| 【講演概要】 |
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「日本と多国間外交:ASEMとAPECを事例に」と題し、外務省欧州局アジア欧州協力室(ASEM室)室長、大久保雄大氏によるASEMの概要と今後の展望に関する講演、早稲田大学アジア研究機構寺田貴教授によるAPEC2010と今後の展望に関する講演を行った。その後EUIJ早稲田副代表、早稲田大学政治経済学術院中村英俊准教授をモデレーターに迎え、講演者および会場の参加者を交えたディスカッションと質疑応答を行った。
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講演1). 「ASEM8の結果と今後の展望」 |
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講演者: 外務省欧州局アジア欧州協力室(ASEM室)
室長 大久保雄大氏 |
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| 【講演者略歴】 |
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1990年外務省に入省後、在仏大使館、東京サミット事務局、中近東アフリカ局、軍備管理・科学審議官組織、環境省地球環境局、経済局海洋課、欧州連合(EU)代表部、在パキスタン大使館、内閣官房内閣情報調査室を経て、2009年より欧州局アジア欧州協力室(ASEM室)室長。 |
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| 【講演要旨】 |
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アジア欧州会合(ASEM)は、1996年にアジアと欧州の関係の強化を目的として発足した。近年はアジアと欧州の関係のみならず、気候変動などのグローバルな課題を、アジアと欧州から世界に発信していこうという方向性も加わった。経済が重点となるAPECと比較して、ASEMの特徴は「政治」、「経済」、「文化」の3つの柱を中心に対話と協力がなされている。現在の参加国は46ヵ国と2機関で、ASEMは常設の事務局が存在せず、参加国・機関から4代表が調整国として事務局の役割を果たしており、2010年11月より日本は調整国となっている。
2010年10月にブリュッセルにて行われた第8回首脳会合(ASEM8)では、「世界経済ガバナンス」のセッションにて世界経済金融危機、経済を柱とした「持続可能な開発」、主に政治についての「地球規模の課題」、北朝鮮、中東和平、ミャンマーなどの「地域情勢」等について議論がされた。「世界経済ガバナンス」のセッションでは菅総理より政治、経済、開発、環境等について発言がなされ、世界の金融情勢に関して我が国の見方を述べ、国内外の政策をアピールできた良い機会であったといえる。会合の最後に「ASEM8議長声明」とともに、個別宣言として「より実効的な世界経済ガバナンスに関するブリュッセル宣言」が発表された。
ASEM参加国の人口、GDP、貿易額は、全世界の中で高い割合を占めており、ASEMで合意されたメッセージが今後より一層国際社会で重く受け止められていくことが期待でき、我が国の立場をASEMを通して国際社会に発信していく戦略も有用ではないかと考えている。ASEMなどの多国間外交で日本がプレゼンスを示すことにより、国際社会におけるプレゼンスを高めていくことが出来るであろう。 |
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講演2). 「APEC2010と今後の展望」 |
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講演者: 早稲田大学アジア研究機構
教授 寺田貴氏 |
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| 【講演者略歴】 |
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1998年、オーストラリア国立大学で国際関係論の博士課程を修了後、シンガポール国立大学助教授、早稲田大学准教授を経て、2008年4月より早稲田大学アジア研究機構教授を務める。専門はアジア太平洋の国際政治経済学、地域主義に関する実証および理論研究、日本外交論。早稲田大学DCC顧問も務める。 |
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| 【講演要旨】 |
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多国間主義とは、「3ヶ国以上が参加し、共通の行動規定に従って各国の利害を調整、協力を推進する制度」で、「法的拘束の有無」、「参加国の数」、「協力分野の範囲」、「参加レベル」の4つの基準によって分類することが出来る。APEC(アジア太平洋経済協力)の特徴の一つは、交渉型でなく対話型で、法的な拘束力は無く、ピアプレッシャー制度を採用し各国の自主性を重んじている点である。また、メンバーシップを香港や台湾、チリ・ロシアなどにも広く開放しており、「開かれた地域主義」を標榜している。これらの特徴には近年変化が見られている。2006年に掲げられたFTAAP(アジア太平洋自由貿易協定)構想の実現のステップとして、2010年よりTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉が開始されたことにより、APECが交渉型を導入するのではという動きがある。また、FTAは法的拘束力があり、差別的貿易協定であるため、FTAAPおよびTPPがAPECのフレームワークの中で進めば、これまでのAPECの特徴といえる「開かれた地域主義」とは言えなくなるであろう。
「APEC JAPAN 2010」では、FTAAPとTPPとAPECの関係性を明確にすることが重要であると考える。多くの国がFTAAPは、APECでのFTAであるという理解を示している中で、日本は議長国としてFTAAP構築のイニシアチブをとることが期待されているが、他方日本のTPP参加が国内政治上、最大の課題であり、11月9日・昨日の段階では日本政府はTPP参加表明を見送る、という基本方針が閣議決定している。米国は来年のAPEC首脳会談までの交渉妥結を目指しているとの情報もあり、日本は決定を急ぐ必要があると考える。 |
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パネルディスカッション |
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講演に引き続き行われたパネルディスカッションでは、まず寺田教授よりTPPに関する日本の課題について説明があった。現在日本の財政状況が厳しい中、農業に対してのみ潤沢に補助金を使うことが難しいということが1つ問題である。WTOのルールでは、TPP参加後も「センシティブ品目」の関税撤廃には10数年間猶予期間があり、この期間を使って日本は方針を決めていかなくてはいかない。今後政治主導で政権が決めていく、ということになるのではないかという意見があった。また、モデレーターの中村准教授から、ASEMにおいて貿易問題はどれほど重要な争点になっているのか、という質問があった。大久保氏からは、ASEM発足当初は貿易と投資において野心的な計画があったが、直後のアジア経済危機等もあって、この計画は、現在あまり動いていない。しかし最近見直そうという動きが出てきている、という回答があった。
また日本の外交政策について、寺田教授から、今後TPPと農業構造改革が同時並行でどのようにからみあいながら進んでいくのか、貿易と農業の改革は一緒に進んでいかなければならない、ということを意識して見ていかなくてはならない、との意見があった。
その後の会場からの質疑応答では、TPPが農業以外に与える影響などについての質問があった。
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