分野において先駆的な役割を果たす関根氏、およびフライングステージによる今後の活動が非常に楽しみです。
 
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出演者による集合写真
 
 

リーディング公演出演

関根信一(演出家・劇作家・俳優、劇団フライングステージ代表)、石関準(劇団フライングステージ)、岸本啓孝(劇団フライングステージ)、石坂純、木内コギト(\かむがふ/)、木村佐都美(おちないリンゴ)、小林将司、清水泰子、芳賀隆宏

トークセッション進行

飛田勘文(演劇博物館助教)

WEB

https://www.waseda.jp/enpaku/ex/8804/
|エンパク★こどもプログラム リーディング公演&トークセッション こどものためのフライングステージ
 
主催:早稲田大学演劇博物館、新宿から発信する「国際演劇都市TOKYO」プロジェクト実行委員会
助成:bunkacho_logo 平成31年度 文化庁 地域の博物館を中核としたクラスター形成事業
協力:早稲田小劇場どらま館

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