会計研究科に期待する
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監査法人をはじめ、さまざまな団体で、そして国際舞台で会計専門家の活躍の場は
大きく広がっています。
広い視野をもった会計プロフェッショナルへ
2011 年は、日本にとって歴史上の大きな転換期といえる年になったと思います。大震災により戦後日本が築きあげて
きた社会を今一度見直す必要に迫られているとともに、TPPをはじめとする海外諸国との経済協定をどのように結んでい
くかといった国際社会との関わり方も改めて問われているのが現状です。一方、経済分野においては、中国やインドといっ
た経済成長が目覚ましい新興国を中心に、日本企業の海外進出は増加の一途を辿っており、企業経営や人材育成もグロー
バルな視野に立って発想していかないと適切な管理は難しくなってきています。
また、会計基準も経済のグローバル化に伴い、国際財務報告基準(IFRS)を採用する国が増えてきており、日本もその
採用に向けた準備が進められているところです。
このような環境下、今会計士には会計・監査に関する専門知識はもちろんのこと、広く社会の動きや現実を理解してお
くことが求められています。数字の裏にどのような現実が隠されているのかを知らなければ、監査において適切な判断は
下せません。
また、外国語というツールを使って海外の人たちと本質的なコミュニケーションができる人材が今後は今以上に必要に
なってきます。
早稲田大学大学院会計研究科は、会計プロフェッショナルを目指す様々なバックグランドを持った人材が集まっている
日本有数の会計大学院であり、特に、会計の知識に加えて自分の得意分野をもち、活躍のフィールドを広げる「会計プラ
ス1」という教育方針は、まさに時代の要請に即したものだと思います。本大学院を志望される皆様には、是非深い専門
知識と広い視野を持った会計プロフェッショナルを目指していただき、世界基準の人材として様々な分野で活躍されんこ
とを、早稲田に学んだOBとして期待しております。
志高くチャレンジする皆さんへ
金融危機後の世界経済は、欧米を中心とした金融市場から中国をはじめとする新興国の消費市場へとその牽引役を変
え、新たなグローバル化、ボーダレス化へと大きく動いています。多くの企業は、国内外の事業戦略の見直しやビジネス
モデルの変更により、この世界経済の「リバランシング」を自社のビジネスの成長に結び付けるための変革の真っ只中に
いるといえます。
会計の世界では、IFRS(国際財務報告基準)の適用国が広がっています。日本においてはその導入を巡って検討が重ね
られている途中ですが、その考え方の基本は「原則主義」という世界的な潮流です。企業は会計の原則に従いながら自社
のジャッジメントで財務報告書を作成し説明するよう求められ、会計の専門家には、より会計方針適用の合理性を判断し
ていく力が必要となります。
これからの会計のプロには、その専門スキルによって、変革を遂げようとする企業を支えるという大きな使命があると
いえます。この使命に志高くチャレンジする皆さんには、国内外を問わず多くの活躍の機会が提供されるでしょう。自国
の会計はもとより、国際基準に関する知識、さらには企業経営の理解から英語やコミュニケーション能力を含む高度なス
キルを身につけることにより、その活躍の場はさらに広がっていくことでしょう。
早稲田大学大学院会計研究科では、会計・ビジネスの専門能力に加え、自ら課題を捉え、その解決にあたるという「進
取の精神」の涵養をめざしていると聞いていますが、まさに時代が望んでいる資質の一つと言えます。
私どもは、世界154 カ国にネットワークを有するPwC(プライスウォーターハウスクーパース)の日本におけるメン
バーファームとして、国際標準に沿ったプロフェッショナルサービスを提供しています。皆さんが会計のプロとして大きく
成長されることを心待ちにしながら、さまざまな課題に向き合う企業を支え、資本市場の健全性と日本経済の発展に共に
寄与していきたいと考えております。
高潔な倫理観をもって社会貢献を
企業活動がグローバル化され、資金移動がボーダレスに行われる経済環境下にあって、これらの経済取引を統一的に測
定し、表示すべきとの考えがあります。IFRS(国際財務報告基準)の基本的な考え方もこの延長線にあり、世界の資本市
場から一つの財務諸表によって資金調達が可能になる日が近いうちに来るかもしれません。しかしその一方で、世界の各
国には様々な法制度や固有の慣習等があるため、これらに起因する多種多様の経済事象を詳細な会計ルールを設定するだ
けで、一つの会計仕訳に集約することは不可能と考えられます。このような多様性に対応するために考えられたのが原則
主義(Principle base)です。原則主義では、詳細な細則(Rule)はなく大枠のみが提示されるため、実務を運用するために最
も重要になるのが会計専門家の存在です。また、数多くの企業が直面する経済事象は多種多様ですので、原則の趣旨に則
した、適切な判断を行うために、高度な専門知識を有する会計専門家が求められるのです。また、この原則自体について
も、必ずしも適時に設定・更新されるとは限りません。このため、原則がない、または規定されていないことについて適
切に判断するためには、判断を行う適格な会計専門家には必然的に高潔な倫理観が求められることになります。
早稲田大学大学院会計研究科では、設立当初から「アカウンティング・マインド」の科目が必修科目としてカリキュラ
ムに組み込まれていると聞いています。このことは時代に先行し、かつ、時代の求めに適合していると高く評価できます。
皆さんが担う社会からの期待は非常に大きいのです。
私ども新日本有限責任監査法人は、数千名の構成員を有しており、私は「信頼され社会に貢献する監査法人」を全構成
員で共有することを経営目標として掲げています。この「信頼」については、特に独立性や倫理観を高いレベルで保持す
ることが重要であることを会計専門家として自覚したものです。私どもは、みなさんのように高い志を持つ会計専門家の
成長を大変楽しみにしています。社会インフラとして不可欠になった会計・監査の益々の発展のために、活躍されること
を祈念しております。
企業のグローバル展開を支えるために
情報通信技術の発達等により企業活動のグローバル化が加速する中、日本企業のさらなる国際化が問われています。新
興市場の需要を吸収するための海外進出や輸出の拡大のみならず、技術立国として将来を支える新技術や新製品の開発の
ため、世界中からの知見と人材が集積するような積極的かつ開かれた交流が必要です。
私どもトーマツグループでは、日系企業のグローバル展開を支えるため、Deloitte Touche Tohmatsu のグローバルネッ
トワークからベストプラックティスを引き出すこと、様々な経験・知見の情報を収集すること、強い協力体制を発展させ
ていくことが極めて重要な要素となっています。
そのために多くのプロフェッショナルにとって英語が必須となり、またIFRS が会計の共通言語になろうとしています。
これらをツールとして使いこなすことが期待されるわけですが、実務では企業から" 聞く力" と企業の実体を" 理解する
力" が重要となります。このような人材の育成には適切な実務経験が必須でありますが、そのための土台である英語力や
会計に関する深い理解等は、是非、研究科において身に着けていただきたいものです。
早稲田大学大学院会計研究科のウエッブサイトで研究科長の佐々木宏夫氏が「さまざまな困難や解決すべき問題に直面
したとき、自らの力で答えを見出すことのできる問題解決能力と、顧客や上司、同僚、マスコミなど、仕事上の関わりを
持つさまざまな人々を説得する能力を身に着けた、知恵と論理に秀でた職業人の育成が、私たちの目標なのです。」とおっ
しゃっています。実務に通じる問題解決能力を身につけるという意味でまさに的を射たお考えであると思います。皆さん
がこの目標達成に向け飛躍されることを祈念しております。

