enpaku 早稲田大学演劇博物館

エンパクあれこれ

エンパクあれこれースタッフの異常な愛情。

エンパクには知る人ぞ知る、様々なエピソードがあるのです。
“もっと知ってほしい”至高の小ネタを皆様にお届けします。

坪内逍遙(1859~1935)

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演劇博物館創立の立役者、坪内逍遙は幕末の安政六年、美濃国加茂郡太田村(現美濃加茂市)で生まれました。本名は勇蔵のち雄蔵、号は春の屋おぼろなど。父は尾張藩の役人でした。明治二年、逍遙は名古屋に転居した後上京し、開成学校(現東京大学)で英文学を学びました。
逍遙というと一般的に「当世書生気質」「小説神髄」などが浮かびますが、演劇界での功績も多くあります。まず島村抱月、松井須磨子を擁した文芸協会の創設、演劇博物館設立のきっかけともなったシェイクスピア作品の本邦初の全訳をなしたことがあげられます。歌舞伎作品では「桐一葉」「沓手鳥孤城落月」など、それまでとは一線を画した歴史劇を著しました。日本舞踊では「新曲浦島」「お夏狂乱」などに新しい工夫や手法を取り入れました。浮世絵の収集も当館のコレクションの基礎になっています。
また逍遙は筆まめで、膨大な書簡や日記を残しています。写真も好み、専門家に沢山撮らせていました。面倒見もよく早大漕艇部のボート「イロス」「イナズマ」「韋駄天」も命名しました。
昭和十年、終の棲家、熱海市双柿舎にて七十七歳で逝去、市内海蔵寺でセン夫人と共に静かに眠っています。

逍遙の胸像
演劇博物館正面左側にある坪内逍遙の胸像をご存じでしょうか。これは彫刻家長谷川栄の作品で、講義中の逍遙を模したものです。逍遙逝去後、五代目中村歌右衛門らが中心となって1935年に歌舞伎座内に建立しました。
空襲で焼失したものの石膏型が残っていたため、早稲田大学でブロンズ像を再建、館内閲覧室に設置されていました。
その後1998年演博創立70周年を機に、師逍遙を偲ぶ會津八一の句碑「むかしひと こゑもほからに たくうちて とかししおもわ みえきたるかも」と共にひとつの胸像となり、演博を外から見守っています。
今では、「逍遙先生の胸像と握手すると、早稲田大学に合格できる」という噂があり、握手をする学生が後をたちません。

常設展:逍遙記念室

演劇博物館の旗

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演劇博物館の3階中央にある螺旋階段。
実はこの螺旋階段、演劇博物館の塔へと続いています。
塔にあるのは旗竿。ここに、重要な行事がある日のみ演博の旗が掲げられます。

掲揚日:早稲田大学創立記念日(10月21日)、演劇博物館創立記念日(10月27日)、ホームカミングデー、早稲田祭、入学式、卒業式

旗の由来
演劇博物館では以前から、建物正面の舞台を使って劇の上演が行われるときには、塔から旗を掲揚していましたが、1945年5月26日の空襲により屋上部分が被災し、旗竿も消失。その後旗竿無しの状態は50年余り続きました。
しかし、1998年、創立70周年記念のリニューアル工事で旗竿が復元され、これにともないオリジナルの旗が作成されました。
この旗をデザインしたのは、当時研究員であった岩崎敬氏(デザイナー、岩崎敬環境計画事務所主宰)。旗には以下のような「想い」が込められています。

六世中村歌右衛門丈ゆかりの「うこん桜」

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2002年9月26日、戦後歌舞伎の頂点で活躍した名優六世中村歌右衛門丈遺愛の桜が、ご自宅のあった世田谷岡本町から本学早稲田キャンパス14号館横庭に移植されました。この桜は「うこん桜」といい、ご子息の中村梅玉丈より早稲田大学に寄贈された名木で歌右衛門丈は微妙な花色を特に愛され、花の咲く時期には庭で日毎夜毎に鑑賞なさっていたお気に入りの桜とのことです。
うこん桜は、鬱金桜、右近桜とも書かれ、いわゆるソメイヨシノなどの花色とは異なり、クリーム色から黄緑色の八重花を咲かせる珍しい里桜です。毎年4月中旬(ソメイヨシノが咲き終わった頃)に見頃を迎えます。

「うこん」の由来は、黄色の染料をとるショウガ科の多年草を指す説、または宮中の右近衛府を指す説等があり定かではありませんが、寒暖の差や開花期間により微妙に花色が変化する繊細で優雅な桜です。

サイボーグ009に演劇博物館が登場!

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(C)石森プロ    ※ 画像をクリックすると別ページもご覧いただけます

サイボーグ009
1964年、週刊少年キングにて、「サイボーグ009」の連載が始まりました。ある日突然サイボーグにされてしまった主人公島村ジョーと、同じく改造された8人のサイボーグ戦士たちの活躍を描いた本作は、当時「鉄腕アトム」などSF漫画のブームにあった日本で瞬く間に人気を博しました。主人公の正義に対する姿勢や壮大な世界観は、単なるSF漫画を超えた読み物として、世代を問わず多くの人々に愛されました。コミックの累計発行部数は一千万部を超え、2012年にはフル3DCGのアニメーション映画として公開されるなど、半世紀たった現在でも根強い人気を誇っています。

演劇博物館の登場
サイボーグ009の「変身編」に、演劇博物館の建物が登場するシーンがあります。休日に「ロミオとジュリエット」の観劇に出かけたサイボーグ戦士の一人であるグレート・ブリテン(007)は、そこで尾形梨江子という女性と出会います。昔恋をしていた女性の面影を梨江子に見出したグレートは思いを寄せるようになり、特殊能力で舞台俳優そっくりに変身し、素性を隠して梨江子に近づきます。梨江子がデートの場として選び、グレートを呼び出したのが本博物館です。
グレート・ブリテンには舞台俳優として活躍していた過去があり、変身編には演劇に関する小ネタが多数登場しています。サイボーグに改造される以前のグレートのエピソードを垣間見ることができる回でもあり、演劇ファンもサイボーグ009シリーズのファンも必見の内容となっています。

主要参考文献:
石ノ森章太郎『サイボーグ009 18』、秋田書店、1995年。
『サイボーグ009コンプリートブック New Edition』、メディアファクトリー、2012年。