こちらでは、東洋史学専修室の利用の仕方を案内しています。
主に、東洋史を勉強したい学部生のみなさんを対象としています。
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0.「専修室」ってどういう処? 0-1.ここにあります 0-2.こういうことができます 0-3.専修室利用の研究会 0-4.専修室利用のルール 0-4-1.入室の際には、一言声をかけてください 0-4-2.専修室でコピーできます 0-4-3.本の貸し出しできます 0-4-4.本は大事に扱いましょう! 0-4-5.静粛に、慎ましやかに願います 1.さて、調べるには? 2.そして、探しましょう!
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2001.06.14 2001.07.07 2001.06.18 2001.06.18 2001.06.18 2001.06.18 2001.06.18 2001.07.07 2001.06.14 |
まず、東洋史学専修室の場所をお知らせしなければなりません。文学部内39号館4F2421室ということになります。「39号館って?」と思った人は、こちらの地図で確認してください。コンクリ打ち抜きの曲面型の建物です。
文学部にある19の専修室はそれぞれレイアウトや利用の仕方が異なります。ですから、実際に訪れてみないとなにができるか、どういう雰囲気か、ということは分かりません(私も全部の専修室を訪れたことがないので)。
東洋史学専修室は、どういうところか、というと、
(1)東洋史学関係の授業を選択している方には、漢文の調べものをするのに最適な場所です。
(2)自分で研究をしたい方(卒業論文など)には、先行研究など調べるのにうってつけな場所です。
(3)院進学を考えている方には、たいがい大学院生がいるので雰囲気を肌で感じられる場所です。
(4)真剣に院進学を考えている方には、様々な勉強会を開いているので、学部生のうちから参加して自分を鍛えられる場所です。などなど。基本的には、オープンスペースですから、学部生の方も寄ってみてください。助手(あるいは大学院生)がいるときには、どしどし活用してく欲しいと思います。ただ、専修室は先生方の研究室と同様、閉室していることがあります。開室時間については、こちらを参照してください。
図書館に比べると、なんといっても、参考書目が一カ所に集まっている点で利用しやすいといえるでしょう。基本史料や辞書類にくわえ、刊行年度ごとにまとめられた論文目録や地図類、そして、史料索引までそろっています。これだけのものを図書館で利用するには、あちこち駆け回らなければならないでしょう。百聞は一見に如かず!思い立ったら吉日ですよ。
専修室では随時、研究会をおこなっています。院生が組織している「自主ゼミ」をはじめ、不定期に活動しているもの、期間限定のものと、さまざまです。研究会開催中でも調べ物はできますが、時間をずらす方がベターでしょう。「自主ゼミ」のページや専修室ドア掲示の利用表を参照してみてください。
また、「自主ゼミ」などに興味がある場合には、担当幹事に連絡してみることをお勧めします。学部生のうちから参加している人も意外と多いのです。
以上紹介してきましたが、ぜひ専修室を積極的に利用していただきたいと思います。補足として、利用上のルールを列記しておきたいと思います。
専修室は、普段大学院生や先生方がいるところですから、基本的には皆顔見知りということになります。また、調べものをするにも、各自勝手を知っていますから、特に私(助手)の方が手助けすることもありません。しかし、学部生のみなさんが専修室に調べものをしようと来たときに、まずどんな本がどこにあるかということから分からないかと思います。また、どういうことを知りたいのかということが分からなければ、助手の方もお手伝いができません。
…というわけで、専修室に来たときには、助手に一声かけてください。できれば、「△年生の◇◇です。○○先生の授業のことで**のことを調べたい」という風に言っていただけると、具体的にお手伝いできると思います。挨拶はコミュニケーションの基本ですから、よろしくお願いします。
専修室内にある図書は、いずれもコピー可です。コピーカードは、図書館のカードの方です。ただ、先生方がお急ぎでコピーをとられる必要があるときには、先生優先で譲ってください。
専修室内の図書は、一応貸し出すことができます。しかし、以下のものは禁帯出ですから、専修室内で利用してください。
基本史料(二五史などの評点本)・辞書辞典類・文献目録・索引類・雑誌類 また、借り出すときには、助手机にある「貸し出しノート」に学年・氏名を明記の上必ず室内にいる助手(あるいは大学院生)に声をかけてください。1〜2週間をめどに返却してください。
専修室は利用してこそ価値があるところですが、だからこそ守っていただきたいルールもあります。まず思いつくのは、本を大事に扱って欲しいということです。専修室の本―特に辞書や索引類―は、図書館所蔵の本に比べ使う頻度が1桁ちがうといってもいいくらい皆がよく利用します。その分本の傷みも自然と激しいのです。傷んでいくのは仕方のないことですが―それこそ使わなければ意味がありません―、必要以上に酷使することはなるべくさけたいものです。
見ていると無意識のうちにしろ、ムダに本の傷みを激しくするような使い方をしている人がたまにいます。例えば、本を伏せて置いているとか(背が割れます)、片方の表紙だけもって本をぶら下げているとか(真っ二つになってしまいます)、そういう状態です。
文献史学にとって、本はこの上なく重要なものです。「本としっかりつきあっていく気持ちをもっていて欲しいなぁ」と切に思います。
言うまでもないことだと思いますが、専修室は共有するスペースです。研究会中の議論が私語で妨げられるようであったり、一人で座席を3つも4つも独占していたり、時に目に余る場合がありました。皆で快適に利用するため、最低限の配慮を願います。
みなさんが発表の準備をするとき、専修室が強い味方になるということをお話ししました。それでは、専修室ではどのようなことが調べられるのか、専修室の蔵書を中心にすこし紹介したいと思います。ただ、漢文講読の授業を主な対象としていますので、漢字文化圏以外の地域について勉強したいという人は直接問い合わせてもらうのがいいと思います。
みなさんが最初にイメージする「調べる」ための工具書は、たぶん辞書(特に漢和辞典)だろうと思います。しかし、辞書といってもいろいろな種類がありますから、それらについて概観しておきます。
先生方も多く推薦されるのは、角川書店『新字源』でしょうか。ついで、大修館書店『漢語林』の順だろうと思います。ちなみに、私は前者『新字源』の旧版(たまたま自宅にあったもの)を常時携帯しています。いつになっても漢字の音は紛らわしいものです。意味を引くというよりは、音訓を確認するために利用することが多くなりました。また、後者は同書店刊行『大漢語林』(全1冊)の節略版です。部屋に置くのであれば、こちらの『大漢語林』の方がよいかもしれません(価格は2万円強ですが)。
これは自戒を込めてなのですが、辞書を引く回数を惜しんではいけません。よく見知った字でも、まったく知らない意味を持っているものです。例えば、「次」という動詞はどう読むでしょうか?「つぎとしか読めない!」とはいえません。だって、『新字源』にだって、用例付きで載っているんですから。。まず、自分の辞書を使いこなすことから始めてはいかがでしょう。
中国学に本格的に取り組むならば、必ず手許に置くべきものといえます。ネットで検索をかけると、いろいろなサイトで紹介されていますから、詳細はそちらを参照してください。
昨年(2000年)補巻が刊行され、全15冊(本巻12冊+補巻1冊+索引1冊+語彙索引1冊)が完成したことになります。先達の偉業には、ただただ平伏するばかりです。前に挙げた『大漢語林』は、この『大漢和』の縮略版という流れのようです。
古代史(唐代以前)を研究する方はまずこちらを参照すべきでしょう。逆に言えば、近世(宋代)以降の用例が少々少ないように思われます。
私が学部4年のころ、自主ゼミに参加していた折、ある先輩が「どうすれば漢文がスラスラ読めるようになりますか?」と先生にうかがったことがありました。先生は、
「この文字は『大漢和』」の第X冊目のどのあたりにある」と、すぐ思い出せるようにならなければ、漢文を読めるようになんてならないよ。
と事も無げにおっしゃっていました。『新字源』は部首引きのページ数を覚えましたが、『大漢和』は依然……といった有様です。
価格について。早稲田界隈の古本屋をみてまわると、4万〜6万円ほどしますが、神田当たりでは3万円代後半で目にすることもあります。思い切って買って損はないでしょう。
最後に。大学院進学を考えている方は、四角号碼を修士1年のうちに覚えておいた方がいいでしょう。みなさん、つい先延ばしにして、「あの時やっておけば。。」という声を聞きます。巻末に号碼検字索引もあるので、それを活用ましょう。最近大陸で出版される人名索引などは、この引き方でないと見つけられない、という作りになっているモノもあります。
上に挙げた諸橋『大漢和』と双璧をなすのが、こちらの『大詞典』。
宋代以降の用例が豊富に採録されています。宋代を研究対象としている私は、もっぱらこちらの方を常用しています。
難があるとすれば、索引は、画数引き+ピンインのみであること、多効能索引が近年刊行されましたが、やはり1字1字の意味を確かめるためには、部首ごとにどの巻数に収録されているか、暗記する必要があるでしょう今となっては欠かせない辞書となっています。
漢文もその時代を反映して変化していきます。『史記』のような簡潔な漢文もあれば、南北朝期の四六駢儷体、元朝期の蒙文直訳体にいたるまで、その文体は様々です。これらを読解していくために、上記の辞書を駆使していくわけですが、『漢語大詞典』は中国語の中国語による辞書ですから、当然中国語ができないと読めません。それだけではありません。清代の漢文ともなると、現代中国語とほとんど変わらないものまで現れてきます(史料の性格にもよりますが)。中国史を扱うならば、中国語は必要最低限はおさえておかなければなりません。
ただ、私も中国語の専門家ではありませんので、専修室配架の辞典を紹介しておくことにとどめます。
まず、愛知大学中日大辞典編纂処編『中日大辞典』(大修館書店)が挙げられます。第二外国語で中国語を選択した方は、おそらく先生に薦められたのではないでしょうか(私はそうでした)。1冊本の辞書としては最も定評のある辞典ではないかと思います。片手で持てる最大サイズなので、使い勝手も上々。中国語学習にとっても使いでのある1冊ではないでしょうか。
これより大部なものとして、大東文化大学中国語大辞典編纂室編『中国語大辞典』全2冊(角川書店)が刊行されました。『中日大辞典』にくらべて、割に近世(宋元代)以降の口語的用例が引かれています。ただ、B5版4000頁以上の重い本なので、『中日大辞典』にくらべ引きづらい面もあります。
他に、田中慶太郎編訳『支那文を読むための漢字典』(研文出版)という字書もあります。この字典(「辞典」ではありません)は、私が学部生の頃東洋史学演習を担当されていた先生が推薦なさったものです。早速生協で買い込んできた私でしたが、「漢文を読む」=「漢字の熟語を調べる」というふうに思いこんでいたので、「この字書は使いにくいなぁー。文章も古めかしいし、印刷もあまりきれいじゃないやぁ」とだんだんと敬遠して使わなくなってしまいました。しかし、いろいろな漢文を読んでいくと、熟語だと分かるけれども辞書に載ってないものが時折現れるようになってきました。その時です、この字典が効力を発揮しはじめたのは!個人的な評価としては、漢字の字義については、『新字源』以上『大漢和』以下と思っています。基本的に『説文解字』の用例をひいており、また、説明文が古式ゆかしい漢文読み下し調なのも気に入ってる要因の一つです。漢字という文字が好きな人には、もしかしたらお勧めかも知れません。
東洋史が扱う言語は、なにも漢文(中古漢語)ばかりではありません。モンゴル語やペルシャ語、さらにはチベット語にまで及ぶほど広範です。
これらの諸語は、まず文字を覚えるところから始めなければならないので、習得するには比較的長い時間がかかります。こういった諸語については、語研でカバーしたり、他大の勉強会に出席するなど事前の下調べが必要です。ですから、指導教員と相談して、より効率のよい方法を選ぶのが一番の近道でしょう。
参考までに、現在「自主ゼミ」において、モンゴル語勉強会とペルシャ語史料講読が毎週行われています。
漢文を読み進めていくとき、固有名詞を知らずに困ってしまうことがままあります。評点本(活字本)ならば固有名詞に傍線が引かれていることが多くなりましたが、影印本などでは句読点はもとより、そのような傍線もありません。そうすると、人名まで読み下してしまうという間違いをおかしがちです。そこで、固有名詞の代表格として、人名と地名の調べ方をみていきたいと思います。
まず、日本の出版物から。人名・地名を手早く知りたい場合には、なんといっても、諸橋『大漢和』です。単なる漢和辞典ではなく、漢字にまつわる百科事典と考えていいでしょう。また、人名・国名については、『アジア歴史事典』全10冊(平凡社)が便利です。それぞれの王朝についての簡略な系図、そして、関連論文なども掲載されています(ただし、1960年初版なので、多少古いのですが…)。
次に、大陸・台湾の刊行書籍から。普通なら、上述の2つで十分ですが、それでもカバーしきれないものです。最近大陸では、かなりの出版ブームとみえ、『〜大辞典』と銘打った大部なものが次々入ってきています。そのうち、利用に便なものを紹介します。
人名については、『中国歴代人名大辞典』全2冊(上海古籍出版社刊、1999年)です。簡体字の画数順に掲載されていて引きやすいと思います。また、目次が297ページもあります。出典が記されており、明清時代では地方志や文集からも採録されています。調べごたえがありますよ。また仏教関係に特化したものとして、『中国仏教人名辞典』全1冊(上海辞書出版社、1999年)も刊行されました。別号の多い仏教者を調べるのに最適な1冊といえるでしょう。
地名については、『中国歴史地名大辞典』全1冊(広東教育出版社刊、1995年)があります。出典が示されていない、検索する場合地名の首字(冒頭の字)のみの索引でひく等、今一つの観もあるが、人民共和国以前の地名を網羅している点で、やはり困ったときには頼りになります。先ほど挙げた『漢語大詞典』は、人名・地名については、ほとんど掲載されていません。その点諸橋『大漢和』とは性格を異にしているようです。
1-2-1.では、通時代的に使えるものを挙げました。しかし、より理解を深めるためには不十分といわざるを得ません。人名辞典もあくまで原典史料をもとに編者の意図のもとで再構成されたものだからです。その人物(あるいは彼の事績)を追究するには人名索引から原史料をひもとく必要があります。
歴代中国の公式歴史書(正史)である二十五史には、評点本(句読点付き活字本)にもとづいた人名索引があります。この索引は上述の四角号碼で引くことになるので、注意がいります。
しかし、正史に名を残す人物というのは、ある意味において特別であるといえるでしょう。そうすると、調べる対象が必ずしも正史にその事績を詳しくとどめているとは限りません。それではどうするのか?人物を扱うのは正史にとどまりません。追悼文(墓誌)や郷土史(地方志)にその事績を残していることがあります。そのような史料を扱うために必要なのが、伝記資料索引です。零細な史料をあつめたもので、あとは引用されている史料を探すだけです。専修室には伝記史料索引として
『唐五代人物伝記資料綜合索引』 全1冊
『唐五代五十二種筆記小説人名索引』 全1冊
『宋人伝記資料索引』 全6冊
『宋人伝記資料索引補編』 全3冊
『宋代人物資料索引』 全4冊
『元人伝記資料索引』 全5冊
『明人伝記資料索引』 全1冊
『明人別名字号索引』 全2冊
『清人室名別称字号索引』 全2冊
『辛亥以来人物伝記資料索引』 全1冊
などを揃えてあります。是非利用してください。
地名を調べるのも、人名同様、原典史料にあたる必要が出てきます。歴代の地理書としては、『水経注』や『太平寰宇記』、『元豊九域志』などがあります。また、唐代陸路の詳細な研究として、厳耕望『唐代交通図考』1〜5(中央研究院歴史語言研究所専刊之八三)があります。しかし、地名は時代によって変わっていくもの、それを通時代的に探せる工具書として、清・顧祖禹編『読史方輿紀要』の索引(青山定雄編『支那歴代地名要覧』)があります。
発表レジュメにはビジュアル的側面も欠かせません。文献上の地名を特定しても、実際の位置・地形がわからなければ、その部分を理解したとはいえません。そこで、地図を活用しましょう。
まず、最も利用に便なのは、『中国歴史地図集』全8冊です。時代ごとに分冊となっているので、当時の地名・河道・海岸線を特定することができます(黄河の治水政策は歴代王朝を悩ませました)。また、松田寿男・森鹿三編『アジア歴史地図』は中国のみならず、アジア全体の概観をみる便利です(『中国歴史地図集』の方が詳細です)。
また、地域ごとの詳細な歴史地図としては、『北京歴史地図集』、『上海歴史地図集』、『西安歴史地図集』などがあります。大都市研究には必ず参照しなければならないでしょう。
また、人物については、その容貌が残されていることもあります。例えば、諸橋『大漢和』には『三才図会』から引用した人相書きもあります。イメージをわかせるにコピーしてレジュメに組み込むのも面白いかも知れません。
史料を扱うとき、少なくとも踏まなければならない手続きがあります。つまり、誰が、いつ、どういう立場で書いたのか、という史料成立の背景を知らなければなりません。例えば、中国の正式な歴史書である正史(二五史)についても、後の王朝が自らを正当な継承者とする立場から編纂を命じている点を見逃してはいけません。史料の成立過程においては政治的意図が常に介在する余地を残しているのです。
ここでは、史料がどのような性格のものであるかを紹介している書籍(「解題」といいます)を紹介します。ただ、2つの点に注意してください。第一に、すべての史料について紹介されているわけではないということです。特に、出版業が盛んとなった宋元代以降には多くの個人文集が刊行されました。宋代以降の文官はみな文人としての顔も持っていましたから、星の数ほどいる官僚の文集をすべて紹介できるわけもありません。また、新たに発掘された出土資料については研究段階が途上であるため、最新の発掘報告を待たなければなりません。
第二に、これらの解題も、一歴史家のフィルターを通した見解であるということです。史料に対するのと同じ態度を、これらの解題に対してもとらなければなりません。「鵜呑み」にせず、その見解の正否を検討する必要があるのです。
正史をはじめとした基本的な史書を解説したものに、神田信夫・山根幸夫編『中国史籍解題辞典』(燎原書店、1989年)があります。必ずしも紹介している史料の数は多くありませんが、撰者(筆者)の略歴・成立年代・構成に加え、版本の種類や書誌学的な論文の紹介にまで及んでおり、便利な工具書だといえます。ただ、「明・清時代については、原則として文集・奏議・方志などは、その数があまりにも厖大にのぼるため省略」したとのことです。
歴史を研究するときには、必ずしも「史書」ばかりを扱うわけではありません。例えば、中国史上最大級の叢書である『四庫全書』は、経・史・子・集の四部の多岐にわたるものであり、経書(儒教の経典及びその関連書)や集書(とはいいませんが、個人の文集など)も、もちろん扱います。これらのものは、狭い意味での「史書」には含まれないのです。
そこで、活用したいのが、近藤春雄・著『中国学芸大事典』(大修館書店、1978年)です。少し古くなった感もあるものの、人名・書名・文体名から果ては琴の名前にまで及んであり、非常に便利な一冊です。巻末には、年表・主要叢書の編目・親字総画索引が付されており、使いでのある工具書です。
以上2書が小項目的な辞典・事典であること、中国に限定されたものであるのに対し、前記『アジア歴史事典』の別冊として刊行された『東洋史料集成』(平凡社、1956年)は大項目的な編集であること、中国のみならず東洋全体に及んでいる点で特徴的といえます。すこし刊行年代が古くなってしまったため近年出土した簡牘や新発見の史料には言及されてはいません。しかし、それでも網羅的に扱っているという点では輝きを失っていないと思います。字が小さいのでじっくり読むにはつらいところがありますが、地域・時代が特定されている場合には、腰を据えて読んでおきたいものといえます。
「1.さて、調べるには?」では、目の前の史料(漢文)を読み解くための最小限の工具書を紹介しました。この「2.そして探しましょう!」では、レポートを作成したり、発表準備をしたり、ひいては卒業論文を書くときに前提となる参考論文や史料を自分で探すために必要なことを紹介していこうと思います。
辞書などをひいて、その史料を「理解できた!」と思っていても、それで終了というわけにはいきません。授業の担当分だから読めただけでいいというならともかく、卒業論文という大学時代の記念碑を書き上げるためには、自分の見解(あるいは視点)にオリジナリティがなければなりません。ある事柄を自分だけが発見したと思っていても、以前に発表された論文で既に述べられていたのなら単なる独り善がりになってしまいます。論文中でオリジナリティを主張するためには、その前に先行研究との差異をみせる必要があります(先行論文を批判するということです)。以下、これまで書かれた論文をどのように見つけだすか、その方法を紹介していきます。
中国史に関する論文解題としては、山根幸夫編『中国史研究入門』上下(山川出版社刊、1988)があります。時代順に排列され、それぞれの時代についての概説書紹介および研究史(政治・官制、社会・経済、思想・文化、の3分野)、そして史籍解説からなっています。研究史が記述の中心ですが、小見出しをつけたレイアウトなので見やすいと思います。それぞれの論文についての評論も多少あるので、参考にすることができます(あくまでも参考にとどめてください)。ただ、掲載している論文は日本の研究者が大半で、中国、欧米、韓国の研究については言及が多いとは言えません。また、題名からも分かるように、扱っているのは中国史のみなので、内陸アジアや東南アジアに興味がある人にはあまり使えないと思います。
『中国史研究入門』はその書名の通り中国史に特化した基本的工具書です。また、初版が1983年であり、それ以降の研究には言及していません(当然のことですが)。そこで、近年の研究動向をつかみたいと思っている人、あるいは中国史に限らず、朝鮮史、内陸アジア史や東南アジア史に興味のある方は、『史学雑誌』特集「回顧と展望」がうってつけです(ちなみに、欧米史やイスラム史もなんでも含んでいます)。ここ1年間の研究を地域別に、一線で活躍している研究者が時代を分担して評論しています(つまり、地域+時代によって評者が異なるということです)。また、2カ所に跨って評論されている論文もあるので、それぞれの地域・時代における問題設定の違いも垣間見ることができます。ただ、「回顧と展望」は単年度に発表された論文・著書を評論しているので、数年にわたるパラダイムが見えにくい嫌いがあります(評者によっては多くを割いている場合もあります)。興味のある地域・時代が決まっているなら、10年単位でコピーして集め、自分用の「回顧と展望」をまとめた方がいいかもしれません。また、すべての論文を評論しているわけではなく、国内で発表されたものに限定されているので注意が必要です。
ここまでで、自分が関心をもてる論文に出会ったとしましょう。前に「1.さて、調べるには?」でも述べたように、人名は固有名詞として強力な識別機能を持っています。その論文の著者名が分かれば、しめたものです。ここで、『東洋学文献類目』(京都大学人文科学研究所附属東洋学文献センター)の登場です。これは、東洋学に関する世界の著書・論文の書誌情報を年度ごとにまとめたものです。歴史のみならず、思想、社会、芸術などにまで及ぶこの工具書には、人名索引が附されています。人名索引→分野別のページ→時代・テーマが似ている論文、と芋蔓式に見つけていくことができます。参考論文の一覧を作る時には必携といえるでしょう。ただ、『東洋学文献類目』は、戸山図書館では配架していないようです。利用しやすいのは中央図書館と専修室ではないかと思います。
以上、3種類のツールを紹介してみました。それぞれの特徴を表にまとめておきましょう。
| 書名\特徴 | 刊行 | 地域 | 分野 | 収録論文 | 網羅度 | 評論 | 索引 | 備考 |
| 中国史 研究入門 |
'83年初版 '91年増補 |
中国 | 歴史 | 日文が主 | ○ | あり | 史籍 | 研究史が わかる |
| 『史学雑誌』 「回顧と展望」 |
毎年刊行 (半年遅れ) |
世界 | 歴史 | 日文のみ | ○ | あり | なし | 評者の 個性がでる |
| 東洋学 文献類目 |
毎年刊行 (3年遅れ) |
アジア | 全分野 | 世界中 | ◎ | なし | 人名 | 圧倒的な 分量 |
「1-3.書名を調べるには?」で、基本史料の解題をいくつか紹介しました。しかし、自分で史料を探していくと、探している本がどこにあるのか分からないという問題に直面すると思います。「どうやら活字本では出版されていないらしい、どうしよう…」ということになりかねません。散佚してしまって現代に伝わらない本も少なくありませんが、多くの書籍は「叢書」という史料集成に収められていることがほとんどです。歴代中国では、多くの「叢書」が編纂されてきました。ここでは、探している本がどこの「叢書」に収められているか探す手順をお話ししようと思います。
宋(960〜1271)・元(1279〜1341)時代以降、民間の出版業が盛んになり、多くの書籍が刊行されました。現在でいえば、単行本がそれぞれ出版される状況に近いでしょう。しかし、現在とくらべて刊行部数も少なく、また、私家版として書かれたものもあり、散佚が多かったのも事実のようです。そういった書籍を、後世の蔵書家が
以下
工事中
Last up:2001.11.05